
Image:ugur_sahin_design(Instagram)
| 918スパイダー後継はまだ登場せず、おそらく計画は「白紙撤回」 |
この状況で「ミッションX」の市販は難しいだろう
ポルシェが918スパイダーの後継と目されるモデル、ミッションXを発表してからすでに2年以上が経過しています。
この2023年に公開されたEVコンセプト 「ミッションX」 は、次世代ハイパーカーのビジョンとして注目を集めたものの、その後ポルシェは沈黙を保っており、一方でフェラーリやマクラーレンはF80やW1といったハイパーカーを発売済み。
つまりかつての「918スパイダー、ラフェラーリ、P1」というハイパーカー御三家が登場した時代とは異なってポルシェのみが「出遅れている」状態です。
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ポルシェは「ミッションX」につき今年中に市販の可否を決めるとされていたが。現在の市場、ポルシェの状況を考慮するに発売は難しく、できたとしても「ハイブリッドへ変更」か
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ポルシェはなぜ新世代ハイパーカー競争に出遅れたのか
そして「出遅れている」理由は明白で、それはポルシェが「918スパイダー後継モデルをEVとして発売しようと考えていたから」。
ポルシェとしては、自社のハイパーカーは、既存技術を使用した、パワフルで速いだけ」のクルマでは十分ではなく、「今までにない新しい技術を使用した、これからの未来を示唆するクルマでなくてはならない」と考えており、918スパイダーで採用した「ハイブリッド」を更に進化させた「ピュアエレクトリックカー」こそが未来であると考えていたのだと思われます。
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ただしそこから今までのわずかな間に大きなハイパーカー市場の変化があり、それは「誰もがエレクトリックハイパーカーを欲しがらなくなった」こと。
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これは直近のイベント出展内容、そしてクリスチャン・フォン・ケーニグセグ(ケーニグセグ創業者)、メイト・リマック(リマック創業者)、そのほかハイパフォーマンスカーメーカー各社の動向を見ても明らかですが、こういった傾向を見てもポルシェ(リマックに出資しており、リマックの状況をよく理解している)がミッションXを市販するとは考えにくいという状況です。
よって、ポルシェがハイパーカーを発売するのなら、それはピュアエレクトリックではなく「別のパワートレーン」を選ぶしかないのかもしれません。
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オランダのデザインスタジオが提案する「960 GT RS」
そんな中、オランダの Ugur Sahin Designが提案したのが 「960 GT RS」。
これは918スパイダーの精神的後継を目指したデジタルデザインスタディで、GTカーの快適性とハイパーカーの攻撃性を融合させた新しいポルシェ像を描いています。
デザインの特徴
フロント
- 918スパイダーと現行911を思わせるフロントマスク
- シャープなLEDライトと大口径のエアインテーク
- スプリッターにより低く構えたスタンス
サイド
- ダイナミックなエアインテークとサイドスカート
- フロントアーチ後方のベンチレーションで迫力を強調
リア
- 複雑なカットを持つエンジンカバー
- 電動可変式リアウイング
- 現行911を思わせるLEDライトバー
- 大型ディフューザーとデュアルエキゾースト
まさに「GTとハイパーカーの融合」というコンセプトを体現した造形を持つのがこのクルマです。
918スパイダー後継の必要性
ポルシェが本当に918の後継を投入したいと考えているのなら、いまは以下のような理由から「市場投入を急ぐべき時」。
- マルチミリオンダラー級のハイパーカー需要は過去最高レベル
- フェラーリ、マクラーレン、ランボルギーニはハイブリッドや限定モデルで存在感を発揮
- ポルシェだけがこの領域で「空白」を抱えている
この960 GT RSのようなモデルが現実化すれば、ポルシェは再びハイパーカー市場の最前線に返り咲ける可能性が高くなります。
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まとめ
「960 GT RS」はあくまでデザイナーによる仮想提案ではありますが、918スパイダーの後継に求められる要素を的確に表現しています。
ポルシェが本当に動くのか、それともミッションXのまま足踏みするのか ——近い将来の発表に注目が集まります。
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