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【続報】VWが名門デザイン会社イタルデザインを売却検討、“デザインの魂”を手放す日が来るのか?

【続報】VWが名門デザイン会社イタルデザインを売却検討、“デザインの魂”を手放す日が来るのか?

Image:Italdesign

| VWが誇るデザインの象徴「イタルデザイン」が売却候補に |

VWは競争の激化や販売台数の減少に対処するために組織を再構築する必要に迫られている

さて、つい先日にはフォルクスワーゲングループ(Volkswagen Group)が、傘下の名門デザインスタジオ「イタルデザイン(Italdesign)」の売却を検討しているというニュースが報じられたところ。

すでに4〜5社から関心が寄せられており、現在、売却または運営パートナーの模索が進行中だと報じられています。

売却の背景には、競争の激化や販売台数の減少に対処するための再構築の必要性があるとされています。

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イタルデザインとは?その歴史と代表作

**イタルデザイン・ジウジアーロ(Italdesign Giugiaro)は1968年に設立され、2010年にアウディ(Audi)が90.1%の株式とネーミングライツを取得。

以来、フォルクスワーゲングループ傘下にて活動を継続し、実際にランボルギーニなどVWグループ傘下企業との人材(デザイナー)相互異動もあり、密接な関係性を構築しています。

主なイタルデザインの代表作:

  • フォルクスワーゲン・ゴルフ、シロッコ、パサート
  • BMW M1、ランボルギーニ・カラ
  • ロータス・エスプリ、マセラティ・ボーラ
  • フィアット・パンダ、アルファ・ブレラ
  • 大宇(デウ)・ラセッティ
  • 最近では「クインテッセンツァ(Quintessenza)」コンセプトも話題に

特にフォルクスワーゲン初代ゴルフを手掛けたことでも有名で、元VW会長フェルディナンド・ピエヒ氏が1970年代に修行していたことで知られていますね。※もちろん当時はVW傘下であったわけではないが、VWと強いつながりがあることがわかる

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なお、イタルデザインは単なるデザインハウスではなく、車両の設計や生産能力も保有しており、アウディQ2の開発、日産R35bGT-R 50 by イタルデザインの製造を担当したことでも知られます(VWグループ以外の自動車メーカーからの受注も請け負う)。

アウディ、組合と売却の可能性を協議

そして現在、アウディは、イタルデザインの売却について労働組合との協議を開始したと報じられ、労組「Fiom」のジャンニ・マンノーリ氏によれば、アウディ側は「売却を評価中」。

同労組によると、買収提案の中には競合他社や金融グループ(投資グループ)からのものは含まれておらず、非自動車系の多国籍エンジニアリング企業からの関心があるとのこと。

イタルデザインはトリノ本社、約1,150名が在籍

イタルデザインは現在もイタリア・トリノに本社を構え、約1,150名の従業員を擁しています。

ここ数年は表舞台に出ることは少なくなったものの、依然として利益を上げていると報告され、さらに、自動車だけでなく家電、家具、医療機器、産業機械など多分野のプロダクトデザインも手がけており、売却後の活用領域がさらに広がる可能性も想定されます。

フォルクスワーゲングループの再構築が背景に

冒頭に述べたように、イタルデザイン売却の背景には、VWグループ全体の構造改革とコスト削減が存在し、これらの動きの一環として、外部パートナーとの連携や資産整理が進んでいるのだと考えられます。

  • アウディは工場閉鎖や人員削減を発表
  • VWはドイツ国内の35,000人規模の人員削減に合意
  • 国内生産能力を約75万台分縮小し、より低コストな拠点へ移行中

今後の展望:イタルデザインの買収はどこが行う?

現時点では、関心を示している企業の名前は公表されていないものの、「イタルデザインの次章がどのような方向に進むのか」今後の動向に注目が集まります。

VWグループにとって「自動車史に名を刻む名作を生み出してきたイタルデザイン」は単なるデザイン会社以上の意味を持っており、しかし、電動化とグローバル競争の波に乗り遅れないためには、伝統よりも柔軟な経営判断が求められているのかもしれません。

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参照:Reuters, Italdesign

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