>マセラティ

マセラティが本格的にパーソナリゼーションに参入し「オフィチーネ・フオーリセリエ」の立ち上げ、そしてカスタムされたMC20チェロ ”レス・イズ・モア” を公開

マセラティが本格的にパーソナリゼーションに参入し「オフィチーネ・フオーリセリエ」の立ち上げ、そしてカスタムされたMC20チェロ ”レス・イズ・モア” を公開

| この「オフィチーネ・フオーリセリエ」は、窮状にあるマセラティの救いの手となるはずである |

なお「オフィチーネ・フオーリセリエ」では1日に24台を生産可能

さて、現在「かなり厳しい状況」にあるプレミアムカーメーカーがマセラティ。

売上が半減してしまうという現実に直面し、期待をかけていた電動ラインアップ「フォルゴーレ」も市場に受け入れられずに計画を縮小することとなっているのですが、今回その状況においても収益を確保すべく、オーダーメイドプログラム「オフィチーネ・フオーリセリエ」、そしてそこでカスタムしたマセラティMC20を公開することに。

なお、マセラティは以前よりこの「フオーリセリエ(”シリーズ外”の意味を持ち、通常オプションでは対応できないカスタマイズを行う)」を立ち上げているものの、今ひとつ浸透しておらず、しかし今後は「オフィチーネ・フオーリセリエ」として認知度を向上させ、利用者を増やしてゆこうということなのだと思われます。

マセラティ
2022年は「全モデルに電動板”フォルゴーレ”を用意する」と明言したマセラティ。今回は「誰も欲しがらないため」MC20フォルゴーレの発売を中止すると正式に認める

| マセラティMC20フォルゴーレはそもそも「発表すらされていない」状態ではあった | その段階で計画がキャンセルされるとは、よほど反響が薄かったのであろう マセラティは2022年半ば、「フォルゴーレ ...

続きを見る

プレミアムカーメーカーにとって「パーソナリゼーションプログラム」は大きな収益の柱である

なお、こういったパーソナリゼーションプログラムは多くのプレミアムカーメーカーが展開しており、ポルシェは「エクスクルーシブ」、フェラーリは「テーラーメイド」、ランボル技0には「アドペルソナム」、ベントレーは「マリナー」、さらにはメルセデス・ベンツ、BMWやロールス・ロイスも同様の展開を行っています。

フェラーリ
フェラーリ「私たちは会社を成長させたいと思っていますが、それは販売台数を増やすという意味ではありません」。あくまでもフェラーリは1台あたりの利益向上を目指している

| フェラーリは新しい施設の稼働によって車両開発を効率化してコストを下げ、さらにはパーソナリゼーションを強化する意向を示している | おそらくは限定モデルやワンオフモデルにもリソースが割かれるはずであ ...

続きを見る

ここでは顧客の要望に応えることで高度なカスタマイズを行うことになりますが、手間がかかる反面、そのぶんのコストを顧客からもらうことができるようになるために「1台あたりの売上と利益」が大きく向上し、販売台数に頼らずとも利益を確保することが可能となるわけですね。

実際のところ、ベントレーは「マリナー」による限定モデルや復刻モデル、そしてレギュラーモデルのカスタムによって大きな利益をあげているとされ、ロールス・ロイスは「ワンオフモデルの制作」によって莫大な利益を獲得していると報じられます。

2

マセラティも「パーソナリゼーション」分野へと本格進出

ただ、こういった「パーソナリゼーション」につき、その部門を設けたからといって顧客がすぐにオーダーしてくれるわけではなく、そもそも「そのブランドのクルマに強い愛着を持つ」ファンがいることが前提です。

つまり、新興メーカーが「ワンオフモデルを作りますよ」といっても、そこへ数千万円、数億円を投じる人はそうそういないものと思われ、しかしブガッティやロールス・ロイス、フェラーリ、ランボルギーニのようにブランド力の高い、そして歴史のあるメーカーであれば、「顧客は喜んで大金をつぎ込む」という構図があるわけですね。

そしてマセラティというと、現在こそ苦しい状況にあるものの、非常に長い歴史を持ち、モータースポーツにおいても輝かしい戦歴を誇るため、「パーソナリゼーションビジネス」に参入する資格は十分であり、いやむしろ「なぜ今までこれを本格化しなかったのか」とも思えるほど。

3

そこで今回「オフィチーネ・フオーリセリエ」第一弾としてリリースされたのが「 MC20 Cielo Less is More(レス・イズ・モア)」。

この「オフィチーネ・フオーリセリエ」では、他の高級ブランドのプログラムと同様に、通常のオプションリストにはない仕様を選ぶことができ、しかし顧客は単にオプションブックを渡されてそこからカラーや素材を選ぶだけのものではなく、顧客はイタリア・モデナの施設を訪れ、専属デザイナーとともに塗装カラー、インテリア素材などを選定することができるのだそう。※このプロセスは、無限にある選択肢に圧倒されがちな顧客をサポートすると同時に、あまりにも奇抜なデザインの車が工場から出荷されるのを防ぐ役割も果たしている

このプログラムは、マセラティの主要モデルで利用が可能となっており、対象となるのはグレカーレ、グラントゥーリズモ、グランカブリオ、MC20、GT2 ストラダーレだと説明され、カスタム車両は通常の塗装工程を経た後に専用の「オフィチーネ・フオーリセリエ」エリアに送られ、ここで特別な仕上げが施されることとなるわけですね。

マセラティによると、このプログラムを通じて1日最大24台のカスタム車を仕上げることが可能だとされるので、受注をうまく集めることができれば、マセラティの窮地を救う救世主となるのかもしれません。

Small-26011-01-maserati-mc20-cielo-less-is-more

なお、カスタマイズのレベルは2段階に分かれており、その内容は以下の通り。

  1. Catalogue(カタログ):あらかじめ用意された「Corse(コルセ)」と「Futura(フツーラ)」の2つのコレクションから選択できる
    • Corse:クラシックなレーシングカーのカラーや素材を取り入れた仕様(往年のレーシングリバリーなど)
    • Futura:モダンで鮮やかな色彩や独自のパターン、レーザーエッチングなどを活用したデザイン
  2. Bespoke(ビスポーク):完全に自由なカスタマイズが可能で、ほぼ無限のオプションを選択できる※このレベルでの特注車のひとつが MC20 Cielo Less is More 

そこで今回公開されたMC20 Cielo Less is Moreを見てみると、この名前が示す通り、インスピレーション元はドイツ発祥の「バウハウス」。※バウハウスとは、シンプルで幾何学的な形状を重視したデザイン思想

1

このコンセプトが最も顕著に表れているのがエンジンカバーに刻まれたミニマルなトライデント(マセラティの象徴である三叉槍)ロゴで、さらに車体の各所に施されたストライプやホイールのアクセントカラーには、例えば以下のようにマセラティの歴史に関連する色彩が用いられることに。

  • レッド:マセラティの初期のレーシングカーに使われた伝統的なカラー
  • オレンジ:F1に初めて出場資格を得た女性ドライバーが乗っていたマセラティのカラーに基づくもの

そして外装こそは大胆なデザインを持つものの、一方で内装はシンプルにまとめられていて、ブラックレザーを基調として外装に合わせたトライデントの刺繍が施されるにとどまります。

マセラティはこのMC20のカスタムにかかったコストを公表しておらず、マセラティがサンプルとして製作したのか、あるいは特定の顧客の要望によって製作されたのかどうかも不明ではありますが、しかし間違いなく「非常に高額」であり、今後このカスタムプログラムを利用するほかの車両も同様に高価になることは確実であると思われます。

合わせて読みたい、マセラティ関連投稿

マセラティが「空前の販売減少」対策?グランカブリオに”お値段抑えめ”のエントリーグレードを追加、同時にグラントゥーリズモ含め仕様を調整
マセラティが「空前の販売減少」対策?グランカブリオに”お値段抑えめ”のエントリーグレードを追加、同時にグラントゥーリズモ含め仕様を調整

Image:Maserati | マセラティには当面有力な新型車を発売する予定がなく、現行ラインナップにて戦わなければならない | そしてこの品揃えにて戦うことは「容易ではない」 さて、マセラティが「 ...

続きを見る

マセラティ
EVとマセラティは「買ってはいけない」?EVや高級車は購入から5年で60~70%もの価値を失うことに。「新車購入者は高級さを求めますが、中古市場だとそれらは無意味です」

| 中古市場では「プレミアム性」よりも「現実的なクルマとしての価値」が重要視される | 中古相場は新車価格に関係なく「需要と供給」によって価格が決まる さて、先程は「値下がりしないクルマ」のランキング ...

続きを見る

マセラティがMC20に「AIを搭載し」322km/hにて走行して「無人で走行した最速のクルマになった」と発表。この経験は高速道路での自動運転に反映されることに
マセラティがMC20に「AIを搭載し」322km/hにて走行して「無人で走行した最速のクルマになった」と発表。この経験は高速道路での自動運転に反映されることに

Image:Maserati | これまでの記録であった「285km/h」を大幅に更新 | この速度域での車体制御技術は「通常速度」においても存分に発揮されるはずである さて、マセラティがMC20にA ...

続きを見る

参照:Maserati

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->マセラティ
-, , ,