
| さらにメルセデス・ベンツはこれまでの方針を撤回し、コンパクトカー含む「すべてのセグメント」を網羅 |
加えてガソリン車とEVとのデザイン統一など、新しい戦略にも明確に言及
さて、メルセデス・ベンツは投資家向けとして「2024年の総括と今後の展望」を発表し、その内容をプレゼンテーション形式にて示していますが、そこではいくつかの情報が明らかになっており、主な内容としては以下の通り。
- 2027年までに、新型または改良型の電動車(BEV)17モデルと、内燃機関(ICE)車19モデルを投入予定
- ベイビーGクラスや電動Eクラスセダンといった「目玉」を追加
- フラッグシップモデルではV8・V12エンジンを引き続き採用
- すべてのセグメントを網羅するラインアップを構築
今後、メルセデス・ベンツはこう動く
そして今回のプレゼンテーションでは今後登場する新型車のティーザー画像が公開され、(上述の通り)今後2年間で36もの新型および改良モデルが導入される予定ではありますが、目玉となるのは「ベイビーGクラス」、そして「ピュアエレクトリックEクラス」。
さらには新型GLCに加えSクラス、GLE、GLSの改良型も含まれていて、今後のラインナップ計画に電動車と内燃機関モデルが混在していることを見る限り、メルセデス・ベンツがEV開発資金の一部をガソリン車向けに再配分するという戦略を見て取ることが可能です。
そしてぼくがもっとも注目するのはやはり「ベイビーGクラス」で、メルセデス・ベンツによれば、既存Gクラスとの差別化のために「(大文字の)G」ではなく「(小文字の)g」を車名に採用する予定なのだそう。
ティーザー画像からは、コンパクトなサイズながらも、ボクシーなデザインと十分な最低地上高を確保していることがわかり、1979年に登場した初代Gクラスに”より忠実なデザイン”を持つことや、大型バンパー、短いホイールベースといった特徴も確認可能。
いまのところパワートレインについては明かされておらず、しかしEVとなる可能性が高いとウワサされていて、それでも現行Gクラスと同じラダーフレームを採用するのか、それともモノコック構造に変更されるのかもナゾのまま。
ただ、シルエットからすると「3ドア」となる可能性が高く、いっそう”ジムニーシエラとよく似たプロポーション”となるのかもしれません。
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そしてもうひとつの大きな発表は、新型の「フル電動Eクラスセダン」で、このモデルはEQEの後継となり(EQEは1代限りで終わるのか・・・)、ガソリンエンジン搭載のEクラスと並行して販売される見込みだというので、現行BMW 5シリーズと同じような戦略を採用するということに。
Mercedes-Benz Group AG - Annual Results Conference 2024: Speech Ola Källenius – English https://t.co/lCQRFAr1L4
— Life in the FAST LANE. (@intensive911) February 25, 2025
ティーザー動画を見ると、今までの「卵型」からやや角張ったボディ形状へと移行していて、これはすでにアナウンスされたとおり「EVと内燃機関搭載車とで同じデザインを持たせる」というデザイン戦略の裏付けとなっています。
これらのほか、プレゼンではSクラスのフェイスリフト、次世代GLCの発表(2026年、新型プラットフォームを採用)、改良型GLA、GLB、新型GLE、GLSの投入(これらのSUVはメルセデスの最新デザイン言語を採用)についても言及がなされ、エントリーレベルからハイエンドセグメントまで幅広いラインナップを拡充する計画についても触れられています。
メルセデス・ベンツは「これにより市場シェアの拡大を図るとともに、生産コストの最適化を進める」と述べていて、しかし注目すべきはこれまでの「採算を取りにくく、競争が厳しいコンパクトセグメントからは撤退する」という方針を翻したことで、それだけ今が危機的状況にあるということもわかります(ただ、EV世代になればほぼすべてのプラットフォームやコンポーネントが共通化されてゆくことになり、数を見込めるコンパクトクラスを展開する意味は大きい)。
実際のところ、競争の激化や世界的な需要の変動により、メルセデス・ベンツは2025年の営業利益率が約6%に低下すると予想していて、これは従来の目標を下回るという水準。
これに対応するため、メルセデス・ベンツは2027年までに生産コストを10%削減し、サプライヤーとの協力を強化することで材料費の圧縮を図る、とも説明しています。
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参照:Mercedes-Benz