| それでもこの二社には手を取り合うしか道が残されていない |
米Bloombergが報じたところによると、日産とホンダとが提携もしくは合併の可能性がある、とのこと。
現在日産は三菱を傘下に収め、ルノーとのアライアンス(同盟)関係にあるものの、ルノーとのアライアンス関係を解除するのでは、とレポートされています。
加えて、こちらもやはりBloombergが報じたものですが、この解消はゴーン氏逃亡以前から計画されていたものであり、アナリストであるアーント・エリングホルスト氏によれば「日産とルノーとの関係はすでに壊れており、修復できる段階を通り過ぎている」。
なぜ自動車業界の再編が進んでいるのか
なお、日産は現在北米において「小型車」に対する依存を強めていますが、この小型車の多くはルノーからの恩恵を受けたもので、もしルノーがいなくなるとたちまち困ることに(日産独力では新型車を継続して開発してゆくのは難しい)。
よって、今後新型車を開発できるパートナーとしてホンダに白羽の矢が立った、ということになりそうです。
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一方のホンダといえばこれまで同業他社との合併はもちろん提携も拒んでいて、これはトヨタはじめスバルやスズキ、ダイハツ、マツダ、もちろん日産とは異なるスタンス。
つまりホンダは純血主義を貫くという意向が強いと言えますが、そのために「孤立無援」なのもまた確か。※系列サプライヤーの再編は進めている
現代の自動車は「車体とエンジンだけ開発していればいい」というわけではなく、エレクトリック、自動運転、コネクティビティなど様々な要素を組み合わせる必要があり、これには「とんでもないお金がかかる」わけですね。
そして開発費用の捻出、かかった費用の分担や車両への転嫁を抑えるという意味では「販売台数」が必要で、ここで「他社との協業」が必要に。
そういった理由から現在の自動車業界はどんどん再編が進んでいる、ということになります。
つい最近だとPSA(プジョー・シトロエン)とFCA(フィアット・クライスラー)が合併合意を表明しましたが、これによってどんどんホンダの地位は下がって行き、このままだと「弱小」になるのも時間の問題。
IMAGE VIA:Bloonberg
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ホンダは業界でも「儲かっていない」自動車メーカー
加えてホンダは「複雑なラインアップ」「開発費の高騰」「その割に販売台数が少ないのでクルマが割高になる」という問題を抱えていて、販売が伸び悩む上に営業利益率もどんどん低下。
提携によって効率化を進めるトヨタに、そして純血主義にこだわっているホンダとの営業利益率はどんどん差が開いてしまい、現在トヨタは8.2%、ホンダは1.9%。
なお業界でもっとも高いのはポルシェの17.9%、かつて薄利で知られたフォルクスワーゲンも現在5.9%まで回復しているといえば、いかにホンダが「儲からない」会社になってしまったかがわかります。
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そこで気になるのは日産の営業利益率はいかほど?」ということ。
これについては驚きとしかいいようがなく、なんとホンダを下回る1.1%。
つまりホンダは日産と組むことで、トータルの営業利益率をさらに下げることになる可能性がある、ということに。
ただ、一時的に利益が下がったとしても、今後のことを考えると「台数を維持しながら効率化を進める」ことにより、どこかで利益の出る体質に転換できる可能性も。
しかしながらそれは「近い未来」ではなさそうで、しかしホンダにとってはどこかで決断せねばならないことでもあり(でないとこのままジリ貧に)、そして日産にとっても「残った相手がホンダしかない」となれば、両社手を取り合ってこの荒波を乗り切るしか無いのかもしれません。