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BYD、なんだかんだいいながらも「好調」?2025年第3四半期までの売上高が約12兆円に到達、純利益を上回る過去最大規模の研究開発費投資へ

BYD、なんだかんだいいながらも「好調」?2025年第3四半期までの売上高が約12兆円に到達、純利益を上回る過去最大規模の研究開発費投資へ

Image:BYD

| 一部では失速も報じられるBYDではあるが |

2025年第3四半期までの売上高は7.95兆円、過去最高を更新

BYD(比亜迪)が2025年第1〜第3四半期の業績を発表し、売上高が5662.7億元(約12兆円)に達したことが明らかに。

前年同期比13%増となり、同期間として過去最高を記録したことになりますが、第3四半期単体では売上高1,949.9億元(約4.1兆円)、純利益78.2億元(約1,600億円)となって第2四半期から23%増加。

粗利益率も1.6ポイント改善したと『証券日報』が報じています。

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研究開発費は純利益を超過、R&Dへの積極投資が続く

BYDは2025年1〜9月期に437.5億元(約8600億円)を研究開発に投入して前年同期比31%増を記録。

この額は同期間の純利益を約233.3億元(約4800億円)上回る水準であり、同社がA株上場自動車メーカー中で最もR&D投資額が大きいことを示しています。

累計ではすでに2,200億元(約4兆5000億円)以上を研究開発に投じており、電動化技術、ソフトウェア、そしてAIドライバーアシスト領域での競争力強化を図っていることがわかりますが、BYDはこれによる「生き残り」を狙っているものと思われます。

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なお、すでに中国のEV業界は「戦国時代」に突入していて、大幅な値引き合戦が始まるなど健全とはいえない状況が報じられていますが、この環境下ではいずれの自動車メーカーも「すでに投じたコストを回収するのに必死」となってしまい、価格を下げてでも既存車種を売るのに躍起になって「新しい研究開発にお金と時間を割けなくなる」わけですね。

これによってすでに多くの振興EVメーカーが商品ラインアップの競争力を欠いてしまい最前列から姿を消しているのが現状で、しかしBYDの動向を見ると”その心配”はなさそうです。

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世界販売は326万台に到達、テスラを上回るEV販売を達成

さらにBYDの2025年第1〜第3四半期の世界販売台数は326万台(前年同期比+18.6%)に到達して年間目標460万台の約70.9%をすでに達成しており、その勢いが衰えていないこともわかります。

中でも独自開発の運転支援システム「God’s Eye」を搭載したモデルは累計170万台を突破し、加えて純電気自動車(BEV)販売は161万台に達することで同期間におけるテスラ(122万台)を上回る実績を記録しています。

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海外市場での躍進、132%増の70万台を販売

海外販売も大幅な拡大を見せ、こちらは1〜9月期で70万1,600台を販売(前年比+132%)。

販売地域は117か国・地域に及び、累計輸出台数は70万台を突破していますが、これによって目標としていた「年間で海外販売を倍増」をすでに前倒しで達成済み。


ブラジルと日本市場での存在感拡大

10月9日には、ブラジル工場で累計1,400万台目の新エネルギー車を生産し、式典ではブラジル大統領ルーラ氏が「宋Pro」を自ら受け取る姿が話題となったほか、さらにジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)では、日本専用の軽EV「BYD Racco」を初披露。

同時に、日本市場初のプラグインハイブリッドSUV「Sealion 6 DM-i」も発表し、日本での「EV+ハイブリッドの二本柱戦略」を明確に打ち出しています。

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取引先への支払い改善と財務の健全化

なお、問題となった「サプライヤーへの支払い」については、期間短縮に向け2025年6月より支払い条件を60日以内に標準化。

最新の第3四半期報告では、買掛金と支払手形の残高が減少し、平均支払いサイクルもさらに短縮されたとされ、様々な方面にて「健全化」が進んでいるもよう

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海外投資銀行は依然として強気

シティグループなど主要国際投資銀行はBYDに対して引き続き強気の見方を示しており、同社の最新リサーチでは、2025年の販売台数は467万台、2026年には539万台に達すると予測。

成長の要因として、

  • プレミアムブランド戦略の強化
  • 高効率なPHEV技術
  • 多様な製品ラインアップ
  • 急速な海外展開

が挙げられており、一時の「BYD不振説」を吹き飛ばすかのような評価がなされているようですね。

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参照:CarNewsChina

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