| 世の中はなかなか思い通りに進まない |
とくにアルファロメオは直近で「あまり売れていない」状態だっただけに環境が急激に変わりすぎたことが原因だと思われる
さて、新型SUV「トナーレ」が人気のアルファロメオにちょっとした災難。
報道によると、トナーレは発売以降非常に人気が高く、大量の注文を受けたはいいものの、アルファロメオはこれを処理するに十分なキャパシティを持たず、工場の作業員がストライキを起こしたことで製造が停滞している、と報じられています。
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アルファロメオは新CEOを迎えて大きく変わる
トナーレはアルファロメオが新CEO、ジャン・フィリップ・インパラート氏を迎えて初めて発売する新型車。
同氏が就任する前からトナーレの開発が進められていたので、トナーレはジャン・フィリップ・インパラート氏が企画したクルマではないものの、同氏は発売直前にあったトナーレの発売を延期し、納得できる品質に仕上げた後に発売を行うなど、トナーレのヒットに大きく貢献した人物だと考えて良いかと思います。
そしてジャン・フィリップ・インパラート氏は、アルファロメオの今後の方針について、「真のドライバーズカーブランドへ」「台数よりも利益を追求」「信頼性の向上」「中古価格の高値安定」という明確な目標を掲げており、こういった目標を明確にした(ここ最近での)はじめてのCEOかもしれません。
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アルファロメオの工員は何を怒っているのか?
そこで今回のストライキについてですが、これは上述の通りトナーレの増産が一つの契機となっていて、アルファロメオは2月から南イタリアのポミリアーノ製造工場での(トナーレの)生産台数を増やすべくシフトを増加させているのですが、一方で向上や工員の管理に手が回らなくなってしまい、「不衛生なまま放置されているトイレ、作業服の不足、工場の暖房不足」といった問題が工員によって指摘されています。
なお、注目すべきはアルファロメオだけではなく(同じ工場内にある)フィアット・パンダの生産を担当する工員もストライキを行っていること。
さらには(アルファロメオとフィアットが属する)ステランティスがフランスに所有している工場にもこの問題が飛び火していて、これら工場の労働者が「工場の設備を改善するよう」経営者へと抗議を行っている、とも報じられています。
今回の報道を受け、アルファロメオとフィアットの親会社であるステランティスは「労働条件をないがしろにしている」という疑惑を否定し、自動車産業の競争環境を考慮しつつ、常に労働契約を遵守し、従業員を尊重していると主張していますが、かねてより行っていた人員削減によって施設メンテナンス要員が不足していることも事実であるようで、今月中になんらかの対策を行うことになる、という報道も。
参考までに、イタリアではかねてより労働争議が頻繁に起きているとされ、ランボルギーニ創業者、フェルッチョ・ランボルギーニが創業わずか数年で会社を手放そうと考えたのも(ボリビアのクーデターによる注文キャンセル、それによる業績悪化に加え)ストライキや頻発する労働争議にあったといい、そういった現状に「嫌気が差したから」だと(実子である)トニーノ・ランボルギーニの著書に記されています。
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参照:Bloomberg