
| ここまでは紆余曲折を経たマクラーレンではあるが、ここが「安住の地」であることを願ってやまない |
新株主のもとでは「大きなアドバンテージ」を得る可能性も
さて、この数年においてその資本が安定しなかったマクラーレン(正確にはマクラーレン・オートモーティブ)ですが、ちょっと前にはアブダビ政府が所有する投資グループ「CYVNホールディングス」に買収されています。
このCYVNはすでにマクラーレン・レーシングの非支配株主であったものの、この買収によってマクラーレン・オートモーティブの支配株主となり、つい先日はマクラーレン・オートモーティブとイギリスのラグジュアリースタートアップ「Forseven(フォーセブン)」とを統合し、新たな企業「マクラーレン・グループ・ホールディングス」を設立する計画を持っていることも明かされています。
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この買収によってマクラーレンは今後どう変わるのか
そこで気になるのが「この買収によってマクラーレンは今後どう変わってゆくのか」。
マクラーレン・オートモーティブ(市販車製造部門)は、イギリス・ウォーキングを拠点とするスポーツカー、スーパーカー、ハイパーカーメーカーで、F1チームのスピンオフとしてロン・デニスによって設立されたという経緯を持っています。
なお、「マクラーレン」にはこのマクラーレン・オートモーティブを含む関連会社が多数あり、しかしそのうちいくつかは数年前の経営危機の際に統廃合されたり売却されたりしており、「マクラーレン」と名がつく企業が様々な、そして異なる資本のもとに存在するのが現在の状況でもあるわけですね。
最新の報道によると、新たに設立される「マクラーレン・グループ・ホールディングス」は、フォーセブンのCEOであり、元ジャガー・ランドローバーおよびフォードの幹部であるニック・コリンズ氏が率いることになり、今後の詳細な計画については明かされていないものの、CYVNはマクラーレン・オートモーティブの成長を促進する「再建計画」があると述べていて、その中でも特に注目すべき点は、「新たな車種の展開」が含まれていること。
これは、マクラーレンがSUV市場に参入する可能性を示唆していると考えていいのかもしれません。
「株主の支援と野心によって、マクラーレンを持続可能な形で成長させ、世界的な企業へと発展させる機会を得ました。マクラーレンの過去の実績と、フォーセブンが短期間で築いたものは非常に補完的な関係にあります。我々は、マクラーレンがさらに成長し、より多くを提供できると確信しています。」
ニック・コリンズ マクラーレン・グループ・ホールディングス CEO
マクラーレンは前マイク・フルーイットCEO体制時まで「SUVは決して作らない」としていたものの、その後新CEO、マイケル・ライタース氏の指揮のもと「より多くの人数が乗車でき、しかし一般的なSUVとは異なるクルマを作る」と発言を変え、直近では「利益を最大化するために(SUVを)作る」という流れとなっています。
今回の発表ではSUVに関する直接的な言及はないものの、「新しい車種の開発を行う」と言及しており、そうなると”SUV以外に考えにくい”のが現実です。
マクラーレンは現代では「稀な」スーパースポーツ専業メーカーであったが
2010年にマクラーレンが(12Cにて)市販車市場に復帰して以来、同社は2シーター、ミドシップ、ディヘドラルドア(上に開くドア)を持つスーパーカーのみを製造してきましたが、これでは市場が限られてしまうため、より幅広い層に訴求するには新たな方向性が必要であるのは以前から指摘されていたところ(実際に同社のハイパーカー=アルティメットシリーズは飽和状態にあった)。
しかし今回、マクラーレン・グループ・ホールディングスが設立され、CYVNの持つ豊富な資本を活用すれば、マクラーレンは従来のカーボンモノコックを採用するスーパーカーシリーズにとどまらず、新しい(SUV用の)プラットフォームや技術を開発できる可能性も見えてきます(それまでは、SUVを発売するとしながらも、自社で開発するには資金が足りず、他社との協業も示唆されていた)。
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さらに興味深いのは、CYVNが「ゴードン・マレー・テクノロジーズ」を所有しているということ。
これは、マクラーレン F1の開発者であるゴードン・マレーが設立した企業であり、極めて高性能なエンジニアリング技術を誇ることで知られます(マクラーレンとゴードン・マレーとがひとつの企業のもとに集まるというのはまさに奇遇というか奇跡としかいいようがない)。
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加えて、CYVNは中国のEVメーカー「NIO」にも多額の投資を行っており、NIOはテスラと競合する「航続距離1,000km」の航続距離を誇るEVを開発し、ニュルブルクリンク最速EVの記録も保有中。
これらを考慮するに、マクラーレンのスーパーカーのレベルがさらに高みへと引き上げられること、新しいプラットフォームの開発可能性が見えてくること(ゴードン・マレーはSUVを発売すると言及したことがある)に加え、マクラーレンのEVが登場する可能性も考えられ、その世界が無限の広がりを見せるのではという期待がいやがおうでも膨らもうというものです。
「これは、マクラーレンにとって新たなエキサイティングな時代の幕開けです。CYVNホールディングスの積極的な関与と、我々が持つ様々な事業・戦略的投資を活用することで、マクラーレンは世界トップクラスのエンジニアリングやデザイン力、最先端技術、そして高度なモビリティ分野でのリーダーシップを獲得することができます。これらのリソースが、マクラーレンの次の章を切り開き、革新の最前線に立ち続けることを可能にするでしょう。」
ジャッセム・アル・ザービ マクラーレン・グループ・ホールディングス 会長(就任予定)
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参照:CARBUZZ