| もちろんそのコストの一部は「アダプティブサスを選択しない」消費者も負担しているということに |
ただしこの傾向はプレミアムカーメーカー全般で「標準」となるだろう
さて、最近のBMWは「重く、高く」なっていますが、今回その理由の一つが判明しぼくらを驚かせることに。
いったいどういうことかというと、最初から車両にアダプティブサスペンションが組み込まれており、サブスクリプションサービスを選択し課金することでこれが利用になるという事実であり、逆の方向から見ると、これが不要な人であっても購入する車両価格にアダプティブサスペンションのコストが組み込まれ、そのぶん重量も増加していると考えることが可能です。
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ことの発端は画像掲示板だった
この事実がわかったのは米画像掲示板レディットへの投稿からで、「BMWスロベニアが月額30ユーロにてMアダプティブサスペンションをサブスクリプションとして提供している」という事実に端を発します。
そして北米のカーメディアが「欧州と北米では事情が異なるとは思うが、北米ではどうなのか」とBMWの北米法人へと問いあわせたところ、「Mアダプティブサスペンションの(サブスクリプションは)必須ではありませんが、お客様は1か月間無料で試用でき、気に入った場合は、必要に応じて月間または年間サブスクリプションを選択するか、1回限りの500ドルの料金で直接購入することができます」という回答があったもよう。
つまり、(Mアダプティブサスペンションが)オプションにて設定されているクルマの場合、すでに最初から車両にこれが組み込まれているということになり、車両購入時にオプション費用を支払いこれの利用が可能となるほか、納車後であっても課金により「アンロック」することでMアダプティブサスペンションの利用が可能になるということを意味します。
よって、アダプティブサスペンションのコントロールに必要なソフトウエアはもちろん、それに対応したダンパー、さらにアクチュエーターなどの物理パーツが製造時から組み込まれていて、消費者はこのコストを(オプションを選択したかどうかにかかわらず)ある程度支払っている、ということに。
いったいなぜBMWは最初からアダプティブサスペンションを物理的に装着しているのか
なお、こういった「最初からオプションを車両に組み込み、課金によって機能をアンロックする」のはテスラが最初に取り入れたもので、テスラのクルマははじめから「いわばフルオプション」にて製造され販売されています。
そしてそのオプションを使用したければ課金するより他はないのですが、テスラがこの方法を採用する理由は「製造時のコスト引き下げ」。
一見すると様々な機能を最初から組み込むと生産コストが上がってしまいそうですが、実際には「オプション装着車と非装着車」とを分けて生産する必要がなくなるために生産効率が向上するわけですね。
ただ、パーツ代としてのコストが上がるのは間違いなく、しかしそれはある程度車両販売価格に転嫁すればすむことで、そして課金(サブスクリプション)によってもコストの回収が可能です。
ちなみにBMWは生産コストに対してけっこう厳しい会社であり、過去にはオプションを簡略・パッケージ化したことや、ボディカラーを相当数削減したことも(これらはある程度継続されている)。※ボディカラーの削減についてもテスラを意識したものだと思われる
よってBMWが今回のように「テスラ的」戦略を取り入れたことは驚きではないものの、この傾向は自動車業界全体に広がってゆく可能性もあり、とくに「台数よりも利益率」を重視するプレミアムカーメーカーでは”定番”となるかもしれませんね。
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参照:Motor1, Reddit