
| 欧州でテスラ販売が急減、業界全体と逆行する深刻なトレンド |
欧州EV市場は“追い風”なのに、なぜテスラだけ失速?
欧州市場におけるテスラの販売が2025年に入ってから大幅に減速。
特に2025年4月には、新型モデルYでさえ前年同月比で51.1%減少という衝撃的な数字が報告され、2024年に「世界でもっとも売れたクルマ」となったモデルYの存在感が明らかに希薄化していることがわかります。
もちろん「世界で最も売れた」のは従来型ではありますが、新型モデルYはこの従来型を大きく超えるパフォーマンスを持っており、実際のところテスラ自身も「新型モデルYのデリバリーが始まれば状況は好転する」とコメントしていたものの、実際には状況が良くなるどころか「悪くなっている」わけですね。
そしてこれは単なる一時的な減速ではなく、市場トレンド全体と逆行する形でもあり、深刻な問題となっています。
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モデルY:テスラ最大の主力車種も失速
実際の数字を見てみると欧州では「販売半減」。
上述の通り、新型モデルへの移行完了後の数字であるため、「モデルチェンジに伴う移行期」では片づけられない状況です。
- 2024年4月:9,704台
- 2025年4月:4,743台(−51.1%)
モデル3や高価格帯モデルも大幅減少
さらにはテスラ全車種にわたって急速な販売落ち込みが発生していますが、ここで注目すべきは、欧州全体の自動車市場が(テスラの販売状況とは裏腹に)EVシフトを加速させているという事実。
- モデル3:−35.1%(4,768台 → 3,094台)
- モデルS/X合計:−69.1%(224台 → 69台)
欧州におけるパワートレーン別販売動向(2025年4月)
欧州市場全体の動向を見るとEVが「+28%」なので、これはテスラとは逆に成長を見せているということになり、テスラの直近の業績は「市場全体が低調だから仕方ない」という言い訳ができない状況に。
ただ、このEV市場の成長の裏には「メーカーごとの勝ち負け」があるはずで、おそらく勝ち組は「MGをはじめとする中国の自動車メーカー」、そして欧米ブランドの中にはテスラ以上に販売を落とした”負け組”が存在するのかもしれません。
- バッテリーEV(BEV):+28%
- フルハイブリッド(HEV):+16%
- プラグインハイブリッド(PHEV):+12%
- ガソリン車(非HV):−7.2%
- ディーゼル車:−19%
- 総販売台数変化:−0.3%(横ばい)
原因はクルマだけではない?マスクCEOとブランドイメージの問題
イーロン・マスクCEOは中東にて開催されたイベントにて「欧州以外の市場ではテスラ車の需要が強い」とコメントしており、裏を返せば「欧州市場ではテスラ車の需要が低い」と認めているということになりそうです。
そして欧州市場においてテスラ車の販売が低調な理由については、「現地でイーロン・マスク氏の発言・行動への反発が続いており、一部ではボイコット運動や抗議活動も報告されている」ことでも分かる通り同氏への反発で、「CEO個人とブランドイメージの分離が困難な企業体質」が、販売に悪影響を及ぼしている可能性も否定できません。
テスラの今後:戦略見直しは不可避か?欧州で“孤立”、転換期を迎える
現在のところ、テスラおよびイーロン・マスクCEOは目立った価格政策変更や戦略転換を行っておらず、“静観”の構えを見せています。
しかし、販売がこのペースで落ち込めば、株主や取締役会による同CEOへの圧力が強まる可能性もあり、モデルYでさえ売れず、ブランド全体の将来が懸念される状況の中で、今後のテスラが戦略を再構築できるかどうかが問われています。
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