| このまま2035年にガソリン車の販売を禁止したとして、誰も得するものは居ないだろう |
現実問題として、この無意味な「禁止」はひっくり返るという見方が大勢を占めている
さて、一部では「ユーロ7導入と2035年の内燃機関(ガソリン/ディーゼル)搭載車の販売禁止」について撤回あるいは延長がなされるのではないかという意見が出ていますが、今回はそれが「現実になるかもしれない」との報道。
ロイター報じたところによれば、欧州議会最大の政治団体である欧州人民党(EPP)はEU上層部に”考えを変えるよう”圧力をかけているといい、この手段として用いられている草案には「2035年の内燃機関禁止という決定は撤回されるべき」と記されているのだそう。
ユーロ7導入は延期、2035年の内燃機関禁止は撤回か
欧州人民党は代替燃料で動く車で内燃機関が2035以降も生き残ることを望んでいるとされ、草案には「自動車メーカーが2035年以降もプラグインハイブリッド車を販売できるようにすべきだ」という記載があると報じられていますが、しかしその根拠については今回報道されず。
しかし察するに、直近で報じられた自動車工場閉鎖や失業を懸念してのことだと思われ、欧州で活動する多くの自動車会社が需要の減少に直面し、EV販売や導入に関する高い目標を延期していること、EV転換の最右翼であったボルボでさえ”2030年以降もガソリンエンジン搭載車を販売する可能性が高い”と述べている状況を鑑みるに、この問題提起は「当然」の結果なのかもしれません。
なお、欧州人民党は来年施行される厳格な排出規制を2027年まで延期し、企業が(規制値を超えることによる)罰金を支払わないようにするという要望を出しているそうですが、これは先日発表された「ユーロ7導入の内容緩和」をさらに自動車メーカー寄りとしたものです。
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以前に報告されたように、現在のCO2排出平均目標である115.1 g/km(WLTPサイクルに基づく)は、2025年に導入されるユーロ7だと(緩和によって約19%減少し)93.6 g/kmになるものの、それでも各自動車メーカーは、フリート排出目標を1グラム超えるごとに95ユーロ(100ドル)の罰金を支払う必要があり、そして罰金はすべてのクルマに適用されるため、フォルクスワーゲングループのような大手自動車メーカーの場合、この罰金の総額はすぐに膨らんでしまい、企業の収益を大きく圧迫してしまうわけですね。※ルノーのCEO、ルカ・デ・メオ氏は計算を行い、来年だけで業界が支払う罰金は150億ユーロ(現在の為替レートで約2兆4000億円)にのぼると見積もっている
現時点ではまだまだ「何がどう転ぶか」はわからないものの、欧州人民党は、欧州議会と最近任命された新しい欧州委員会における最大の政治団体であるため影響力があるといい、そしてもしEUにて「内燃機関車販売禁止の撤廃」あるいは禁止時期の延期がなされたとすると、その決定は全世界になんらかの影響を及ぼす可能性があり、この成り行きには全世界が注目することとなりそうです。
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参照:Reuters