| ポルシェにしてはかなり珍しいリコール内容だと考えていい |
対応にはおそらく「けっこうな重作業」となる可能性も
さて、ちょっとめずらしいポルシェ911とタイカンのリコール。
「めずらしい」理由としては、この2車についてはリコールが比較的少ないことで知られているからですが、ポルシェの場合、自社独自に設計を行った911や718ボクスター/ケイマン、タイカンと、ポルシェ属するフォルクスワーゲングループの他ブランドとのパーツ共有比率の多いパナメーラ、カイエン、マカンとの間では明らかにそのリコールの届出件数が異なるためであり、911、718、タイカンは元来非常にリコールが少ない車種でもあります(やはりほかブランドとの共通性を持たせると、他ブランドが設計した部分との関連性を持たせることが難しいのだと思われる)。
対象となるポルシェ911とタイカンは「わずか3台」
そして今回北米市場にてNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)に届け出られたリコールの内容を見てみると、そういった「911、718、タイカンのリコールが少ない(信頼性が高い)という事実を示すかのように、対象となるのは「わずか3台」。
内容としては「車体生産ラインでの工程ミスにより、一部の車両で特定の溶接やその他の接続箇所が実行されておらず、そのために衝突時に車両が期待通りの性能を発揮できない可能性があり、負傷のリスクが高まる」というもの。
詳細を見てみると、ポルシェは2023年3月28日の製造の「ホワイトボディ(まっさらのボディで、いわゆるドンガラ)」段階において、溶接接続点が設定されていない可能性がある車両があることを発見し、その後の調査により、米国で影響を受けている3台に加え、海外市場でも同じ問題がある12台がリコール対象となることを把握しています。
ただ、ポルシェは現在この問題によるクレームや事故報告を受け取っていないといい、あくまでも問題となるのは「衝突時」にとどまるということなのかもしれません。
参考までに、現時点では日本の国土交通省にはリコールが届け出られておらず、日本市場向けの車両はリコール対象に含まれていない可能性もありそうですね。
ポルシェ911だと直近でこんなリコールがある
なお、ポルシェ911の直近のリコールを見てみると、2023年モデルの911GT3、911カレラ、911カレラ カブリオレ、911ターボなどにリコールが出されており、内容としてはいずれも共通して「助手席エアバッグが展開した状態で衝突するとダッシュボードが破損し、エアバッグが適切な役割を果たさない」というもので、この対応としては「ダッシュボードを交換する」というものが示されています。
ただし2023年モデル(2022年7月以降の生産)の911についてはこれ以外のリコールは(今回のものを除くと)登録されておらず、やはり911のリコールは少ない、と考えて良さそうですね。
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参照:NHTSA