
| 【EV市場に逆風】60,000人以上が待つレンジローバーEV、そしてジャガーの新型EVが発売延期に |
ジャガー・ランドローバーのEVモデル、なぜ延期?
ジャガー・ランドローバー(JLR)が、今後の電気自動車(EV)戦略の中核を担う複数モデルの発売を2026年以降に延期するとの報道。
かつては2025年末〜2026年前半の市場投入が計画されていたモデルたちですが、現時点では「市場の需要」と「さらなるテストの必要性」を理由に、スケジュールが見直されている、と報じられています。
報道によると、ジャガー・ランドローバーは以下のような背景を抱えながら新型EVの投入時期を再検討している、とのこと。
- レンジローバーEV:当初は2025年末の発売を予定していたが延期
- ジャガーの新型EV(少なくとも2モデル):2026年中頃の生産開始を目指していたが、こちらも延期
- 理由:英ガーディアン紙によれば、「さらなるテストの必要性」「市場需要の状況を見極めるため」
JLRはつい先日、イギリス国内にて最大500人のマネジメント職を削減する方針を示したばかりですが、さらには輸入関税の影響や販売台数の伸び悩みもあり、「計画外の対応」を迫られているといったところなのかもしれません。
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「タイミングを見極める」とするも、不透明感は否めず
なお、JLRの広報担当は以下のように述べており、ここからは「電動化」に対する最終的な方向性に変更はないと見られるものの、戦略自体は維持しつつも「市場の反応を待つ」という構え。
とはいえ、EVに対する関心は必ずしも右肩上がりとは言えず、「適切なタイミング」が訪れる保証はなく、不透明さは拭えない状況です。
「2030年までに、当社が展開するすべてのラグジュアリーブランドにおいて電動化を完了させます。各モデルの設計やプラットフォームは柔軟性を持たせており、市場や顧客のニーズに合わせて投入時期を調整していきます。」
Image:Jaguar
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「今こそ変革期」、しかし時間は限られている
ジャガーにとって、今回のEVモデルはブランド再構築の核とも言える重要プロジェクトでもあり、同ブランドはすでに「今後のすべてのモデルをEV化する」と公言し、まさ次期フラッグシップEVの登場が待たれているところ。
この状況においてそのEVの登場が遅れたならば、ジャガーは「売るクルマがなく」、EVの発表に適切な時期が来るまで会社が存続できないといった可能性も考えられます。
Image:Jaguar
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一方、ランドローバーも初の純EVであるレンジローバーEVの予約に対して60,000人以上の購入希望者が集まっていたとされ、延期の影響は小さくはなく、今後の動向が待たれるところでもありますね。
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ただ、こういった状況はジャガーやレンジローバーのみではなく、アメリカ市場の政策変更など、グローバルな政治・経済動向によって「EV戦略を再考するメーカー」が増えているのもまた事実であり、これは「自動車業界全体の一つのトレンド」であると捉えることが可能です。
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結論:高級EV市場の変革は「いつ」訪れるのか?
「待つ姿勢」にはリスクも伴い、今回の延期によって、競合他社(たとえばメルセデス・ベンツEQシリーズやBMW iシリーズ)との競争において出遅れる可能性も考えられ、とはいえJLRが高品質・高性能なEVを届けようとしている姿勢は明確であり、今後のアップデートと最終仕様がどうなるか、注目は続きます。
Image:Jaguar
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