| ランボルギーニ・ウラカンのライフタイム中、2人のCEOが交代している |
現時点でウラカンはランボルギーニにとって「もっとも成功したスーパーカー」に
さて、ランボルギーニが「現行世代のウラカンすべてのモデルを揃え」ランボルギーニ本社所在地であるボローニャからフォルテ デイ マルミまでの祝賀ツアーを敢行したと発表。
ウラカンシリーズの受注はすでに終了しており、2024年いっぱいをかけて受注分を生産することになりますが、発売開始からの10年の間ですでに25,000台が生産されており、そして今年の生産分をプラスすると「あと2,500台くらい」は上乗せされることになりそうです。
ランボルギーニ・ウラカンはこういった歴史を歩んできた
ランボルギーニ・ウラカンは、2013年12月にガヤルド後継モデルとして「ウラカンLP610-4」として発売されたのを皮切りに、ウラカンLP610-4スパイダー(2016年)、ウラカンLP580-2(2016年)、ウラカンLP580-2 スパイダー(2016年)、LP640-4ペルフォルマンテ(2017年)、LP640-4ペルフォルマンテ(2018年)と続いており、「LP640-4ペルフォルマンテ」では可変空力デバイス「ALA」を導入することで直線での加速性能とカーブでのダウンフォース向上いう相反する要素を両立し、これによって当時ニュルブルクリンク最速タイムを記録しています。
-
【随時更新】ニュルブルクリンクのラップタイム最新版。ランキング100位まで、そして「SUV」「FF」「EV」「コンパクト」などカテゴリ別最速車を見てみよう
Mercedes-AMG この2年ほどでニュルブルクリンクのラップタイムは大きく短縮 ニュルブルクリンクにおける市販車のラップタイム「最新版」。 このランキングも当初「ベスト50」から始めるも、なんど ...
続きを見る
その後2019年には「後期モデル」へと突入することになるのですが、ここで起きた変化が「ランボルギーニCEOの交代」。
それまでランボルギーニを牽引してきたステファン・ヴィンケルマンCEOが(フォルクスワーゲングループ内の定期移動によって)アウディスポーツへと異動することになり、代わりにやってきたのがスクーデリア・フェラーリの代表を努めていたステファノ・ドメニカリ氏。
そして同氏のもとで登場したのがウラカンEVO(2019年)で、ここで特筆すべきは「LP(=ロンギチューディナル・ポステリオーレ。エンジン縦置きという意味)」という表記がなくなったことであり、これはステファノ・ドメニカリCEOの新しい方針に従ったものだとされ、新戦略を反映したネーミングということに(近年のLPという表記自体も、ステファノ・ドメニカリCEOが復活させたものであった)。
-
ランボルギーニはなぜ「LPナントカ」という名称を使用しなくなったのか?→「ややこしかったから」。
たしかにここまで増えてくると覚えるのが困難に Motor Trendが「なぜランボルギーニはそのネーミングに”LP”を用いなくなったのか」という記事を掲載。なお、ランボルギーニが用いている「LP」とは ...
続きを見る
さらにはチーフデザイナーもフィリッポ・ペリーニ氏(イタルデザインへと異動)から現在のミッチャ・ボルカート氏へと変更になり、新しいデザイン要素が取り入れられたわけですが、この流れを受けてウラカンEVOスパイダー(2019年)、ウラカンEVO RWD(2020年)、ウラカンEVO RWDスパイダー(2020年)、そしてウラカンSTO(2020年)が登場しています。
-
ランボルギーニ・ウラカンSTO「別カラー」を見てきた!何度見てもこのクルマには驚きしか感じないな・・・。
| 一般の駐車場に停まっているウラカンSTOのオーナーがフロントフードを開けたらきっと誰もが驚く | どう考えてもこれが公道走行可能な市販車だとは思えない | さて、以前にランボルギーニ・ウラカンST ...
続きを見る
このウラカンSTOはモータースポーツに非常に近い位置にあるスーパーカーであり、ランボルギーニ創業者であるフェルッチョ・ランボルギーニが社是として「モータースポーツには公式に関わらない」としていた方針からすると異例の存在。
このウラカンSTOが実現した背景にはやはり(モータースポーツがDNAに組み込まれているフェラーリ出身の)ステファノ・ドメニカリCEOの意向が色濃く反映されているものと考えてよく、実際のところ同氏はもともとアウディがF1に参戦するためにフォルクスワーゲングループに呼ばれた人物だとされています(ただし折悪しくディーゼルゲートが発生し、同氏を本来の目的で活用することができなくなったため、ランボルギーニへと異動したようだ)。
そしてこのステファノ・ドメニカリ氏は着任以降ランボルギーニとモータースポーツを急接近させ、同社のモータースポーツ部門であったスクアドラコルセを活性化させることとなったのですが、ここではウルスのワンメイクレース(これは実現しなかった)や、サーキット走行専用ハイパーカー「エッセンツァSCV12」といった企画を相次ぎ立ち上げることに。
-
ランボルギーニ・ウラカンに「デイトナ24時間」優勝記念限定車登場。ロレックス・デイトナの「デイトナ」はこのレースのスポンサーが起源であることはご存知?
| ウラカンGT3 EVOは二年連続でデイトナ24時間、セブリング12時間を制覇 | ランボルギーニがウラカンEVOのスペシャルモデル、「ウラカンGT EVOセレブレーション(Huracan EVO ...
続きを見る
2021年、再びランボルギーニに転機が訪れる
しかしながら2021年にはステファノ・ドメニカリCEOがランボルギーニを辞してF1のCEOへと就任することになり、そこで呼び戻されたのが前CEOのステファン・ヴィンケルマン氏。
ここで同氏は(2022年に)ウラカン・テクニカを登場させていて、しかしこれはおそらくステファノ・ドメニカリCEO時代には予定されていなかった「計画外の」モデルだと考えられ、ステファン・ヴィンケルマン氏の意向が詰め込まれた(特別な)モデルだとぼくは捉えています。
というのも、そのサブネーム「テクニカ」は以前にステファン・ヴィンケルマン氏がランボルギーニCEOを努めていた時代に発売された「ガヤルド LP570-4 スーパートロフェオ・ストラダーレ・エディツィオーネ・テクニカ(2012年)」にはじめて同氏が採用したものであり、つまりこの「ウラカン・テクニカ」は自身がランボルギーニへと戻ってきたこと、そしてそれまでのステファノ・ドメニカリ氏の体制とは全く違う展開を行うことを示す意味があり、そして自身が再導入した「LP」という名称を撤廃したステファノ・ドメニカリ氏に対する”抗議”だったんじゃないかとも考えているわけですね。※「テクニカ」は同氏の考える最高峰を意味しているのかもしれない。ちなみにガヤルド時代に(前CEOが採用した)スーパーレッジェーラというネーミングを廃し、ハイパフォーマンスモデルを”ペルフォルマンテ”に置き換えたのもステファン・ヴィンケルマンCEOであり、同氏はネーミングに並々ならぬ重要性を見出している
-
ランボルギーニ最新モデル「ウラカン・テクニカ」を見てきた!EVO系とは異なるデザインを持ち、むしろペルフォルマンテに近いのかも(外装編)
| 実車はオフィシャルフォトで見るよりもずっと複雑なデザインを持ち、高級感とエキゾチックさに溢れている | ウラカン・テクニカはV10スーパースポーツ「最後の」モデルとしての存在感が十分 さて、ランボ ...
続きを見る
実際のところ、ランボルギーニが公開する公式フォトにおいても、このウラカン・テクニカが(ステファノ・ドメニカリ氏時代の)ウラカンEVOシリーズ、ウラカンSTOを従えて走るという構図が多く、これはステファン・ヴィンケルマンCEOの矜持を保たんがための意思表示なのかもしれません。
そしてウラカンシリーズの最後として登場したのが「ウラカン・ステラート」ですが、これはステファノ・ドメニカリ氏時代から計画されていたバリーエーションだと考えられ、しかし登場が遅くなったのは「ランボルギーニがはじめ挑戦する、車高の高いスーパーカー」であったからだと思われます。
-
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート正式発表!限定台数1,499台、「スーパーカーの体験とラリーカーの走りを一台に凝縮」【動画】
| ラリーモード装備の本格オフローダー、車両制御システムやコネクテッド機能も最新世代に | ウラカン・ステラートは22023年2月より生産開始 さて、ランボルギーニが待望の「ウラカン・ステラート」を正 ...
続きを見る
こうして見ると、ウラカンシリーズは「2人のCEO」によって、それぞれの想いをもって展開されてきたということがわかり、それぞれのモデルにはそれぞれのCEOの意志が表示されているのだということが汲み取れますが、ぼくとしてはやっぱり「もっとも好きなウラカンは”ウラカンEVO RWD”」だというところに変わりはありません。
現行世代のウラカンツアー「アルティメイト・ウラカン・ドライブ」を収めた動画はこちら
合わせて読みたい、ランボルギーニ・ウラカン関連投稿
-
ウラカンの究極形態「ランボルギーニ・ウラカンSTO SC 10°アニヴェルサリオ」発表。スクアドラコルセの10年に渡るモータースポーツ活動の集大成
| まさかこの時点でもウラカンの新しいバリエーションが登場するとは | ただしこのモデルについてはナゾも多い さて、ランボルギーニがヴァレルンガにて開催された2023年ワールドファイナルにおいて「(ラ ...
続きを見る
-
ランボルギーニが累計24,048台を販売したウラカンシリーズの終了に敬意を表し「EVOスパイダー」「STO」「テクニカ」「ステラート」にてツーリングを敢行
| ウラカンシリーズはベイビー・ランボルギーニのひとつの完成形として永遠にその価値を保ち続けるだろう | このバリエーションが公式に揃って走るのは今回が「初」 さて、ランボルギーニがその創立60周年を ...
続きを見る
-
ランボルギーニ・ウラカンに「3モデル2種」各60台の限定モデルが登場!デザインイメージは「アスレチックスポーツウェアやチームカラー」、同社の60周年記念
| この60周年記念モデルの他に「ウラカン最終記念限定モデル」の登場も囁かれているが | おそらくは現行世代でV10エンジンのライフが尽きるものと思われ、やはり記念限定モデルを出してほしい さて、ラン ...
続きを見る
参照:Lamborghini