| フォルクスワーゲンは現在のところ「クルマを販売してお金を稼ぐ」ことが難しくなっている |
そのため、現在の危機を回避するには「手っ取り早く」現金化できる工場の売却がもっとも有効である
さて、フォルクスワーゲングループではVW筆頭にアウディ、ポルシェまでもがEVの販売不振に引っ張られる形で販売台数と利益の両方を落としていますが、すでにアウディは欧州の工場をひとつ閉鎖することを決定し、フォルクスワーゲンもまた「その歴史上はじめて」ドイツ本国の工場を閉鎖することを検討していると報じられたばかり。
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どうしてこんなことに・・・。VWの販売が「工場2つ分」落ち込み、幹部が「回復するには1年、あるいは2年が必要」と語る。さらには「EVの需要がまったくない」とも
| 現代ほど「戦略」が販売を左右する時代はなく、VWはその戦略を誤ったと考えていい | すでにガソリン車の開発をほぼ停止していただけに、直近で販売を回復させることが可能な「持ち駒」も存在しない さて、 ...
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ついにフォルクスワーゲンはドイツ工場の売却を決定
そして本日アナウンスされたのが「フォルクスワーゲンが、中国にある工場ひとつ、加えて2つのテストコースの売却を決定した」という事実であり、これを見るに”ついに始まったか”という感じでもありますね。
もちろんこれは事業運営の再調整を試みる中での厳しい決断ということになりますが、フォルクスワーゲンは強い財務的な逆風に直面しており、そこでどうしても行わなければならないのが「コスト削減」。
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VWが「2026年に発表するモデルから大幅にデザイン変更」とコメント。元ベントレーのデザイナーのもと「原点回帰」「再び愛されるブランドに」
| フォルクスワーゲンは現在大きな転機を迎えており、この危機を乗り越えなければ未来はない | ただしフォルクスワーゲンにはそれほど「長い時間」は残されていないのかも 既報の通りフォルクスワーゲンは現在 ...
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今回売却されるのは中国の新疆地域で合弁相手のSAIC(上海汽車)と共同で運営している工場で、しかし興味深いことに、フォルクスワーゲンはこの売却と同時にSAICとのパートナーシップを拡大し、2030年までに18の新モデルを導入すること、SAICとの契約を2040年まで延長することについても発表しており、最初の2台の新型車はどちらも電気自動車で、早ければ2026年に登場する予定だと報じられています。
なお、この新疆地域の工場売却は、「人権団体がウイグル族に対する強制労働を含む虐待を明らかにしたことを受けて」の決定だと報じられ、フォルクスワーゲン関係者は、その地域で虐待が行われていないと否定していますが、同様の問題は常に欧米の自動車メーカーを悩ませており、株主総会においても「荒れる」ネタだと言われていますね。
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VW年次総会が大荒れ!活動家がポルシェ会長にケーキを投げつけるなど抗議活動が激化、強制退場も。投資家からは株価低迷や中国対策、強制労働の責任を追求される
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話を工場売却に戻すと、今週初め、フォルクスワーゲンのブランドCEO、トーマス・シェーファー氏は、少なくともドイツ国内で1つの工場を閉鎖しない限り、会社の目標を達成するのは難しいと語っており、(工場閉鎖による)解雇も避けられない可能性が高いと見られるものの、フォルクスワーゲンの労働組合は賃金削減で解雇を回避できると考えていて(解雇は避けたい)、両者の交渉にはなかなか”落とし所が見つからない”とも。
いずれにせよ、フォルクスワーゲンは、コスト上昇、競争の激化、重要な市場での販売減少という厳しい道を進むことになりますが、適切な措置を取ることで問題を修正することが可能となり、そして適切な措置とは、現時点では「工場閉鎖」ということになるのかもしれません。
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