| ホンダはこれまで都会的でクリーンなデザインを売り物にしてきたが |
やはり現代において「低刺激な」デザインでは売れないようだ
さて、ホンダが米国などで販売しているSUV、パスポートをマイナーチェンジ。
ただしマイナーチェンジといえどその変更の内容はけっこう大きく、というのもこれまでのシティ派路線から急に「マッチョ派」へと転じたため。
アップデートされた内容としてはフロントバンパーに始まり、パワーバルジを備えた新しいボンネット、新形状を持つフロントフェンダー、新しいアップライトグリルデザインなど(フロントバンパーは現在流行の”バンパー内の空気をフロントタイヤへと導く新しいベントを装着”することで空力性能を向上させている)。
さらにはリアエンドにも変更が加えられており、より大きなテールパイプを備えたアグレッシブなリアバンパー、トウヒッチカバー、スキッドプレートガーニッシュが採用されています。
ホンダはトヨタに惨敗したことで路線変更?
参考までに、ホンダはこれまでCR-Vのライバル関係にあったRAV4に(モデルチェンジを期に)惨敗し、それはヤリス(ヴィッツ)とフィットでも同じです。
つまりホンダは全世界で、そしてセグメント問わずトヨタのマッチョで奇天烈なデザインに対抗できないという現実を思い知らされており、これまでの薄口デザインからマッチョへと路線変更を図ることを検討中だとも報じられていますね。
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実際のところ、ホンダのデザインは「マッチョ」路線へ
そして実際にホンダは徐々にマッチョ路線へと転じており、この新型パスポートは最たる例かもしれません。
さらにこの新型パスポートには「トレイルスポーツ」なる新グレードが設定されており、これは画像を見る限りではスバルの「ウィルダネス」に強く影響を受けたものだと考えて良さそう。
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スバルの影響を受けたのはホンダだけではない
なお、ウィルダネス発表以前から、スバルの「ちょっとゴツめのルックス」は非常に高く評価され、実際に売れていたわけですが、これまで「ソフトでオシャレ」なプレミアム路線を貫いていたマツダもこの路線に倣うことになっており、つい最近のCX-5のフェイスリフトではなんと「オフロード風味」のグレードを投入することとなっています。
これはある意味では非常に大きな衝撃であり、この現象は一部で「スバル・エフェクト」と呼ばれているようですね。
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そして「スバル化」を行ったのはマツダのみではなかったようで、今回のホンダ・パスポートもまた然り。
このトレイルスポーツはフロントとリアのトラック(トレッド)が10mm広くなり、専用デザインを持つグリル、よりアグレッシブなフロントとリアのバンパー、シルバーで仕上げられたリアのスキッドガーニッシュが特徴です。
さらには245/60R18タイヤを装着した新デザインの18インチホイールを装備し、エクステリア全体に「TrailSport」バッジを配しています。
キャビンについても、TrailSportバッジや刺繍のほか、ステアリングホイール、ドアパネル、シートに施されたオレンジ色のコントラストステッチなどが採用され、メータークラスターはブラッククロームで囲まれた個性的なデザインに。
こういった部分もまたスバル「ウィルダネス」を連想させるところでもありますね。
なお、今回のマイナーチェンジにおいて、トレイルスポーツを含むパスポート全モデルに対し最高出力280ps、最大トルク262lb-ft(355Nm)の3.5リッター自然吸気V6エンジンが標準装備されることになり、トルクベクタリング方式の四輪駆動システムと9速オートマチックトランスミッションとの組み合わせにて提供されるとのこと。
そのほか運転支援システムとして前方衝突警告機能付き衝突軽減ブレーキシステム、車線維持支援システム、車線逸脱警告機能付き道路逸脱軽減システム、アダプティブ・クルーズ・コントロールなどが標準装備されているようですね。
今後はさらにハードなオフローダーも
驚くことに、ホンダは将来的に「よりアグレッシブなタイヤやオフロードチューンのサスペンションなどを装備したモデルを用意する」としていますが、手始めに(今回のパスポートに対し)グリルやフェンダーフレア、ホイール、リアクオーターパネルのHPDグラフィックなどを変更した「HPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)パッケージ」をオプションにて設定しており、アメリカン・ホンダのナショナル・オペレーション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるデイブ・ガードナー氏によれば、「当社のライトトラックの真の頑丈さ、オフロード性能を知らない人もいるかもしれません。しかしトレイルスポーツを追加することで、将来的にはさらにオフロード性能を向上させる下地ができました」とコメントしており、ホンダにおいてはますますスバル化が進むことになりそうです。※HPDによるオプションは、先にマイチェンしたリッジラインにも用意されている
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