>ホンダ/アキュラ(HONDA/ACURA)

ホンダ、「プレリュード」にType R化の可能性は?──開発責任者が語る「タイプR化しなかった / タイプRの名称を採用しなかった理由」とは

ホンダ プレリュード

| ホンダ・プレリュード、Type R仕様を見送った理由とは? |

プレリュードと「タイプR」とはキャラクター的にマッチしない

ホンダが発表した新型「プレリュード(Prelude)」がスポーティクーペとして注目を集めているのは既報の通り。

その一方で、「なぜType Rのような本格スポーツ仕様にしなかったのか?」という疑問も多く聞かれます。

今回、ホンダが栃木県にあるテストコースでメディア向けの試乗イベント「Honda Tech Workshop」を開催しており、そこで プレリュード開発責任者である斉藤義治(さいとう よしはる)氏に直接インタビューを行ったカーメディアによって「その理由」、そしてホンダの新戦略と将来の展望が明らかになっています。

L1018845

新型ホンダ プレリュードを見てきた。「ハンマーヘッド顔」が新鮮、なかなかにカッコいい。気になるのはその値段ではあるが【動画】
新型ホンダ プレリュードを見てきた。「ハンマーヘッド顔」が新鮮、なかなかにカッコいい。気になるのはその値段ではあるが【動画】

| ボクにとって「プレリュード」は特別なクルマでもある | 追加情報、そして実際の試乗をもって「購入するかどうか」を判断したい さて、新型ホンダ プレリュードを見に大阪 梅田の地下街へ。展示されている ...

続きを見る

Type Rの足回りを多数流用、だが“フルType R仕様”ではない

新型プレリュードは、シビック・タイプRのサスペンションやステアリング機構の多くを流用しており、具体的には以下の主要コンポーネントがType R由来です。

  • デュアルアクシス・フロントサスペンション
  • ステアリングラック
  • アダプティブダンパー
  • 13.8インチブレーキローター
  • ブレンボ製4ピストンキャリパー
L1018809

ただし、セッティングは「GTカー寄りの快適志向」。

ダンパーはより柔らかく調整され、ステアリングギア比はType Rより3%クイックに設定されています。

一方でリミテッドスリップデフ(LSD)など、さらなるType R要素の採用は見送られ、斉藤氏が説明する理由は以下の通り。

「(LSDの)装着は技術的には可能です。しかし、このモデルにおいては必要と判断しませんでした。」

L1018822

新型ホンダ・プレリュードには「シビック・タイプR」の足回りが移植されることが公式に明かされる。ハイブリッドなるも「事実上のタイプR」と呼べる存在に?
新型ホンダ・プレリュードには「シビック・タイプR」の足回りが移植されることが公式に明かされる。ハイブリッドなるも「事実上のタイプR」と呼べる存在に?

Image:Honda | けっこう「本気」のハイブリッドスポーツ、その走りには期待ができそうだ | 一方で「安いクルマ」ではなくシビック・タイプRに近い価格設定となるのかも ホンダが待望の新型クーペ ...

続きを見る

プレリュードがアコード系プラットフォームを捨てた理由

かつてプレリュードは「アコード」をベースにしており、そのため、今回の「シビック系プラットフォーム採用」には一部ファンから「コストダウンでは?」との批判もあるもよう。

しかし、斉藤氏はこれを明確に否定し、むしろ「最大限の性能を引き出すための進化」だと強調します。

「以前の世代ではアコードがパフォーマンスベースとして最適でした。
しかし現在ではType Rこそが“性能の基準”です。Type Rのサスペンションはアコードには適合しません。このプラットフォームこそ、シャシー性能を最大限に引き出せる最良の選択なのです。」

L1018843

近年、アコードは快適性を重視した上級セダンへとシフトし、パフォーマンス志向の役割はシビック/Type Rが担っています。

 その結果、プレリュード復活のベースとして、Type Rの開発成果を直接流用できる構造としてシビック系プラットフォームが選ばれたのは当然の帰結かもしれませんね。

あえて「Type R」にしなかった理由──“日常で楽しめるGT”を目指す

では、なぜホンダは「タイプRの開発成果を直接流用できる」プラットフォームを採用しながらフルType R仕様を避けたのか?

斉藤氏はその理由を次のように説明します。

「このモデルでは、スピードやパワーだけに特化するのではなく、どんなシーンでも“楽しさ”を提供したかったのです。
パワーを追求するのなら、別の方向性になります。プレリュードは、日常でも気軽に走りを楽しめる存在を目指しました。」

つまり、ホンダはこのプレリュードを“ピュアスポーツ”ではなく、 グランドツアラー(GT)としての性格を重視しているということに。

L1018804

 硬派なType Rとは異なり、より幅広い層が楽しめる「上質な走りの快楽」がテーマとなっているそうですが、これはターゲットの一部が「若者」ではなく、1980-1990年代に「実際にプレリュードに乗っていた」人々が対象であるという事実にも由来するのかもしれません。

L1018846

「新型プレリュードに搭載したのはときめきです。」ホンダがプレリュードの先行情報サイトを公開、展示イベントや内外装カラー、オプションなどが明らかに
「新型プレリュードに搭載したのはときめきです。」ホンダがプレリュードの先行情報サイトを公開、展示イベントや内外装カラー、オプションなどが明らかに

Image:Honda | 2台のプレリュードに乗ってきたボクにとっては見逃せない新型車である | 新型プレリュードのグランドコンセプトは「グライダー」 さて、ホンダが新型プレリュードの発表を目前に「 ...

続きを見る

将来的にはType R化も? 開発責任者は否定せず

ただし斉藤氏は「タイプR化」の可能性を完全には否定しておらず、LSDなどのハードウェアは後から容易に追加できる設計となっており、出力が200馬力を超える将来の高性能バージョンでは”搭載の必要性も出てくる”と示唆しています。

現時点でのプレリュードは2.0リッター直4ハイブリッド(約200ps/32kgm)を搭載し、 eCVTと前輪駆動を採用。

L1018798

もし将来的に出力向上モデルが登場すれば、「プレリュード・タイプR」誕生の可能性も十分考えられますが、ハイブリッドパワートレーンとマニュアル・トランスミッションとの組み合わせは実現が難しく、よって「プレリュードのハイパワー版」が登場したとしても、それは先代同様にタイプRではなく「タイプS」を名乗るのかもしれませんね。

まとめ:プレリュードは“走りの原点”を再定義するモデル

・シビック・タイプRの主要部品を多数流用
・アコードではなくType Rプラットフォーム採用
・LSDやターボ非採用は“快適GT志向”のため
・将来的にType R派生モデル登場の可能性も

L1018794

ホンダが新生プレリュードに込めたのは、パワーよりも「走る喜び」。

これは、往年のプレリュードが持っていた「美しいクーペとしての品格」と「誰でも楽しめるハンドリング」を現代的に再解釈したものといえそうです。

あわせて読みたい、ホンダ関連投稿

ホンダ プレリュード
新型プレリュード、0-100km/h加速が「とんでもなく遅く、36年前のロードスターと同等」であることが明らかに。ホンダはこの報道に反論

| クルマの価値は「数字」のみで語られるべきではないが | はじめに:新型プレリュード、驚きの「9秒台」報道が波紋 復活を遂げたホンダのスペシャルティクーペ「プレリュード」。 スポーティーなデザインで ...

続きを見る

ホンダ
様々な批判にもかかわらず新型プレリュードはけっこう「売れて」いた。なお購入者のメインは「バブル期を青春とともに過ごした」50-60代

| 新型プレリュードは「高すぎる」という批判にさらされてはいたが | ホンダの「思惑」が当たったのだと考えていいだろう さて、9月5日に発売された新型プレリュード。 「617万円」という高価な設定のた ...

続きを見る

ホンダが「次世代ハイブリッド、新しいプラットフォーム、コスト削減計画」を発表。PHEVを過渡的技術とし、2040年には「完全電動化」ブランドへ
ホンダが「次世代ハイブリッド、新しいプラットフォーム、コスト削減計画」を発表。PHEVを過渡的技術とし、2040年には「完全電動化」ブランドへ

Image:Honda | しかし日産との合併によってどう変わってゆくかは要注目 | おそらく「合併によるシナジー効果」が発生するのはずっと先のことであろう さて、日産との合併(経営統合)話が報じられ ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ホンダ/アキュラ(HONDA/ACURA)
-, , ,