
| マクラーレン「W1」、シルバーストンで初の走行映像公開 |
実際のデリバリーに向け「開発」が順調に進む
マクラーレンが新型ハイパーカー「W1」を発表してからはや1年。
これまで具体的な情報は少なく、詳細はベールに包まれていたものの、しかしこのたび、F1イギリスGPの舞台としても知られるシルバーストン・サーキットを疾走する映像が公開され、その存在感をあらためて世に示すこととなっています。
映像では新しい専用カラーリング、そしてユニークなホイールデザインが確認でき、細部に至るまでが「量産直前仕様」であることを示唆しています。
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マクラーレンが同社史上最高の出力、パワーウエイトレシオ、そしてパフォーマンスを誇るハイパーカー「W1」を発売。その価格は約4億円【動画】
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F1やP1の後継として誕生した「究極の象徴」
マクラーレンW1は、伝説的ハイパーカー「F1」、そしてプラグインハイブリッドの先駆け「P1」に続くフラッグシップ。
- F1(1992年):自然吸気V12と軽量構造で「史上最速」と呼ばれた伝説
- P1(2013年):PHEVシステムで「ハイパーカー・トリニティ(P1、ラ・フェラーリ、918スパイダー)」の一角を担った革新機
そして今回の「W1」は、マクラーレンのワールドチャンピオンシップにおける勝利の精神を象徴する“W”、そしてF1とP1につどく「1」という数字を冠し、新世代の覇権を狙う存在としての登場です。
Image:McLaren
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ココがスゴいよマクラーレンW1。最新ハイパーカーについて11の事実。「サンバイザーはカーボン、厚さ2.5ミリ」「トランクはないがヘルメット収納スペースはある」など
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新開発V8エンジン+電動モーター、総出力1,275馬力
W1の心臓部は、新開発の4.0リッターV8ツインターボ(フラットプレーンクランク/9,200rpm対応)にエレクトリックモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド。
- V8単体:928馬力
- エレクトリックモーター(Eモジュール):347馬力
- システム総合出力:1,275ps
- 最大トルク:1,340Nm
- 駆動方式:後輪駆動
注目すべきは後輪駆動にこだわった設計で、AWD化が一般的となったハイパーカー市場にあって、ドライバーが「扱い切るスリル」を味わえることを重視しています。※1輪あたり600馬力以上という計算となり、これはもちろんブガッティ・トゥールビヨンやフェラーリF80をも上回る
Image:McLaren
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フェラーリ F80とマクラーレン W1はどちらが優れる?スペック比較、そしてボクが思うこと。もはや重要なのは「数字」ではない
| 一昔前とは異なり、スペックが天井打ちになってしまった今、数字は優劣の判断材料とはならない | 重要なのはそのブランドの思想を反映しているか、そして時代を変革できるかどうかである さて、奇しくも同時 ...
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驚異の加速性能:0-200km/hをわずか5.8秒
マクラーレンが公表している性能値は以下の通り。
- 0-100km/h加速:2.7秒
- 最高速度:350km/h(電子制御リミッター)
- 0-200km/h加速:5.8秒
0-200km/hを6秒を切るのは、まさに「F1マシン級」で、これによりサーキットでも市販車最速レベルの記録を狙える可能性が見えてきます。
Image:McLaren
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マクラーレンW1の詳細レビュー動画がようやく解禁。マクラーレンの導き出した回答はフェラーリF80とは異なり「エンジン形式や駆動方式はこれまでのまま」、しかし車体の構成要件を極限まで研ぎ澄ますことに
| マクラーレンW1はもはやこれまでの「自動車」という概念では作られていない | 全くの白紙から、制約を受けない自由な発想によって設計されたハイパーカーだと考えていいだろう さて、マクラーレンはついに ...
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バッテリーと軽量化の哲学
マクラーレンW1において特筆すべきは、バッテリー容量がわずか1.384kWhということで、EV走行距離は2.6kmにとどまります。
しかしこれは「航続距離ではなく重量削減を優先する」というマクラーレンの明確な哲学の表れで、「前輪をエレクトリックモーターで駆動しない」という選択を行ったことによってバッテリー容量の縮小が可能になったのだと思われます(前輪をモーターで駆動するフェラーリF80だと2.28kWh、フェラーリ 849テスタロッサでは7.45kWh)
Image:McLaren
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マクラーレンがW1に採用されるハイブリッドシステムの詳細を公開。「P1に比較し40%の軽量化と90%の出力向上、これだけでホットハッチ並みのパワーを発揮」
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なお、V8エンジンは「ホットV」ではなく、左右バンクの外にターボチャージャーを配置するというレイアウトを採用しており(これもほっとVを採用するフェラーリF80とは異なる)、この目的は「低重心化」。※一方、フェラーリは重量配分の最適化=マスの集中を重視してのホットV採用であり、両者でプライオリティが異なるのは面白い
つまるところ、マクラレーンW1は「小型バッテリーにより車重を抑え、V8エンジンの重心を下げることで」コーナリング性能を極限まで高めているわけですね(フェラーリF80もコーナリング速度を最大限に高める設計を持っているが、ここで重要な働きをするのは前輪のトルクベクタリングであり、やはりマクラーレンとフェラーリとのアプローチは根本から異なる)。
Image:McLaren
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やはりマクラーレンの技術は恐ろしいな・・・。「一度に2つのギア」で走行できるシステムをW1に採用、電動ターボや可変ジオメトリタービン不使用で限界に挑む
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399台限定、価格はP1の4倍に
W1の生産台数はわずか399台。価格は約4億円と、P1の発売時よりも約3億円ほど高額です(為替レートの変動も大きな要因)。
それでもすでに全枠が完売しているといい、マクラーレンのブランド価値と市場での期待の高さがうかがえます。
フェラーリF80やケーニグセグなどのハイパーカーと激突
W1が狙うのは、フェラーリ「F80」やケーニグセグ「Sadair’s Spear」、ゼンヴォ「オーロラ」といったライバル。
特にフェラーリF80は、同じくダイバージェント・テクノロジーズ(Divergent Technologie)による3Dプリンティング技術をフロントサスペンションに採用しており、ハイパーカー開発における「新たな共通基盤」が形成されつつあります。
さらに、ポルシェはかつて「Mission X」を発表し、新たな“ハイパーカー・トリニティ”を構想していたものの、最近のEV戦略見直しにより計画は停滞しているものと見られ、結果的にマクラーレンW1とフェラーリF80の一騎打ち色が強まっています。
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米ダイバージェント・テクノロジーズとの技術提携
W1の大きな特徴のひとつが、サスペンションパーツに採用された3Dプリンティング技術で、これを提供するのが米国のダイバージェント・テクノロジーズ。
同社は自動車だけでなく航空・宇宙分野にも部品を供給する実績を持ち、創業者ケビン・ジンガーは自身の「Czinger(ジンガー)」ブランドでも同技術を全面採用し、軽量化と強度の両立を可能にしています。
つまり、W1は(F80も)「走行性能」だけでなく、「設計・製造方法」でも次世代のハイパーカー像を切り拓いているということになりますね。
Image:McLaren
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まとめ:ハイパーカー新時代を切り拓くW1
マクラーレンW1は、F1やP1の正統な後継として、技術・性能・ブランド哲学すべてを融合させた究極のハイパーカー。
- 1,275馬力のPHEVシステム
- 後輪駆動、徹底した軽量化へのこだわり
- 399台限定の希少性
- 3Dプリンティングによる革新
これらを武器に、マクラーレンW1はフェラーリF80やケーニグセグとの熾烈な覇権争いに挑むこととなり、「ハイパーカーの未来」は、いままさにシルバーストンから始まったのかもしれません。
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