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マセラティの親会社が「継続支援」を明言するものの、電動化の混乱と赤字続きで「もうダメかも」「存続危機」説が沸騰中

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| 今回、ステランティス、そしてマセラティのCEOから「マセラティは安泰である」というコメントが出されるが |

どこまでステランティスが「耐える」ことができるかはナゾである

さて、現在の自動車業界において(中国の進行メーカーを除けば)もっとも将来が危ないとされるのが「マセラティ」。

継続的に、しかも大きく販売が減少していることで赤字の垂れ流し状態が長年続いており、業界では「(親会社の)ステランティスがいつマセラティの売却や整理を決断してもおかしくない」との声が絶えないわけですね。

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伝統のブランド、そして続く苦難

マセラティは第一次世界大戦中にスパークプラグ製造からスタートし、その後は数々のモータースポーツにて優れた成績を収めつつも幾多の経営者変更を経ています。

創業者一族のマセラティ兄弟からオルシ家、シトロエン、デ・トマソ、フィアットそしてFCA(フィアット・クライスラー)、さらには(FCAから名称を変更した)ステランティスへと親元が代わり、フィアット傘下ではフェラーリの子会社として機能したこともありますが、その流れにて1990年代後半からはフェラーリ製V8エンジンを使用してきたわけですね。

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ちなみにFCAが誕生したのは2014年で、その前身でもあるフィアット時代にはフェラーリとともにマセラティもその傘下に収まっており(フェラーリの子会社であったのはこの時代である)、しかし2005年にはフェラーリと切り離されてアルファロメオと統合され、しかしこのタイムライン上においても「フェラーリ、マセラティ、アルファロメオ」は同じフィアットグループに収まることとなっています(そのため、ジュリアやステルヴィオに積まれるV6はフェラーリのV8エンジンと基本設計を共有している)。

ただ、フェラーリはその後2015年に上場、そして2016年にはFCAから分離されて独立した自動車メーカーとなっているのですが、仮に「マセラティが2005年にフェラーリから分離することなく、フェラーリの子会社のままであったなら」今頃フェラーリはマセラティに利益を食いつぶされていたのかもしれません(あるいは、今のマセラティとは異なるマセラティとなっていて、逆に栄華を極めていたのかもしれない)。

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そしてマセラティに話を戻すと、ステランティス内ではアルファロメオと近い関係を保ちつつも「独立したひとつのブランド」として運営されていて、エンジンも独自開発するに至ったものの、現実には販売不振、電動化の失敗、そしてアメリカでの輸入関税問題という三重苦に直面しているというのが現在の状況です。

一部報道では、2023年に約3億ドル(約450億円)の損失を出し、販売台数はわずか1万1300台にとどまったとも言われていますが、さらに2024年、2025年はここから販売を落とし続けており、ついに経営再建を目的としてコンサル大手マッキンゼーを招聘したという報道も(もはや内部だけでは状況を好転させることができないほど状況が深刻であるのだと思われる)。

ステランティスは「支援継続」と発表…だが不安は拭えず

そんな中で注目されたのが、マセラティのCEOサント・フィチリ氏がイタリア労働組合(Uilm)宛に出した公開書簡で、そこでは、「ステランティスはマセラティを含む全ブランド、そしてイタリアの従業員への支援を続ける」と明言されています。※イタリアでは昔から労働組合の力が強く、経営者にとって労働組合に対するケアが必須である

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さらにアメリカ市場についても、「マセラティにとって戦略的に重要な市場」と位置づけており、撤退の意志はないということがここで示されていますが、一方で、マセラティの主力セダン「クアトロポルテ」やSUV「レヴァンテ」のEVモデル(フォルゴーレ)計画は凍結されたと報じられ、ステランティスはそのために計上していた約15億ドルの投資をキャンセルにしたという報道も。

つまり、「少なくとも数年間、マセラティは新車のラインナップが非常に手薄な状態になる可能性が高い」ということは想像に難くなく、マセラティが「重要」だとしたアメリカ市場では、既存のガソリン車3モデルの販売が終了しており、2027年までに登場予定だったEVニューモデルの予定も不透明です。

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マセラティは「延命中」だが、予断を許さない

一応、今回はCEOからの公式コメントで「支援継続」が明言されたものの、ブランドとしての将来性には多くの不安が残りのが現状で、ステランティスがマセラティとアルファロメオの売却を検討しているとのウワサも(ステランティスが否定したにもかかわらず)くすぶっており、今後もマセラティの動向から目が離せないといったところですね。

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