| 簡単に言えば高電圧低電流システムで、電装品を効率よく動かすことができ、ケーブルを細くできるので軽量化にも貢献する |
現在はドイツの自動車メーカやサプライヤーを中心に普及が進む
さて、テスラは先日インベスター・デイを開催していますが、そこで語られたいくつかの計画のうちのひとつが「48Vシステムを採用する」ということ。
なお、テスラのクルマはこれまで(車両の各システムをコントロールするのに)ほかの大多数のクルマ同様、12Vで動作させていたものの、サイバートラック以降は48Vシステムを用いることになるとコメントしています。
テスラが(車両駆動用とは別の)電装品を駆動する12Vバッテリーを48Vへと移行させるのには理由があり、まず「古くなった鉛バッテリーはテスラ車の故障の主な原因となるから」。
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テスラは電装品駆動用としてリチウムイオンバッテリーを導入していた
テスラはまずこれを回避するため、2021年に(モデルS / モデルXプレッドから)リチウムイオンバッテリーへと(鉛バッテリーから)変更を開始しており、現在は全てのモデルがこれに置き換わっています。※同時にバッテリー単体で87%もの軽量化も達成できている
ちなみにこのリチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーの3倍ほどのコストだとされ、よってこれを採用するのはあまりコストを気にしなくてもいい、そして軽さが至上命題であるスーパースポーツ(しかもその上位クラス)くらいなのですが、「コストにこだわる」テスラが信頼性の工場のためにリチウムイオンバッテリーを導入していたというのはちょっと意外な事実でもありますね。
48Vシステムにはいったいどういったメリットがあるのか
しかしながらテスラはこの(12V)リチウムイオンバッテリーから48Vシステムへと移行を図ることになり、その理由は「12Vシステムに比べて出力が高くなる一方、電流を4分の1に減らすことができるから」で、これによって配線を細くすることが可能となり、コストだけではなく重量をも削減できるということに。※テスラは配線の重量に対してもかなり気を使っていて、モデルYでは、それまでの車種に比較して配線全体の重量が1/3くらいになっているとコメントしている
なお、この48Vシステムは主にドイツ車で使用されることが多く、現時点ではまだまだ普及していない技術です。
フォルクスワーゲン、アウディ、メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェが核となって48Vシステムはシステムの規格「LV148」を定めていますが、この規格に沿ってボッシュなどのサプライヤーが様々なシステムを提供している、と報じられています。
これら5社のほか、ベントレーも48Vシステムを導入していることでも知られますが、自動車メーカー / ブランドによって使用する部位が異なり、電動ターボや電動スタビライザー、アクティブサスペンション、各種ヒーター、オーディオシステムに使用するといった例も。※C8世代のコルベット、フェラーリ・プロサングエも48Vシステムを採用している
テスラはこの48Vシステムの導入によってより効率的かつ信頼性に優れる動作を目指すということになりそうですが、同時にシステム全体のコンパクト化、軽量化も達成でき、またひとつテスラの優位性が増えるのかも。
こうやって見ると、テスラはコストを単に「削る」のではなく、(上述のリーチ有無異音バッテリー然り)長期に渡って生産効率を向上させたり信頼性を向上させることができるものであれば、よろこんで先行投資を行うようですね。
参考までにですが、現在は12Vが電装品駆動用としては主流ではあるものの、1960年代では6Vが標準だったといい、そういった歴史を鑑みるに、48Vが標準となる時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。
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