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BMW M部門のボス「正直なところ、MTはエンジニア視点だとまったく意味も合理性もありません」。マニュアルトランスミッション消滅へのカウントダウンが始まる

BMW M部門のボス「正直なところ、MTはエンジニア視点だとまったく意味も合理性もありません」。マニュアルトランスミッション消滅へのカウントダウンが始まる

| そもそもサプライヤーもMTの開発や継続に対して消極的、この状況はいかんともしがたい |

BMW Mファンには、少し耳の痛いニュースかもしれません。2025年にはMモデルの購入者の約4割がマニュアル(MT)を選択したというデータがあるにもかかわらず、BMW M部門のトップは「MTの終焉」を現実的に見据えています。

この記事のポイント(30秒でわかる要約)

  • トップの断言: BMW M代表のフランク・ファン・ミール氏が「MTは工学的・経済的に合理性がない」と発言
  • 供給網の限界: 市場縮小により、サプライヤーが新型MTの開発に消極的になっている現状を吐露
  • 寿命のカウントダウン: 現行のM2、M3、M4、Z4のMTモデルは継続するが、2030年以降の存続は絶望的
  • 買うなら今: Z4の生産終了が2026年末に迫る中、「MTが欲しければ今すぐ動くべき」とのメッセージ
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なぜ「MTが大好き」なユーザーがいるのに廃止されるのか?

BMW Mの顧客は世界でも有数の「マニュアル愛好家」として知られています。

実際、2025年の販売データではM2やM3などの特定のモデルで、40%ものユーザーがMTを選んでいる、という状況も存在するわけですね。

しかし、BMW Mのボス、フランク・ファン・ミール氏は、オーストラリアのカーメディアに対し「エンジニアリングの観点から言えば、MTはもはや意味をなさない(doesn’t really make sense)」とシビアな現実を突きつけたことが今回明らかになっています。

MT廃止へ向かう3つの主な理由

  1. 性能の逆転: 最新のオートマチック(AT)やデュアルクラッチ(DCT)は、人間よりも遥かに速く正確に変速し、加速性能や燃費において、MTが勝る点はもはや存在しない
  2. サプライヤーの撤退: MT市場が極端に縮小したことで、部品メーカーが多額の投資を伴う「新型MT」の開発を拒むようになっている
  3. ADAS(先進運転支援システム)との相性: 自動ブレーキやクルーズコントロールなどの安全技術は電子制御が容易なATとの親和性が高く、MTでの実装はコストと複雑さを増大させる※アイドリングストップ含む環境性能向上デバイスとMTとの親和性も”高くない”
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つまるところ、マニュアル・トランスミッションは「それ自体の性能が高くない」ことに加え、ADASとの整合性を摂ることが難しく、さらには絶対的な市場が小さいため、「開発や実装コストが割に合わない」ということに。

ただし、裏を返せば、高度なADASを装備しないシンプルなクルマにおいては「MTは追加コストが掛からない」シンプルな選択ということにもなりそうですが、BMWはいかにスポーツモデルであったとしてもADASを放棄することはブランディングそして社会的責任上「許されず」、よって今回のような帰結となってしまうのだと思われます。

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現行ラインナップと「MTの寿命」予測

現在、BMWでMTを選べる貴重なモデルは以下の通りですが、それぞれの「余命」が見えてきているのが現状で・・・。

モデル現状と将来の予測
M2 (G87)現行世代ではMTを維持。しかし次期型での継続は極めて不透明。
M3 / M4次期型3シリーズの開発が進む中、MT設定が残るかは「50/50」の状況。
Z4 (Handschalter)2026年末をもって生産終了が決定。 これがBMW最後の新車MTロードスターになる可能性大。

ファン・ミール氏は「少なくとも今後数年間はMTを維持するが、次の10年(2030年代)に生き残らせることは非常に困難だろう」と事実上の”MT引退勧告”とも取れる発言を行っており、この流れを覆すことは「スポーツカー専業」メーカーではないBMWにとってはかなり難しいのかもしれません(いかにMT支持派が存在したとしても、全体から見るとそれは少数派に過ぎない)。

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結論:BMW Mのマニュアル車は「絶滅危惧種」へ

BMW Mはこれまで、ポルシェと並んで「マニュアルの灯を消さないブランド」の筆頭でしたが、しかしそのトップが「合理的ではない」と公言した意味はかなり重く受け止める必要があり、MTがブランドの核ではなく、あくまで「ノスタルジーへの配慮」に変わったことを示しています。

もしもシルキーシックスの鼓動を左腕(あるいは右腕)で操る体験を求めているならば、もはや迷っている時間は残されておらず、フランク・ファン・ミール氏が2024年にも語った通り、「MTが欲しければ、今すぐ買うべき(Buy it now)」なのかもしれませんね。

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参照:CarSales

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