
Image:Koenigsegg
| 世界最速の奪い合い:ケーニグセグ vs リマック |
実はケーニグセグはまだ「もっともパワフルなモデル」を戦いの場に出していない
ケーニグセグとリマックの間では様々な「記録争い」が繰り広げられていることが知られていますが、この「争い」については両社のCEOが共に楽しみながら行っていることもまたよく知られた事実です。
そしてこの記録争いの中心となっているのが「0km/h-400km/h-0km/h」加速・減速記録で、今年に入ってこの争いはいっそう加熱しており、リマックがネヴェーラ Rで新記録を樹立したわずか数週間後、ケーニグセグは驚くべき方法でこの記録を奪い返すことに。※リマックが4つのエレクトリックモーターを必要としたのに対し、ケーニグセグは後輪駆動(RWD)、しかも純粋な内燃機関車でそれを成し遂げた
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ケーニグセグは「切り札」を隠している?
しかし、ケーニグセグはこの記録戦争にまだ「切り札」を隠し持っているかもしれないことが示唆されており、しかもその最強の戦士は、既に記録を更新したジェスコ・アブソルート、そしてさらに過激なサデアーズ・スピアでもなく、意外にも同社の4シーター・ハイパーカー、「Gemera(ジェメーラ / ジェメラ)」となる可能性があるもよう。
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実際にケーニグセグCEOのクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は次のように語っています。
「我々はさらなる記録に挑戦するかもしれない。もちろん、このクルマ(ジェメーラ)は(ジェスコとは)別のレベルだ。ああ、どうなるか見てみよう。多分ね。」
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Who's coming along for a ride in this 1700 hp four-seater Autobahn rocket? Comment! 👇#Koenigsegg #Gemera #MegaGT #1700hp pic.twitter.com/B9G2BaStWZ
— Koenigsegg (@koenigsegg) February 24, 2022
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「ファミリーケーニグセグ」ジェメーラが持つ潜在能力
ケーニグセグが記録挑戦の武器としてジェメーラを選ぶことは驚くべきことではなく、というのもこの4ドア・ハイパーカーはケーニグセグのラインナップの中で最もパワフルなモデルだから。
そしてジェメーラのパワートレインは文字どおりに驚異的なスペックを誇ります。
- エンジン: 5.0リッター・ツインターボV8エンジンから1,500馬力
- モーター: Dark Matter(ダークマター)と呼ばれるエレクトリックモーターから追加で800馬力
- 合計出力: 2,300馬力。これはオールエレクトリックのリマック・ネヴェーラ Rが絞り出す2,107馬力を約200馬力上回る数値
このハイブリッド・パワートレインは、ケーニグセグの超高速変速機LST(Light Speed Tourbillon Transmission)と組み合わされ、四輪すべてにパワーが送られますが、これらを総合するに「ジェメーラの加速における優位性」を導き出すことが可能です。
The Gemera is the world’s first Mega-GT and Koenigsegg’s first for four. As a whole new vehicle category, it blends extreme Megacar performance with spacious interior (plus luggage space).
— Koenigsegg (@koenigsegg) January 24, 2022
📸 by Atsushi Makabe courtesy of Koenigsegg BINGO SPORTS#Koenigsegg #Gemera #Megacar pic.twitter.com/vGCcn0DBAh
ソフトウェアアップデートの可能性
現在、ジェメーラの公称0-60mphタイムは1.9秒付近であり、Nevera Rの1.66秒には及ばないとされていますが(それでも内燃機関搭載モデルとしては驚異的である)、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は「この差は克服可能」だと断言。
「このクルマはネヴェーラより軽量で、パワーも少し多い。四輪駆動とトルクベクタリングを備えている。だから、我々の目標は同等か、あるいは上回ることになるだろう。」
彼は、既にジェスコ・アブソルートのトランスミッション・ソフトウェアを改訂するだけで0-60mphタイムを2.8秒/2.9秒から2.6秒に短縮した実績を挙げており、同様のアップデートがジェメーラにも適用されれば、その性能はさらに引き上げられ、リマックに対する強力な「矢」となりうるのかもしれません。
Four seats for four adults and their carry on luggage in the Gemera. Spaciousness – checked! pic.twitter.com/5wauecy9fS
— Koenigsegg (@koenigsegg) October 1, 2020
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最速記録更新の歴史:戦いは始まったばかり
ケーニグセグとリマックによる激しい記録争いは、実はブガッティが2017年後半にシロンにて41.96秒を記録したことから始まっているのですが、ケーニグセグはこの記録達成から間を置かずにブガッティの記録を「あっさりと、そして大幅に」塗り替えることに成功しています。
当時ブガッティはこの記録を大々的にアピールしており(元F1ドライバー、ファン・パブロ・モントーヤを起用している)、おそらくは「どのクルマもこれを抜くことはできない」と考えていたのだと思われますが、実際にはいとも簡単にケーニグセグに抜かれてしまい、おそらくはこれが発端で「今後記録争いには参加しない」という正式コメントを出すことに。
No B-pillars. No leaning the front seats forward. No awkward crouching when getting in and out.
— Koenigsegg (@koenigsegg) December 14, 2020
Just two larger dihedral synchro-helix doors that open to provide easy access in and out of the Gemera for four people. Now that's what we call a true four-seater Mega-GT. pic.twitter.com/6nAmgpKV1w
その後この記録はケーニグセグとリマックとの独壇場となってしまい、ケーニグセグはこれまでRWD車のみで記録に挑み、25.21秒という驚異的な記録を樹立してきたものの、これはまだ「片手を後ろに縛った」状態だったのかもしれません。
よって今後、四輪駆動と圧倒的なハイブリッドパワーを持つジェメーラが記録戦線に加わることでこの戦いはさらに過熱することは間違いなく、しかし(上述の通り)両社のCEOは互いに尊敬し合う関係にあり、この健全なライバル関係が、今後もハイパーカーの性能の限界を押し上げていくこととなりそうですね。
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参照:CARBUZZ