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米中貿易協定では90日間の関税引き下げ合意:しかし、中国製EVは依然としてアメリカ市場に進出できず

中国車

| 米中貿易協定:関税引き下げで進展も、中国製EVは依然としてブロック |

米中貿易協定の概要は?

米国と中国の間で新たな貿易協定が結ばれ、90日間の関税引き下げ合意がなされましたが、これは貿易緊張を和らげるための一歩ではあるものの、最終的な解決にはまだ時間がかかるというのが一般の認識です。

今回の交渉で、米国は中国からの輸入品に対する追加関税を145%から30%に引き下げることに合意しており、これに対し中国は米国製品に対する関税を125%から10%に引き下げていて(つまり引き下げ幅は同じ)、そしてこの90日間の”一時的な引き下げ”は、両国が恒久的な貿易取り決めに向けた議論を行うための「時間稼ぎ」ではあるものの、現在の緊張状態から一歩前進したと考えることも可能です。

関税引き下げ合意内容の概要:

  • 期間: 2025年5月14日から90日間
  • アメリカ: 中国からの輸入品に対する追加関税率を145%から30%に引き下げ
  • 中国: アメリカからの輸入品に対する追加関税率を125%から10%に引き下げ
  • 継続協議: この90日間の猶予期間中に、両国は経済貿易関係に関する議論を継続する
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自動車産業への影響

自動車業界に関し、現在米国はすべての車両と部品輸入に25%の関税を課しており、協定などに基づく一部の例外を除けば依然として厳しい貿易制限が続いている状況。

実際のところ中国製EVにつき、依然としてアメリカ市場への輸入が厳しく制限されているといい、この制限が続く限り、中国の低価格EVがアメリカ市場に登場するのは難しい状況です。

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この制限は「中国製EVの低価格は、アメリカの自動車市場にとって脅威となる可能性がある」ために設けられており、この制限の撤廃や緩和が今後の貿易交渉の大きな焦点になると思われますが、もしこの制限が撤廃されアメリカへと「中国の安いEV」がなだれこんでくると、一気にアメリカは「中国製EV」に支配されてしまうのかもしれません。

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参考までに、アメリカは価格に対し消費者が非常に厳しいことで知られ、そのため需要によって製品やサービスの価格を頻繁に調整することが(あのアップルですら)あるのですが、ここ最近のインフレによって消費者の価格志向は一層強まっているとされ、実際に「北米で最も安価なクルマを販売している日産」の売上が増えているというのは既報のとおり。

よってこの制限がなくなり中国車が自由にアメリカ市場へと輸入されるようになれば、アメリカの消費者が「より安い選択肢を求めて」中国製EVへと流れるのは火を見るよりも明らかで、トランプ政権はそういった事態を恐れているのかもしれませんね。

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いずれにせよ、この90日の合意期間にて米中両国は次のステップに進むためのさらなる交渉を行う必要があり、合意が一時的なもので終わるのか、恒久的な貿易フレームワークとして成立するのか、今後の進展に注目が集まります。

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