| 現在のアストンマーティンは「コレクションに値するクルマ」を作ろうとしており、芸術性やパフォーマンス、そしてなによりコレクターが求めるものを作ろうとしている |
その意味では「V12エンジン」を外すことは絶対にできない
さて、数か月前からチョコチョコと目撃されている新型アストンマーティンDBS。
現時点でその名称につき「スーパーレッジェーラ」を継承する、あるいは「ヴァンキッシュ」を名乗るなど様々な説が囁かれていますが、おそらく確定的なのが「V12エンジンの継続」。※おそらくは伝統の「V」で始めるネーミング、つまりヴァンキッシュが採用される可能性が高い
ちなみにアストンマーティンはV12エンジンを終了させる意向を数年前に発表し、そこで「V12エンジン搭載車としては最後のモデル」としてV12ヴァンテージシリーズを発表しているので、ここでまた新型車にV12エンジンを積むというのは非常に大きな方針の転換だといって良いかもしれません。
そしてV12エンジンの(定番モデルへの)継続採用について、現在のアストンマーティンは「販売台数よりも利益率」を重視したがための判断だとも考えられ、これは前体制の「販売台数を最大化する」という目標とはある意味で相反しており、となるとV12エンジンの継続にも納得できるような気もします。
ただしアストンマーティンは翻意を行う
この「V12エンジンを終了させる」というのは前CEOであるアンディ・パーマー氏が決定したことであり、実際のところ現在のローレンス・ストロール氏時代では「(V12廃止の決定が)なかったこと」にされてしまっていて、というのもその後にV12エンジン搭載車として「ヴァラー」がさりげなく登場しているから。
-
アストンマーティンが「V12+マニュアル」搭載の限定スーパーカー、Valour(ヴァラー)を発表。「一つの時代の最後」を記念し、限定台数110台はすでに完売
| まさかアストンマーティンがここまで限定モデルを多数発表するとは | ただしいずれのモデルにも存在意義があり、コレクターとしては「全部揃える」しかなさそうだ さて、アストンマーティンが110周年を祝 ...
続きを見る
このほか、新体制後に”前体制の決定を破棄して新しく決定された”事項としては「V6エンジンの開発凍結」「MTを廃止→限定モデルのみに搭載」「ラゴンダの廃止」「量産ミドシップの投入→ミドシップは少量生産の限定モデルに留める」など多岐にわたります。
さらにここに加わるのが「V12エンジンの継続」ということになりますが、最近のウワサでは「800馬力を超えるV12ツインターボエンジンを搭載し、DBS後継モデルが夏に登場」。※ペブルビーチで発表される可能性が高い
なお、実際にアストンマーティンは「V12+PHEV」パワートレーンの採用にも言及したことがあり、よって新型DBSにはこの”電動化”されたV12が搭載される可能性があるわけですが(アストンマーティンはV12+PHEVをどのモデルに積むのかについてはコメントしていない)、であればたしかに「V12ガソリンエンジンオンリー」はヴァラーが最後であったと考えることも可能です。
-
アストンマーティンが「初のEVの発売を2027年に延期し」2030年全廃予定であったガソリンエンジンの延命、そしてV12+PHEVの発売について言及する
| ここ最近、相次ぎ多くの自動車メーカーがEVからPHEVへの軸足の移動に言及している | やはりいずれの自動車メーカーも「EV狂想曲」に踊らされてしまったのか さて、ここ最近様々な自動車メーカーが「 ...
続きを見る
それはともかくとして、ここ数週間で新型DBSのプロトタイプが頻繁に(ニュルブルクリンクにて)目撃されるようになっていて、つまりは開発が大詰めとなっていることを示していると考えてよく、そしてこれらスパイフォトを見る限りではDB12と共通するディティールもいくつか見られ、かつ伝統的な格子型メッシュグリル(かなり面積が大きい)が採用されるであろうことも伺えます。
ヘッドライトは一新され、フェンダーの形状は変更を受けるようにも見えますが、一方でフロントフードやルーフ、ドアの形状は従来モデルと同様あるいは近いデザインを持つようにも(現段階ではまだ何とも判断ができない)。
ただしテールエンドは一新される可能性があり、ヴァラーに近い形状を確認することができますが、こちらについてもやはり「現段階ではナントモ」。
インテリアについてもわからないことが多く、しかしDB12、そしてヴァンテージと同じくインフォテイメントシステムやメーターなど表示系が一新される可能性が高く、シフターやスイッチ類も変更を受けると考えていいのかもしれません。
新型DBSの登場によって「DBS、DB12、ヴァンテージ」という、ある意味ではよく似たクルマが揃うことになるものの、現在のアストンマーティンは各モデル間の差別化を強化しつつもキャラクターを先鋭化させており、「高級なGTカーであるDB12」「スパルタンなピュアスポーツとしてのヴァンテージ」に加え、「獰猛なV12エンジンを搭載する、アストンマーティンの歴史を体現する新型DBS」といった構成となりそうで、モントレー・カーウイーク期間中になされるという新型DBSの発表に期待したいところですね。
あわせて読みたい、アストンマーティン関連投稿
-
アストンマーティンのボディ色に異変。「F1参戦後にレーシンググリーンの人気が高まって全カラーのうち12%を、グリーン系だけで24%を占めるように」
Astonmartin | さらにF1参戦によってアストンマーティンには多くの新規客がなだれ込む | もはやF1参戦による効果は疑う余地がない さて、アストンマーティンは「超高級、F1」を新しいブラン ...
続きを見る
-
アストンマーティンがDBX 707をリフレッシュ。インテリアはDB12とヴァンテージ同様の最新世代へ、さらにDBXならではの追加装備を与えることでいっそう高級に
| アストンマーティンDBX707は潜在的な「超高級・超高性能SUV」に対するニーズを掘り起こしたと言っていい | 現時点ではこの価格帯のSUV市場における「勝者」と考えていいだろう さて、アストンマ ...
続きを見る
-
アストンマーティンが「EVの需要が予想したほど盛り上がらない」として初のEVの市販を1年延期するとコメント。PHEVを強化する方向へとシフトか
| ここへきてあらゆる価格帯、あらゆるセグメントにおけるEVの需要鈍化が鮮明に | となると気になるのが早々にEVへのシフトを行ったロータス、ピュアエレクトリックハイパーカーを開発しているフェラーリで ...
続きを見る