| 自動車は様々な分野にて「進化」の余地がありそうだ |
新しいシステムはミシュラン以外のタイヤでも機能するもよう
さて、レカロの倒産と救済、BBSの破綻など様々なニュースが飛び交った2024年の自動車業界ですが、一方で興味深い動きがあり、それはブレンボがオーリンズを買収し、直近でミシュランとのパートナーシップ契約を締結したこと。
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ミシュランとブレンボは「制動距離の短縮」を狙う
この両者の協業は「制動距離の短縮を実現する」ためだといい、これは競合他社以外にとっては、すべての人にとってウィンウィンの状況に聞こえます。
ブレンボは、自社のブレーキシステム、車両モデリング、人工知能に関する専門知識を提供し、ミシュランはこれらにタイヤモデリングおよびアルゴリズム開発のノウハウを組み合わせて新しいシステムを創出することになると報じられていますが、この革新は、ミシュランの接続ソリューションソフトウェアから得られるタイヤのグリップデータを、ブレンボの(現在開発中である)SENSIFYブレーキシステムにリアルタイムで継続的に送信することで実現するのだそう。
そしてブレンボとミシュランのシステムを組み合わせるメリットは実際に成果として発揮されており、(2輪においておこなわれている)時速50~120キロからの減速テストでは最大4メートル(小型車1台分)の制動距離の短縮を実現できるといい、これは実に大きな進歩ということに。
ブレンボによると、この(テスト中の)ブレーキシステムは、より迅速な反応時間、トラクションの損失の最小化、横方向の安定性の向上、さらにはホイールロックの解消を実現できるとのことで、注目すべきは「必ずしもミシュラン製タイヤとのセットである必要はない」ということ。
「ブレンボでは、技術と人工知能の力を信じています。実際、私たちはますますソフトウェアの能力を取り入れ、車両全体、そしてキャリパー、ディスク、摩擦材に関する専門知識を組み合わせる企業になりつつあります。SENSIFYは、ゼロ事故を目指す新たなブレーキの標準を示しています。このミシュランとのパートナーシップは、自動車産業における協力と革新の力を物語っています。」
ブレンボCEO ダニエレ・シラッチ
おそらくここので(ブレンボを通じての)オーリンズの役割は「ノーズダイブなどでいずれかの車輪の設置能力が失われないよう」車体の安定性を保つこと、剛性の確保にあるのだと思われますが、こういった報道を見るにつけ、自動車はまだまだ進化の余地があるということなのかもしれません。
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