| フェラーリは運動性能のみではなく、常に「運転しやすさ」「快適性」を考えている |
将来のフェラーリはユーザーエクスペリエンスが大きく向上するものと思われる
さて、フェラーリとハーマンとがパートナーシップ契約を結んだ、との発表。
なお、このハーマン(Haman)はドイツのチューナーではなく家電関連企業のほうで、現在は韓国サムスン傘下にありますが、ハーマン自体は米国に拠点を持ち、JBL、マークレビンソン、ハーマンカードンといった、自動車向けオーディオとしても馴染みが深いブランドを保有しています。※フェラーリはオプションにてJBLのオーディオを用意しているが、そこからのつながりなのかもしれない
そして今回の提携の目的とは「将来のスーパーカーのキャビンに最先端技術を導入するため」だと報じられており、その内容を見てみましょう。
フェラーリはハーマンと組んで何をするのか?
そこでフェラーリとハーマンとが具体的に何をするのかということですが、ハーマンはすでにスクーデリア・フェラーリF1チームの公式インキャビンエクスペリエンスチームパートナーを務めており、今後はハーマンの持つ「Ready Upgrade(レディアップグレード)ハードウェアとソフトウェア」を採用することによって、フェラーリ市販車のラインアップ全体における車内エクスペリエンスを向上させることができ、全体的なユーザーエクスペリエンスを改善することが可能になると報じられています。
フェラーリCEO、ベネデット・ヴィーニャ氏は、「今回のパートナーシップは、卓越性とテクノロジーとイノベーションの境界を押し広げることで知られる2つのブランド(フェラーリとハーマン)を結びつけるものです。私たちはハーマン社と協力し、車内エクスペリエンスにおける優位性を拡大し、お客様にとって、他社では体験できないドライブをお届けすることを楽しみにしています」とコメントしていますが、このベネデット・ビーニャ氏はテック業界(STマイクロエレクトロニクス社)からの転身という変わり種。
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さらには自身がCEOに就任した後も大きな人事異動を行い、やはり(自動車業界ではなく)テック業界出身者で上層部を固めるなど急速にエレクトリック化、そして「クルマの家電化」を推進しており、今回のハーマンとの提携もその流れの延長線上にあると考えて良さそうですね。
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今後のフェラーリは「ソフトウエア」でアップデート
今回焦点が当てられたのは、ハーマンの「レディ・アップグレード」システムというもので、これは最初から「アップグレード可能な」ハードウエア(インストルメントクラスターとインフォテインメントスタックなどで構成される)を装備しておき、これを駆動するソフトウエアを1年半~2年おきくらいのペースに書き換え、それによって「発売から時間が経過したクルマを最新の状態にアップデート」するもよう。※テスラと同じようなイメージだと思われる
なお、ハーマンはこのシステムを搭載したクルマを「スマートフォン」に例えており、新しい機能を(アプリをダウンロードするように)アップデートにて追加し、クルマを自分仕様へとパーソナライズすることが可能だとも述べ、フェラーリの新時代においてはこういった機能が一般的になるのかもしれません。
ちなみにですが、フェラーリは次世代を担う電気自動車を開発するにあたり、アップルにてiMacやアップルウォッチをデザインしたジョニー・アイブ、さらにはマーク・ニューソンとの共同にてデザインを行うと発表しており、今回の報道とあわせて推測するに、そのデザインとは車両外観のみにとどまらず、機能やインターフェースにまで及ぶのだと思われます。
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このほか、「レディ・ケア(Readey Care)」なるデバイスも紹介されており、これは車内センシング機能がドライバーモニターとして動作するもので、目の動きや心拍数、認知負荷などをトラッキングし、ドライバーのストレス、注意力散漫、眠気のレベルに応じて休息を提案したりということが可能となってきます。
フェラーリがこういった(レクサスばりの)機能を装備するというのはちょっと意外ではありますが、フェラーリは何年か前に「ドライバーの心拍数を読み取り、心拍数が高い場合には車両の出力を抑えて事故を防ぐ」といった特許を出願しており、以前からこういった「クルマとドライバーとの流動的な関係性」について注意を払っているのかもしれません。
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参照:CARBUZZ