
| テメラリオ「RWD」登場の可能性が濃厚に |
一方で「ピュアV8モデル」登場の可能性は高くない
さて、先日はランボルギーニが「ノンハイブリッド仕様のテメラリオを市販仕様にて実現することは難しい」とコメントしたと報じられていますが、今回は別のカーメディアが異なる角度からのインタビューを行い、異なる可能性を報じることに。
ランボルギーニのエントリーモデルであるテメラリオは、既に最大出力900馬力超を誇るPHEV(プラグイン・ハイブリッド)で、現在はAWDのみの構成ではあるものの、よりシンプルでリア駆動となる新バージョンが開発中である可能性が示されています。
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ランボルギーニ技術責任者が語る「別種のハイブリッド」
まず今回のインタビューでは、ランボルギーニCTO(最高技術責任者)、ルーヴェン・モーア氏は次のように語っています。
「将来的にRWD版の市販車や、別タイプのハイブリッドが登場する可能性はある」
モーア氏は、ポルシェ911 カレラGTSを例に挙げ、「まったく異なるアプローチのハイブリッド技術」に言及。
これは現行テメラリオが採用するフロント2基+リア1基の3モーターレイアウトではなく、フロントモーターを省いた(トランスミッションにシングルモーターを内蔵したのみの)後輪駆動型を意味すると考えられます。
なお、ランボルギーニはこれまでガヤルド、そしてウラカンにも「RWD」モデルを用意しており、よってテメラリオに置いても同様の手法を採用する可能性が高いであろうと考えていますが、なによりも現行(AWDの)テメラリオの価格が5500万円くらいなので、「RWD化することで」価格を引き下げ、フェラーリ296GTBやマクラーレン・アルトゥーラに対応できる価格設定を実現するという意味でも”非常に重要な選択肢”でもあるわけですね。
それでも強力:V8単体で800馬力
なお、テメラリオに組み込まれるエレクトリックモーターは「フロントに2つ、リアに1つ」であり、これらはそれぞれ最大で110kWh(約150馬力)という最高出力を持っていて、しかし制御の関係上3基あわせて220kWhの最高出力、そしてガソリンエンジンとの組み合わせではシステム合計930馬力という数字です。
システム合計出力が単純に「ガソリンエンジンとエレクトリックモーターの最高出力を足した数字」とならないのは、両者のピークパワー時の環境(条件)が異なるためですが、もしテメラリオの後輪駆動バージョンが登場するとなると「何馬力を発生するのか」は計算が難しいところです。
ただ、これまでの例を見るに、後輪駆動モデルの価格はぐっと抑えられ、そしてその価格差を正当化できるだけの「馬力差」が設けられているため、テメラリオ「RWD」では現行のAWDモデルに対し、「フロントに搭載されるモーターを2つ取り除いた」以上の”調整”が行われることになるかもしれません。
おそらくはフェラーリ296GTBの「830馬力」を上回り、296スペチアーレの「880馬力」に収まる範囲になるのではと思われ、しかし実際にはランボルギーニからの発表を待たねば「実際のところはわからない」。※マーケティング上の調整に加え、そもそもランボルギーニがどれくらいまでの馬力を後輪駆動モデルにてコントロールできるのかという技術的な課題もある
テメラリオRWDは外観にも差別化?シャシー調整も検討か
そしてもちろん、その「調整(あるいは差別化)」は性能のみではなく外観や装備にも及ぶはずで、かつてのガヤルド / ウラカンのように、RWD仕様のテメラリオには専用バンパーやホイールが採用される可能性も。
また、駆動方式の違いによる前後重量配分の最適化やサスペンションの改良など、見えない部分にも大きな調整が加えられる可能性もありそうです(ウラカンだとRWDのほうがスプリングレートが高められている)。
1000馬力超えの“STO的存在”も開発中?
そして興味深いのは、ランボルギーニが「テメラリオをベースとしたさらに過激なハイパフォーマンスモデル」を示唆していることで、これが実現すれば1000馬力超えのサーキット志向バージョンが登場する可能性も。
これはウラカンSTOの後継的な立ち位置になると考えられますが、モータースポーツ活動を強化しているランボルギーニにとって、重要な「イメージ戦略的モデル」となる可能性もありそうですね。

ICE(内燃機関)オンリーモデルの可能性低いが…
先日開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは、ハイブリッドを搭載しないGT3仕様のテメラリオが発表され話題となりましたが、しかし、モーア氏は「市販車でのICE(内燃機関)オンリー仕様の登場は可能性が低い」と発言。
「完全に否定はしないが、現時点では優先事項ではない。レース用に非ハイブリッドを使うことと、市販車に採用することは別問題だ」
実際のところ、「高回転のみ」でガソリンエンジンのピークパワーを引き出して走るレース、「低回転主体」でその際のトルク不足とターボラグをエレクトリックモーターで補う市販車とでは同氏の指摘するとおり「別問題」で、そして環境規制、さらにはランボルギーニの経営戦略の上からも「内燃機関オンリー」のてテメラリオの登場は「まず期待できない」と考えていいのかも。
Image:Lamborghini
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EVに冷める市場、Lamborghiniの戦略はハイブリッドで正解?
現在ランボルギーニはそのラインアップのすべてを「プラグインハイブリッド」に転換しており、これについてモーア氏は、「現在の市場ではハイブリッド車を求める声が多く、我々の戦略は正しかった」とコメント。
一方で同社初のEVモデルは需要の伸び悩みを理由に2029年へと発売延期となったことがすでに報じられ、「次期ウルス」についても、(予定されていた)ピュアEVではなく、PHEVとして再設計中がなされていると報じられています。
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なお、ちょっと興味深いのは「フェラーリのプラグインハイブリッドは人気がないが、ランボルギーニのプラグインハイブリッドは支持されている」ということで、この理由は全くのナゾ。
考えられるのは、フェラーリの(市場が認識する)コアバリューは「エンジン」にあり、ランボルギーニだと「デザインとテクノロジー」にあるんじゃないかということで、フェラーリの場合はハイブリッドシステムが「ピュアな要素を妨げる不要なもの」、ランボルギーニでは「最新テクノロジーとして歓迎された」ということなのかもしれません。
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参照:Car Magazine