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トヨタ「水素こそディーゼルに代わる未来の燃料」人々の懐疑論に反論、なぜトヨタは水素を信じ続けるのか

トヨタ「水素こそディーゼルに代わる未来の燃料」人々の懐疑論に反論、なぜトヨタは水素を信じ続けるのか

| 現時点で「水素」は成功した燃料とは言えないが |

それでもトヨタはじめいくつかの自動車メーカーがそこに可能性を見出している

電気自動車(EV)への投資が進む一方、水素燃料電池車(FCV)への取り組みを続けるメーカーも存在し、その代表格がトヨタです。

そしてもちろん、全く水素に興味を示さない自動車メーカーも数多く存在し、「次世代の自動車燃料」としてこれほどまでに評価が分かれる対象も他にないのかもしれません。

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トヨタはなぜ水素を「信じる」?

つまるところ、「水素こそ未来」という少数派(トヨタやヒョンデ、BMW)、「水素に未来はない」という残り大多数とに分かれるのが現在の状況ではありますが、今回オーストラリアのカーメディア「Car Expert」に対し、トヨタ・オーストラリアの副社長ショーン・ハンリー氏が次のように語っています。


「ディーゼルは今後10年で消えることはないだろう。しかしその先の未来では、水素がディーゼルに取って代わると考えている」

さらにハンリー氏は「現在は水素を軽視する人も多いが、インフラが整備されればディーゼルを超えるポテンシャルがある」とも強調しています。

水素の歴史:200年の歩み

水素の歴史は意外と古く、1807年には世界初の水素エンジン「ド・リヴァズ機関」が登場しています。

その後も19世紀を通じて研究は続きましたが、20世紀初頭のガソリンエンジン普及によって水素研究は下火へと向かうわけですね。

トヨタ
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しかし1966年、GMが世界初の水素燃料電池車「Electrovan」を発表し、NASAのアポロ計画でも燃料電池技術が採用されるなど、水素の可能性は途絶えることなく探究されてきた、という知られざる歴史があることもまた事実。

そして2014年、トヨタは世界初の量産型FCV「ミライ」を発表し、ホンダも2008年に「FCXクラリティ」を発売しましたが、販売台数は限定的に留まっています。

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水素インフラという最大の課題

EVと同様、(燃料としての)水素の普及には充実したインフラが不可欠です。

しかし現実には、アメリカでシェルがカリフォルニア州の水素ステーション7か所を全閉鎖するなど、普及の足かせとなっていて、日本でも同様であり、数少ない水素ステーションのうち、少なくない割合が稼働していないという状況も。

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それでも各メーカーの取り組みは続いており、BMWは次世代燃料電池システムを開発し2028年に量産を開始するというアナウンスを行ったばかりです。※ポルシェ、フェラーリ、アルピーヌも水素に関する研究を行っていると報じられている

一方、ステランティスは「水素はニッチ市場に過ぎない」として投資を打ち切り、フォルクスワーゲンも同様の見解を示すなど、メーカーによって姿勢が大きく分かれているというのが現状です。

BMW
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まとめ:水素は本当に「ディーゼルの次」になるのか?

トヨタは「水素こそ未来の燃料」と信じ、長期的に投資を続けていますが(燃料電池、そして水素を直接燃焼させるという両方の観点から研究を行っている)、水素インフラ整備の課題は依然として大きいものの、自動車業界全体では「水素を諦める派」と「可能性を信じる派」とに分かれています。

そして批判を浴びつつも「EVではなくハイブリッド」を推進し、その信念の正しさが証明されたように、トヨタの考える「水素」の時代がやってくるのかもしれません。

水素社会の到来はまだ不透明ですが、トヨタの執念が自動車産業の方向性を左右する可能性も考えられ、まだまだ判断がつきかねるのがこの「水素」だと思います。

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参照:Car Expert

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