
| メルセデス・ベンツが「BMW製エンジン搭載」の噂を否定 |
ただし資本関係がある中国・吉利汽車との共同開発エンジンは新型CLAに搭載済み
かねてより報じられていた、メルセデス・ベンツがBMWからエンジン供給を受ける可能性について、メルセデス・ベンツが公式に否定したとの報道。
メルセデス・ベンツ グループ取締役会メンバー兼CTO(最高技術責任者)のマルクス・シェーファー氏は、ミュンヘンで開催されたIAAモビリティショーにて以下のようにコメントしています。
「そのような事実はありません。我々は新しいモジュラーエンジン・ファミリー“FAME(Family of Modular Engines)”を独自に開発しており、すでにEU7、中国7、米国規制に準拠しています」
噂の背景
この噂はもともと2024年夏に浮上したもので、BMW製の2.0リッター直4ターボ(B48)をメルセデス・ベンツが小型車やCクラス/EクラスのPHEVに採用するという内容。
目的は開発コスト削減と、EU7規制対応を効率的に進めるためとされていましたが、シェーファー氏の発言により、これらは根拠のない憶測であったことが明らかになったわけですね(ウワサに真実味をもたらしているのは、メルセデス・ベンツが「電動化推進のため、ガソリンエンジンの開発チームを一部廃止した」という事実である)。
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FAMEエンジン・ファミリー
なお、メルセデス・ベンツが独自に開発した FAME(Family of Modular Engines) は、約4年前に導入され、以下のラインアップをカバーしていますが・・・。
- 直4
- 直6
- V8
- V12
マルクス・シェーファー氏はさらに、新型の高性能V8が最終段階にあり、V12エンジンも継続して投入されることを明言したのがつい先日。
「我々は今後もV12、そしてV8を提供し続けます。メルセデスは自社開発による最新の熱機関レンジを有しており、それは未来に向けても揺るぎないものです」
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今後の展望
一部では「2027年以降、メルセデス・ベンツが小排気量エンジンをBMW製2.0リッターで置き換える」とも噂されたものの、今回の公式コメントにより同社が外部調達を検討していないことが明確に。
メルセデス・ベンツは電動化を加速させつつも内燃機関を完全には放棄せず、その象徴が新型GLCに見られる「EVとICEを同価格帯で並行展開する戦略」であり、大きく方針を転換した結果であるとも言えそうです。
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まとめ
- メルセデス・ベンツはBMW製エンジン供給の噂を公式否定
- 自社開発の「FAME」モジュラーエンジンが今後も主軸
- V8・V12を含むICEを継続投入
- 電動化とICEの両立戦略を維持
すなわち、メルセデスのエンジンアイデンティティはこれからも “Made in Stuttgart” であり続けることが確認され、新たなる方針のもと開発がなされるであろうエンジンには期待したいところですね。
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