
Image:Porsche
| ポルシェは本気で「ナンバー付き917」を発売するようだ |
常識を覆した一台のマシンと、たった一人の夢
さて、ポルシェは先日「917のロードバージョン」らしき新型ハイパーカーの発売を予告していますが、このポルシェ917はもともとレーシングカーとして誕生し、その後わずかに2台のみが「公道仕様へ」コンバートされています。
まだまだポルシェが新しく発売する「新型917(正式名称は不明)」がどういったクルマになるのかはわかりませんが、ポルシェがこの「ナンバー付き917」に関するコンテンツを公開しており、その内容を見てみましょう。
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公道仕様のポルシェ917ー依頼主は「カウント・ロッシ」
1970年代、モータースポーツを席巻したポルシェ917。
その伝説的なマシンが、ある個人の情熱と、ポルシェ社内の小さなチームの熱意によって「ナンバー付きの公道仕様917」へと生まれ変わっています。
その依頼をしたのは、イタリアの実業家でマルティーニ家の後継者、そしてパワーボートレーサーやボブスレーヤーとしても知られたグレゴリオ・ロッシ・ディ・モンテレラ伯爵――通称「カウント・ロッシ」。
彼のために用意されたのはかつて耐久レースで活躍した本物のレーシングマシン、ポルシェ917、シャシーナンバー「917-030」です。
ただのレプリカではない、本物の917が公道を走行する
そしてこのポルシェ917を公道走行可能な仕様へとコンバートするのに必要だった改造は次のとおりですが、「完全なレースカーの魂を残したまま」というコンセプトが貫かれ、その内容は「必要最小限」にとどめられています。
それでもシートには「エルメス」に別注されるなど「伯爵」らしいカスタムが盛り込まれるのは興味深いところですね。
- マフラー(消音装置)の追加
- サイドミラーと方向指示器の装着
- クラクションとスペアタイヤ取り付け(法的義務)
- アラバマ州のナンバープレート(ロッシが取得)
- シートはエルメス特注のタンレザー仕上げ
- ルーフライニングやダッシュボードにはスエード素材
- ギアシフターはレーシングカー仕様のウッドノブをそのまま流用
- 軽量な穴あきキーまで再現
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公道仕様のポルシェ917が走った先は… パリ
かくしてポルシェ917「ロードバージョン」が完成することとなりますが、
「ちょっと走らせてみようか」
そうして始まった初走行は、アトランタの街中で終わることなく、なんと数百キロも離れたパリで幕を閉じたとされ、つまりはそれだけ「楽しかった」のかもしれません。
なお、ポルシェは現在「エクスクルーシブ」なるパーソナリゼーションプログラム、そしてその上の「エクスクルーシブ ソンダーバーシュ」なる活動を展開していますが、その原点は「顧客の要望に応えたい」という想いにあったとされ、この917”ロードバージョン”もまた「どんな突飛なリクエストにも応えたいという精神」の象徴となり、その後の様々な特別仕様車の礎となったうちの1台なのだと思われます。
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そのポルシェ917は今も“現役”
現在、この917”030”は南フランスに暮らす熱心なオーナーが所有しているといい、そしてそのオーナーもまた「実際に公道で日常的に走行させている」そうですが、登録自体はイギリスでなされ、外装・内装は当時のままに慎重かつ集中的なレストアが施されたばかりなのだそう。
ポルシェのレーシングカーたちは、いまなお世界中のサーキットで活躍していますが、ポルシェはこのコンテンツを公開するに際して注目すべき内容を追記しており、もしかすると今後は「レーシングカーの公道コンバージョン」を新たなビジネスの柱にしたいのかもしれません。
この「917 for the road」が示したように、ポルシェには“型にはまらない何か”を実現する力と意志がある。
だからこそ、今この瞬間も、こう問いかけたくなる。
「もし、次の917がまた公道に現れたら?」
「次に無謀な夢を叶えるのは、誰だろう?」
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