| それにしても、未だにクリス・バングルの影響が感じられることには驚きだ |
その意味ではBMWは本当の意味での「デザイン的変化」がないのかも
さて、BMWは新型2シリーズ・クーペを発表したところではありますが、プレス向けの資料の一部として2シリーズ・クーペの初期スケッチ(キャラクタースケッチ)も合わせて公開しています。
スケッチにはいくつかのパターンがあり、当初から「現行BMWとは異なる」様々な手法についてチャレンジしていたことがわかりますが、これはデザイナーが車の基本的なアイデアを描き、最も顕著な特徴を誇張して、想像力を膨らませるために行う手法だといい、ただし実際の市販モデルには「ややトーンを抑えて」あるいは「その部分が採用されなかったり」することがあるようですね。
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新型2シリーズ・クーペの特徴的なフェンダーは最初から決まっていた?
そこで今回、それらのスケッチを見てみたいと思いますが、上の画像、そして下の画像を見るに、2シリーズ・クーペのみがもつ前後フェンダーの特徴的なライン、つまりサイドから見たとき、ドアの中央上部あたりから広がる「ハの字」ラインがすでに存在していることがわかります。
これを見るに、BMWは最初からこの「ハの字」を2シリーズのデザインにおけるコアだと定めていたのではないかと考えていいのかもしれません。
実際に発表された市販モデルの2シリーズ・クーペがこちら。
スケッチほど顕著ではありませんが、「ハの字」が再現されていることがわかります。
BMWはシリーズ間においてもデザイン的共通性を重視するというデザイン戦略を持ちますが、X2しかり、「2」と名のつくクルマについてはそういった「共通性」からやや距離を置くという定義があるのかも。
なお、フロントやリアについてはいくつかの案があったようで、こちらは「涙目」ヘッドライト。
ただしフロントバンパー下部左右には、最近のBMWが好んで用いる「三角形」ダクトが見られます。
参考までに、この「三角形」は様々な組み合わせにてiXの内外装に採用されており、今回の2シリーズ・クーペの内装(ドアインナーパネル)にも採用。
こういったところから判断するに、BMWは三角形を「未来」の象徴として扱う傾向があるようですね。
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ちなみにこの「涙目」で思い出すのはクリス・バングルのデザインした「Z9」。
今回公開された2シリーズ・クーペとの共通性を見出すことができ、今でもBMW内部ではクリス・バングル(2009年にBMWのデザイナーを退任)の影響が強く残っているようにも感じられます。
なお、現在BMWにてデザイン部門を統括するのはアドリアン・ホーイドンク氏ですが、同氏はクリス・バングルの後任でもあり、クリス・バングルの影響を強く受けていると言われます。
そしてこちらも別バージョンの2シリーズ・クーペの初期スケッチ。
いくつかのBMWのサイドに見られる「ホッケースティック」型の発光グラフィックをもつテールランプが特徴的ですが、なによりもテールエンドをスパっと切り落としたかのような、コーダトロンカ的デザインが印象的。
そしてこのコーダトロンカ的デザインもまた、かつてのZ4クーペにて採用されており、やはりクリス・バングルの影響を感じずにはいられないところ。
こちらは実際の2シリーズ・クーペ。
デザインスケッチほど顕著ではないものの、リアエンドを「面」で捉えるという考え方が生きているように思います。
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