| 日本が一気に欧米の製品を追い越しいたのと同様、中国製品が他の国を追い抜く時代もそう遠くはないだろう |
それにしても、フォードCEOも驚くレベルにまで中国製EVが「進化」していたとは
さて、フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)が実際に中国製EVに触れ、そこで「脅威となる存在」と率直に表現し、その急速な進歩を強調するとともに大きな警戒が必要であることに言及したとして話題に。
ほんの数年前だと中国の自動車メーカーが市場で最も魅力的で技術的に進歩したEVを(しかも数多くのメーカーが)生産する」などとは業界の専門家のほとんどが予想していなかったかと思いますが、しかし今まさにそれが起こっており、この現実はフォードのジム・ファーリーCEOとジョン・ローラー最高財務責任者(CFO)に大きなショックを与えることとなったわけですね。
しかもこれは「昨年」にフォードが体験したことである
そして今回報じられている内容は、フォードのCEOそしてCFO二名が「最新の」中国製EVに触れた結果ではなく、実際には「昨年初頭に」中国へと飛び現地での調査を行った結果なのだそう(そして中国は、その”チャイナスピード”によってそこから今まで、さらなる進歩を遂げている)。
報道によれば、(長年にわたり中国で強力な存在感を示し、しかし2022年辺りから急速にシェアが下がったため)ジム・ファーリーCEOとジョン・ローラーCFOが中国に飛び、そこではフォードが合弁事業を行っている現地企業、長安汽車の電気SUVを体験することに。
ウォールストリートジャーナルの最近の記事によると、ジム・ファーリー氏がハンドルを握り、ジョン・ローラー氏が助手席に座ったそうですが、そこで2名を待ち受けていたのは「まさに衝撃の事実」であったといい、そこでジョン・ローラーCFOが驚きのあまり発したセリフが「ジム、これは前とは全く違う。彼らは我々より先を行っている」。
さらに帰国後、ジム・ファーリー氏はフォードの取締役で元ゴールドマン・サックス幹部のジョン・ソーントン氏に「この存在は脅威だ」と語ったことも伝えられています。
つい先日フォードは野心的なEV計画の一部を撤回していますが、時系列的にはこの「中国での試乗」が先にあり、この試乗、そして中国での様々なEVを調査した結果、フォードはEVへの投資と戦略を変更し、「ひとまずはハイブリッドとプラグインハイブリッドに投資し、その間に安価なEVを開発する」と発表したということになるかと思いますが、現在多くの自動車メーカーが「EVオンリーの未来からハイブリッドとプラグインハイブリッドへ」とその方針を変更しているものの、「安価なEV」つまり中国製EVに対抗する戦略を明確に打ち出したのはおそらくフォードのみであり、つまり昨年の訪中がよほど衝撃的であったのだと思われます。
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補足しておくと、フォードは7月初めに「2027年初めまでに、中国からの魅力的な代替品と競合するように設計された、3万ドルの”求めやすい”EVを発売する準備を進める」と発表し、一方でそれまで進めていたEV計画の見直し(中止または延期)に触れ、その後7月第3週には「2030年までに欧州で完全電動化する計画はもはや実現不可能であり、市場では純粋な内燃機関搭載車、ハイブリッド、BEVを引き続き販売する」という声明を出しています。
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