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ランボルギーニの「10,000回転V8」は規制を乗り越え次世代モデルにも継続決定。テメラリオの心臓は未来にも鼓動する

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| 「常識を覆す」10,000回転V8「テメラリオの心臓」を未来永劫使い続けるとランボルギーニが衝撃発表 |

過激なV8はサステナブルに生き残る


ランボルギーニが「内燃機関の終焉」という世界的なトレンドに逆行する驚愕のニュースを発表。

結論からいうと、ランボルギーニ史上最も過激なエンジンとされる”新型スーパーカー「テメラリオ」に搭載された10,000rpm(毎分1万回転)を許容するV8ツインターボエンジン”が一時的な花火で終わることなく、少なくとも2世代以上にわたって存続することが明らかに。

これは2035年の欧州での内燃機関禁止論争を前に、ランボルギーニが「ドライビング・エモーション」を決して手放さないという強い意思表明に他ならず、ここでは、この未来のV8が持つ驚異的なスペック、長寿化の戦略、そしてぼくらが得るべき新しい知識や気付きまで深掘りします。

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ランボルギーニはこのV8エンジンを新規に開発している

ランボルギーニはこの4.0リッター V8ツインターボ・フラットプレーンクランクエンジンを新型スーパーカー「テメラリオ(Temerario)」のために開発していますが、その過激さから欧州の内燃機関規制(2035年の内燃機関搭載車販売禁止)によって姿を消すと予想されていたわけですね。

それでもランボルギーニが「テメラリオのために」このエンジンを開発できたのは、ル・マン・ハイパーカー「SC63」に搭載されるエンジンと(エンジン構成要素の)多くを共有するためで、しかしランボルギーニは参戦から間を置かずに「WEC撤退」を発表しています。

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Image:Lamborghini

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SC63の「WEC撤退」は残念ではありますが、それでもSC63のお陰でこの4.0リッター V8ツインターボ・フラットプレーンクランクエンジンがテメラリオに搭載されたと考えてよく、つまり「テメラリオにだけ使用するのであれば、ランボルギーニは新型V8エンジンを開発しなかった」可能性も。

かくして「レーシングカーとコストを分散すること」を前提に、そしてモータースポーツにて使用することを「エクスキューズとして」開発された新型V8エンジンではありますが、テメラリオのプロダクトライン・ディレクターであるパオロ・ラケッティ氏が自動車メディア『The Drive』に対して語ったところによると、このV8エンジンは設計当初から「少なくとも2製品サイクル」で使用されることが見込まれており、テメラリオの後継モデルにも引き継がれる可能性が高い、とのこと。

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これは、ランボルギーニが内燃機関を継続させるために、合成燃料(Synthetic Gasoline)やバイオ燃料などの代替燃料を積極的に研究しており、性能を犠牲にすることなく、将来的な環境規制をクリアする道筋が見えたことを示唆しています。※現時点では、代替燃料を使用しない内燃機関は2035年以降、自動車に搭載できない

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圧倒的な性能と長寿命化戦略:新型V8エンジンの全貌

驚愕の10,000rpm V8エンジン:スペックと特徴

テメラリオに搭載されたV8エンジンは、単なるダウンサイジング・ターボではなく、超高回転と高出力を両立させるために多くの革新的な技術が投入されています。

項目詳細補足
エンジン形式4.0リッター V8ツインターボPHEV3基のエレクトリックモーターと組み合わせるHPEV
最高許容回転数10,000 rpm市販車としては異例の超高回転型
エンジン最高出力800 PS (9,000-9,750 rpm)既存の自然吸気V10を上回るパワー
システム総合出力920 PS圧倒的なパフォーマンス
0-100km/h加速2.7 秒
トランスミッション8速デュアルクラッチ(DCT)
クランクシャフトフラットプレーン型高回転化と独特な甲高いサウンドを実現
  • 高回転化の秘密: モータースポーツの知見を投入したフラットプレーンクランクシャフトや、DLC(Diamond Like Carbon)コーティングされたフィンガーフォロワーなどにより、超高回転を達成
  • ハイブリッドの恩恵: 低回転域のトルク不足を3基の電気モーターが補完することで、V8本体を高回転域でのパフォーマンスに極限まで特化させることが可能に
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Image:Lamborghini

もはやスーパーカーにとってハイブリッドは「エンジンの一部」。ランボルギーニがそのV8エンジンについて解説、いかにして「量産車唯一の1万回転超え」エンジンが誕生したか
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V8の長寿命化戦略と技術革新

テメラリオのV8は、その高性能を次の世代にも引き継ぐことが計画されているといい、ランボルギーニとしては非常に長い目でこのエンジンを捉えていたことも今回のインタビューによって明らかに。

  • 2世代にわたる設計: 開発責任者によると、このV8はテメラリオ(前身のウラカンは10年のライフサイクル)とその後継モデルまで、少なくとも2つの製品ライフサイクルでの使用を見込んで設計されている
  • 段階的な改良(Gradual Enhancements): ポルシェとの共同研究を通じて、ランボルギーニは合成燃料やその他のバイオ燃料による排出量の低減や効率の向上を計画しており、性能を維持しながら規制に対応する道筋をつけている
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他のモデルへの搭載の可能性

現時点では、このV8はテメラリオシリーズに限定される方針で、というのもランボルギーニは「1つのモデルに専用エンジン」というポリシーを持っているためであり、今後もこれを守る可能性が高いと考えられます。

  • ウルス SEとの違い: この10,000rpmのV8は、SUVである「ウルス SE」に搭載されている4.0リッターV8とは設計が完全に異なり、ウルスのエンジンルームには(テメラリオのV8は)適合しない。さらに高回転でのパワーを重視するテメラリオのV8はSUVが求める強大な低速トルクには適していない
  • 限定生産モデルへの期待: しかし、過去のセスト・エレメントやインヴェンチブルのような限定生産モデルの例から、裕福な顧客からのワンオフ制作の要望があれば、このV8が他のモデルに搭載される可能性も示唆されている
  • ランザドール(Lanzador)との関連: 将来、EVとして噂される「ランザドール」に、PHEV(プラグインハイブリッド)の派生モデルが登場する場合、この高性能ハイブリッドV8は理想的な搭載候補となると推測されており、その際には「例外」が誕生する可能性も
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結論:ドライビング・エモーションは不滅である

ランボルギーニがテメラリオの10,000rpm V8エンジンの長寿命化を決定したことは、自動車業界、特にスーパースポーツカーの未来において、極めて重要な意味を持っています。

この決定は、「ハイブリッド化は内燃機関の終焉ではなく、性能向上のための手段である」という、ランボルギーニの熱いメッセージでもあり、現在の方向性を肯定し、かつ今後の方向性を決定づけるものと考えていいのかもしれません。

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そして新しい知識と気付きとしては、内燃機関は合成燃料などの技術革新によって、今後数十年にわたり、規制をクリアしながら「官能的な高回転サウンド」というドライビングの醍醐味をもたらし続ける可能性が見えたということで、ランボルギーニは未来の課題に対し、最もエキサイティングで過激な解決策を提示し、「ドライビング・エモーションは不滅である」ことを証明したということになりますね。

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参照:The Drive

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