
Image:Volkswagen
| フォルクスワーゲンは命名法則に苦慮 |
一時は「かつての名称はすべて廃止」としていたが
フォルクスワーゲンは手頃なEV普及を狙う戦略の一環として、コンセプトカー「ID.2all」を2023年に発表していましたが、しかし、市販時にはその名称は使われず、伝統の「ポロ」ブランドを復活させた 「ID.ポロ」 として2026年初頭から生産が始まることが公式にアナウンスされることに。
加えて、VWは今後も「ID」というEVシリーズ名、そして従来の車名を組み合わせる命名方式を採用していく方針を明らかにしています。
-
-
VWが「2万5000ドル以下の」エントリーEV、ID.2 allを公開!「ゴルフより広い室内、ポロと同じくらい求めやすい価格」を実現し2025年に発売へ
| コンパクトEVは仁義なき価格戦争へと突入、既存自動車メーカーはテスラや中国車に対抗する必要に迫られる | ID.2 ALLでは「未来っぽさ」よりも「親しみやすさ」が追求されているもよう さて、フォ ...
続きを見る
Image:Volkswagen
「ID.2all」は消滅、新たに「ID.ポロ」として登場
なお、フォルクスワーゲンはかつて「ディーゼル不正事件」の影響を払拭するため、内燃機関をすべて廃止し、フォルクスワーゲンを連想される車名も廃止したうえ、デザインも一新して「全く新しいブランド」へと生まれ変わろうとしていましたが、その計画は様々な理由にて思うように進まず、「一部の現行車種の名称は残す」「デザインも現行モデルのイメージを残す」という流れへと回帰しています。
-
-
VWが重大発表を行うと宣言→「WVバスの復活」を改めてアピールし、「ディーゼル不正事件を忘れてほしい」と促す動画を公開
| 日本にいるとそこまでディーゼル不正事件の影響は感じないが | フォルクスワーゲンが「ワーゲンバス(タイプ2)」の再来となるエレクトリックビークル「ID.Buzz」を用いたキャンペーンを開始し、まず ...
続きを見る
ポロ生誕50周年に合わせた電動復活
そして今回、ついに「過去の名称を使用する」という決定がなされ、「ポロ」の名が継続されることが決まったわけですが、この「ポロ」は1974年に誕生(1975年モデルとして販売開始)しているため、ちょうど50周年を迎えるタイミングにてEV版の「ID.ポロ」が登場することとなるわけですね。
Image:Volkswagen
-
-
VWは次期ID.3とID.4にて大きな変化を取り入れ、デザインは「昔のVWっぽく」。加えて内装にも変化がもたらされ、より高級、しかし冷たさを排除しフレンドリーなデザインへ
| VWは現在危機的状況にあるだけに、その対策に対しても「全力で」取り組んでいる | そして対策が奏功すれば、状況が一変する可能性も秘めている さて、ここ1年で「急激な」不振に陥ってしまったフォルクス ...
続きを見る
現時点ではガソリン車やハイブリッド車の一部は従来の名称を継続するものの、EV新モデルについては順次「ID+既存ネーム」に統一される予定であるとも説明され、つまりはBMW同様、「同じ車種にパワートレーン違いを用意し、電動版ではそれと認識できる呼称を追加する」方向へとシフトするのだと考えられます(ガソリン版とEV版とで明確なデザイン的、ラインナップ的な差異を設けない)。
Image:Volkswagen
-
-
VWがEVに関する戦略を大幅変更。「ゴルフ」「ティグアン」「GTI」「R」はEV時代にも生き残り、プラットフォームはポルシェ、アウディと共通のSSPへ
| VWのみではなく、同じグループに属するアウディ、ポルシェ、ベントレーもEVに関する計画に大きな「ズレ」が生じている | そしておそらく、今後も予想外の要因によって大きく計画の変更を余儀なくされるだ ...
続きを見る
GTIグレードの復活も確定
さらにフォルクスワーゲンは 「ID.ポロGTI」 を投入することも正式に発表。
これは「ID. GTIコンセプト」で示された方向性を具現化する市販モデルとなりますが、ガソリン時代から続く「GTI/R」といった高性能グレード名をEVにも展開することで、ファンにとって親しみやすく、ブランドの伝統を受け継ぐ戦略を採用するのだと考えてよく、これも「ガソリン時代との決別」から、「ガソリン時代の資産を活用する方向」への大きなシフトということになりそうです。
Image:Volkswagen
新型コンパクトSUV「ID.クロス」も登場予定
さらにVWは、 新型「ID.クロス(ID. Cross)」 というEVコンパクトSUVをIAAミュンヘン2025で発表予定だとも発表しており、これは欧州の「T-クロス」後継モデルにあたるとされ、ID.ポロ同様に手頃な価格帯を狙ったEVとなるもよう。
デザインはID.2allをベースにしつつ、Cピラーには特徴的な「3本ライン」のアクセントを採用するといい、価格は約460万円程度からとだされ、ヨーロッパ市場におけるエントリーEVクロスオーバーとして投入される見込みです。
価格と発売スケジュール
- ID.ポロ EV:約390万円、2026年初頭から生産開始
- ID.クロス EV:約460万円、2026年後半から生産開始
Image:Volkswagen
まとめ
- VWは「ID.2all」を市販化する際に「ID.ポロ」へ改名
- 2026年に生産開始、約390万円からの手頃な価格を実現
- 高性能モデル「ID.ポロGTI」も将来投入予定
- 新型コンパクトSUV「ID.クロス」も2026年後半に登場
- EVでもGTI/Rといった伝統グレードを継承
フォルクスワーゲンは、EV時代でも従来の「名前」と「キャラクター」を活かすことで、既存ユーザーを安心させつつ新規層も取り込む戦略を取ることとなり、今後の「再生計画」にも注目したいところですね。
Image:Volkswagen
合わせて読みたい、フォルクスワーゲン関連投稿
-
-
【ディーゼルゲートからもう10年】VW元幹部4名に実刑判決、なお31名が判決待ちという衝撃事実
| ディーゼルゲートは終わっていなかった——10年後の現在も続く法的責任 | 「利益優先」にて消費者を欺いた代償はあまりにも大きい 2015年に発覚したVW(フォルクスワーゲン)のディーゼル不正問題、 ...
続きを見る
-
-
VWがスローガン「Das Auto」を廃止。ディーゼル不正問題の影響で
VWが2008年以降掲げてきたスローガン、「Das Auto」を廃止の意向。 ただしイキナリ廃止するのではなく、徐々に廃止して行くようですね。
続きを見る
-
-
【VWの幻の電動スポーツカー】フォルクスワーゲンが極秘開発していた「SP2オマージュ」、そのスケッチが今になって公開される
Image:Stepan Rehak | 2017年、ディーゼルゲートの裏で極秘に進められていたもうひとつの“ID.”。フォルクスワーゲンが描いた夢のEVスポーツカーとは? | このスポーツカーが実現 ...
続きを見る
参照:Volkswagen