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シャオミはEVを1台販売するごとに135万円もの赤字を出していた。しかしリビアンの-476万円、フォードの-687万円に比べると赤字幅は小さく2年以内には黒字化か

シャオミはEVを1台販売するごとに135万円もの赤字を出していた。しかしリビアンの-476万円、フォードの-687万円に比べると赤字幅は小さく2年以内には黒字化か

Image:Xiaomi

| EVビジネスがいかに大変であるかがわかると同時に、いかにコスト管理が重要であるかもよくわかる |

そして「コスト」という点で中国に勝ることは非常に難しい

さて、シャオミはその電気自動車第一号「SU7」を発売し好調なデリバリーを記録していると報じられていますが(第2四半期には27,307台を納車している)、そのSU7は1台売るごとに「9,200ドル(現在の為替レートにて約135万円)もの赤字を記録している」との報道。

こう聞くと「儲かっていない」ようにも思えますが、これまでにリビアンは1台あたり33,000ドルの損失を生み、フォードはなんと47,600ドルもの赤字を出しているというのでシャオミはそれらに比較すると「ずいぶんマシ」だとも考えられます。

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シャオミは「チャイナスピード」にて既存自動車メーカーを追いかける

なお、シティバンクのアナリストによればシャオミの損益分岐点は30〜40万台だとされ、そこまでの台数を販売すれば「あとは黒字に転ずる」ということになりますが、ここから推測するに、リビアンやフォードが黒字に転じるのは「まだまだ先」ということになるのかも。

シャオミの自動車部門は6月30日までの(初のフルデリバリー四半期となる)第2四半期に2億5,200万ドルもの損失を計上していますが、上述の通り同四半期には27,307台を納入しており、シャオミによれば「今年11月までには10万台を納入可能」。

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よってあと2年ちょっともあれば30万台を達成でき、うまくゆけば黒字化ができるものと思われ、さらにシャオミは第二弾となるSUVも投入する計画を持っており、今後はさらに販売ペースが増加するのものと見られます。

EV第一弾「SU7」を発表し大量受注獲得に成功した中国シャオミ。すでに第二弾としてSUVが控えており、テスラ・モデルYを「狙い撃ち」との報道
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ちなみにですが、シャオミはこのSU7を発表したのちわずか4ヶ月でデリバリーを開始しており、この速度感はまさに「チャイナスピード」。

車両の開発費もEVの「コスト」に含まれるため、発売までに時間がかかればかかるほど車両コストは高くなってしまい、しかし中国車は一般的な日米欧の自動車メーカーに比較すると開発期間が12〜1/3とも言われており、ここが日米欧のEVが高い(中国製EVが安い)理由のひとつであるとも考えられます(これに政府の補助金が加わり、中国製EVはさらに安価で販売することが可能となっている)。

BYD
BYDは中国政府から直接補助金として3480億円を受け取っていた。これは収益の3.5%に相当し、さらに間接補助金も。どうりでEVを安く作ることができるわけである

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よって現在、日米欧の既存自動車メーカーは様々な戦略を採用しており、トヨタやフォードのように「進行していた新型EVの開発計画を(コストの観点から)思い切って中止し、代わりに低コストEVの開発に切り替える」ケース、そしてアウディやフォルクスワーゲンのように「中国の自動車メーカーを手を組んでその開発手法を取り入れる」例も。

フォルクスワーゲン
VWよお前もか。VWが中国シャオペンに投資しEVを共同開発するもよう。もはや中国市場では現地EVメーカーの助けなしには魅力的なクルマを作れない?

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ただ、興味深いことに(ほかの中国のEVメーカーのように)シャオミは海外に進出することを考えていないといい、シャオミCEO、雷軍氏は「SU7、そしてこれから発売する新型車についても海外に輸出する予定はない」と述べ、「今後3年間は中国市場に集中する」とも。

おそらくその後は満を持して海外進出ということになるのだと思われますが、今後のシャオミの活躍にも期待がかかろうというものですね。

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