ホンダNSXの情報量が多くなり、内容を一旦整理。
ここでは発売前のトピックをまとめてみます。
ホンダNSXは発売までに紆余曲折を経ており、そしてホンダ渾身のスーパースポーツということもあって発売前から様々な情報に溢れ、かつホンダ自身による多様なプロモーションも展開されていますね。
1:NSX開発用にホンダが購入したテスト用911GT3に、ポルシェがこっそりメッセージを残していた件
2:新型ホンダNSXはすでにイギリスでソールドアウト。新型シビック・タイプRの受注も開始
3:新型アキュラ(ホンダ)NSXは多彩なオプションを用意する模様。サーキット用OPも
4:ホンダNSXがオーストラリアのディーラーに到着。秋から販売開始
5:ホンダNSXの生産は2016年4月に開始。エンジンのボルトは547個、手作業で組み立て
6:新型ホンダNSXの情報が解禁に。重量1725キロのヘビー級
7:北米にて新型NSXは2/25より発売開始。価格は1900万円から2500万円まで
8:アキュラNSX一号車がオークションへ。なんと1億4000万円で落札
9:NSXにはじまりNSXに終わる。アキュラが新しいキャンペーン動画を公開
殆どの自動車メーカーは新型車を開発する際にライバルとなるであろう他社の車を購入するわけですが、ホンダも新型NSXを開発する際、実際に(オハイオ工場で)ポルシェ911GT3を購入した、とのこと。
問題はそのポルシェ911GT3にホンダに向けたポルシェからのメッセージが残っていたことで、NSXの車両ダイナミクスにおけるプロジェクト・リーダー、ニック・ロビンソン氏がそのメッセージを実際に発見したそうです。
もちろんホンダは「ホンダ名義」でポルシェ911GT3RSを購入するはずはなく、ポルシェにバレないようにいずれか個人の名義で購入したはずですが、例のコネクティングロッドのリコールの際になぜかその911GT3が「ホンダが購入した」ということが判明し、ポルシェのエンジニアが、その911GT3のエンジンカバーに下記のメッセージを残した模様。
Good luck Honda from Porsche. See you on the other side.
「other side」がここでは何を意味するのかは不明ですが、(サーキットなど)どこか別のところで会おうということなのか、「まあこの世では無理だろう」という余裕の現れなのかはわかりません。
しかしながら同業でこういったメッセージのやりとりをするのはなかなかに面白いことで、アメリカだとミニが過去にポルシェに対して公式に果たし状と呼び出しを行って宣戦布告したことがありますね(プロモーションの一環ではありましたが)。
1年前にUKホンダはデポジット(5000ポンド)を受け取って新型NSXの受注を開始しましたが、着実に注文が重なっていったようですね。
なお、UKに割り当てられた販売台数や価格は未定ですが、以前にホンダは「アウディR8の価格でフェラーリ458のドライブフィールを約束」と公言しているので、およそ2000万円前後かと思われます。
パワーなど詳細も不明ですがV6ツインターボ+エレクトリックモーター、そしてAWD(SH-AWD)というところは確実とされています。
なお、UKホンダはすでに新型シビック・タイプRの受注もはじめており、こちらは保証金が3000ポンド。
アキュラの幹部によると、「現在のスーパーカーの顧客はカスタマイズを要望している」とのことで、相当数のオプション、パッケージを用意しているようです。
カーボンファイバーを使用したものなどあるようですが、中にはサーキットに特化したパッケージもある模様。
ウエブサイト上でもカスタムできるよう、カーコンフィギュレーターも充実させるとのことで、こちらも楽しみですね。
北米に続き、オーストラリアのディーラーに新型ホンダNSXが配備開始。
エンブレムを見ると「アキュラ」ではなく「ホンダ」ブランドでの販売となるようですね。
日本ではまだ発売時期や価格は未定ですが、早く実車を見たいものです。
ただし、先代NSXのように車両がディーラーに並ぶことはほぼないかもしれず、珍獣並みに「幻」の車になるかもしれない、と考えたりします。
なおオーストラリアは比較的ハイパフォーマンスカーや日本車を好む地域でもあり、新型NSXはかなり人気が出るかもしれませんね。
新型アキュラ(ホンダ)NSXの生産がオハイオ州のホンダ工場PMC(パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター)で開始。
なおエンジンの組立は手作業で行われ、一基のエンジンが組み立てられるのに要するボルトは547本、そして6時間かかる、とのこと。
生産を担当するのは少数のグループでいずれも熟練工ということですが、AMGの「1エンジン1技術者」と行かないまでも、かなり慎重に組み立てていることがわかります。
NSXはハイブリッドということでかなり複雑な構造を持つと思われますが、そのぶん組み立ても困難を極めそうですね。
欧州へのデリバリーは秋ごろと言われますが、今のところ日本市場への投入時期は未定(価格すら発表されていない)。
まだまだ全貌が見えないホンダNSXですが、少しだけ情報が明らかに。
既報のとおりエンジンは3.5Lツインターボで500馬力を発生。
トルクは550Nmで7500にて最大となります。
エンジンブロックはサンドキャスト製法で作られ(たぶんフェラーリもサンドキャスト)、ターボはツインながらもシングルスクロールで軽量、ウエストゲートは電動。
地味ですがAピラー(ここはアルミではなくスチール)にこだわりがあり、業界初の3D構造採用にて高い強度を持ちながらも「細さ」を実現し、そのために見通しが良くなっているとのことです。
基本的なボディ構造はアルミですが、スチールとの組み合わせによって強度を確保しているようで、初代NSXのときに感じた「捩れ」は今回は少ないかもしれません(初代NSXは段差に乗り上げて駐車して運転席・助手席のドアを開け、また閉じるとそれだけでドアとボディとのチリがズレていた)。
トランスミッションは9速デュアルクラッチで、ここには47馬力のモーターが一つ内蔵。
モーターはフロントアクスルにも二つ内蔵され、それぞれが36馬力を発生。※トータルで「573馬力」とされますが、計算上は「583馬力」。ギアボックス内のモーターが「500馬力」に含まれるのであれば計算は合ってくる
バッテリーはリチウムイオンバッテリーでエンジンとシートとの間にミッドシップマウントされる、とのこと。
0-100キロ加速は3秒、トップスピードは時速307キロとされています。
重量は1725キロとのことで、”かなり重い”と言って差し支えないと思います(レンジローバー・イヴォークと同じくらい)。
同じようにリアにエンジンを持ち、トランスミッションとフロントアクスルに合計3モーターを内蔵するAWDのポルシェ918スパイダーは1450キロ程度で、これは価格=素材の差、と言えるかもしれません(逆に考えるとポルシェ918スパイダーの4/1程度の価格で同じシステムを持っているのは驚異的)。
なおアウディR8 V10は4WD、V10エンジンでモーターなしで1630キロとなっており、610馬力にて0-100キロ加速は3.2、最高時速は330キロ。
ポルシェ918スパイダーは887馬力、0-100キロ加速は2.8秒、最高時速は345キロ。
フェラーリ488GTBは重量1370キロ、670馬力、0-100キロ加速は3.0秒、最高時速は330キロ。
日産「ゴジラ」GT-Rは重量が新型NSXとほぼ同じ1740kgで550馬力、0-100加速は2.7秒(唯一これは新型NSXよりも安価な947万円)。
ここでぼくがふと思うのは、ポルシェ918スパイダーの場合はガソリンエンジンのみでは達成しえない馬力や加速を得るためにモーターを使用している、ということです。
反面、フェラーリはエンジンスペックを高めることで驚異的なパフォーマンスを実現し、モーターを不要にしているとも考えられますね。
となるとNSXは?となるのですが、最高速度や加速性能がガソリンエンジンのみのフェラーリ488GTBやアウディR8と同等であるのにガソリンエンジンとモーターという動力源を複数持ち、構造が複雑になり重量がかさむ結果に。
もちろんこれは価格が上がる要因にもなってしまっているわけですが、ハイブリッド化で得られたものと損なわれたもののバランスはどうなんだろう、と考えるのですね。
得られたものとしては燃費とSH-AWDによる旋回性能、レスポンスの向上だと思いますが、それにしてもガソリンエンジンのみで軽量化を追求したほうが良かったかもしれず、とにかくこれは登場を待つしかない(本当に機構を複雑にし重量を重くしてまでモーターが必要だったのかを今は判断することができない)、と考えます。
モーターのみで走行する際はFFになる(リアモーターはEVモード時には作動しない)とのことで、となると時速60キロ程度までではありますがFFとしてのセッティングとエンジンを動かした際の4WDという異なる駆動レイアウトでのセッティングが混在することにもなり、これもホンダはかなり苦労した部分でないかと想像します。
なお重量物を中心に集めたり低重心化を図るのはほかのメーカーでも行っていることですが、これはNSXも同様で、そしてNSXは「このクラスでもっとも重心が低い」としていますね。
NSXの販売価格については正式なアナウンスはありませんが、スタンダードな仕様で1800万円程度と見られるようです。
オプションとしてはカーボンファイバー製ルーフ、エンジンカバー、リアスポイラー、プレミアムサウンドシステムとナビゲーションシステムを含むテックパッケージなどが明らかになっていますね。
日本においては本日が情報解禁日であり、すでにメディア向け試乗会が開催されていることもあって続々と試乗レポートが各メディアより公開されると見られますが、日本のメディアはホンダに対しては手放しでほめる傾向にあり、鵜呑みにするのは非常に危険。
実際のところ各メディアはS660についてもそのボディ剛性の高さを褒めちぎっていますが、実際に乗った印象ではとても褒められたものではなく、対してマツダ・ロードスター(ND)は素晴らしいボディ剛性を持つものの、あまりそれを褒められていない模様。
ぼくは基本的にホンダ党なので新型NSXに対しては強い興味があり、しかしあまりに期待して裏切られるのを警戒し、ついついネガティブなことばかりを考えてしまいますが、いい意味で「予想を裏切ってくれる車」であればなあ、と考えています。
新型NSXの車体サイズは全長4470、全幅1940、高さ1215ミリ。
フェラーリ488GTBが同4568/1952/1213ミリなので、488GTBよりちょっと短い感じですね。
なおランボルギーニ・ウラカンは同4459/1925/1165、マクラーレン570Sは同4530/2095/1202(たぶん全幅はミラー込み)。
ホイールベースは2630とこのクラスでは標準的(フェラーリ488GTBは2650ミリ、ウラカンは2620ミリ)です。
フロントサスペンションはダブルウイッシュボーン、リアはマルチリンク式で、タイヤサイズはフロント:245/35ZR19、リア:305/30ZR20。
以前に公開されたNSXのオプションなどはこちら
アキュラNSXは2/25より発売し(一号車の納車先は決定済みとのこと)、同日にカーコンフィギュレーターも公開される模様。
価格は156000ドルから205700ドル(輸送費抜き)。
日本円だとおおよそ1900万円〜2500万円といったところですね。
205700ドルの場合は選べるオプションをすべて装備した条件ということです。
ボディカラーは8色、インテリアカラーは3色から選択可能。
ホイールは3つのデザインをそれぞれペイントもしくはポリッシュから選べるようですね。
カーボンセラミックブレーキはオプション扱いとなり、カーボンファイバー製ルーフ、カーボンファイバー・インテリアパッケージも用意されるということです。
エンジンは3.5L V6ツインターボで573馬力を発生。
トランスミッションは9速デュアルクラッチで車重は1725キロ。
これは北米での値なので日本式の表示だともっと重くなりそうです。
0-100キロ加速は3秒、最高時速は307キロとされています。
NSX一号車がオークションへ出品され、1億4000万円で落札。
落札したのはリック・ヘンドリック氏で2012年にもカマロZL1の一号車、2014年にはコルベットの一号車、そしてBMW M5 30週年記念車の最後の一台を落札している、とのこと(すしざんまいの社長みたいですね)。
落札金額はサンダンス映画祭にて同じくホンダが行った「セレブにNSXのボンネットにサインしたものをオークションに」というイベント同様、チャリティーに回されるそうです。
アキュラが新しくブランドキャンペーンを開始し、その動画を公開。
新型NSXを中心にその製造・開発風景やほかのアキュラ車についても触れています。
アキュラは新しく「プレシジョン・コンセプト」も発表していますし、ここから何かが変わってゆくのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=yI6oWTysy0E