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｜ 1200馬力ハイブリッドV6が生む「史上最強のドライバビリティ」と革新技術とは ｜
サマリー
• フェラーリの最新スーパーカー「F80」は史上最高のパフォーマンスと日常でのドライバビリティを両立することを目標に開発される
• V6ツインターボ＋ハイブリッドによってシステム合計出力1200馬力を達成し、市販フェラーリの最高出力記録を更新
• 驚異的な加速性能を誇り、0-100km/h加速はわずか2.15秒、0-200km/h加速は5.75秒を記録
• 耐久レース王者499Pと同じV6ハイブリッドアーキテクチャを採用し、F1やWEC直系の技術を惜しみなく投入している
• 非対称コックピットやeTurbo（電動ターボ）、そして250km/hで1050kgを生み出すアクティブ・エアロダイナミクスなど、革新技術の塊である
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フェラーリF80は288GTO、F40、F50、エンツォフェラーリ、ラフェラーリと並び「ビッグシックス」として認知されるのか？そもそもフェラーリの”スペチアーレ”の意義とは
Image：Ferrari ｜ フェラーリの「スペチアーレ」とはその時代のフェラーリを視覚的・構造的にあらわすものでなくてはならず、懐古的モデルであるべきではない ｜ そして歴代「スペチアーレ」を並べ ...
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フェラーリの歴史を塗り替える最新章「F80」とは？
フェラーリは現在「エンツォ・フェラーリ博物館」にて自社のスーパーカーの歴史に関する展示を行っていますが、最新の展示物として登場したのが「F80」。
なお、フェラーリがスーパーカーと呼ぶのは「GTO、F40、F50、エンツォフェラーリ、ラフェラーリ、F80」のみで、たとえば296GTB等の通常ラインアップモデルはスーパーカーではなく「スポーツカー」と呼ばれます（ただ、ぼくらにとってはそれらも立派な”スーパーカー”ではあるけれど）。
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フェラーリが「エンツォ・フェラーリ博物館」にて”スーパーカー”の展示を開始。ちなみにフェラーリが自社の製品でスーパーカーと呼ぶのは6台のみ
Image：Ferrari ｜ フェラーリにとってのスーパーカーは「（288）GTO」「F40」「F50」「エンツォフェラーリ」「ラフェラーリ」「F80」のみである ｜ これらに加え、派生したレーシン ...
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そしてこの展示に合わせて公開されたのがF80に採用される技術について語られる動画。
ここではその内容をかいつまんでみてみたいと思いますが、まず「フェラーリのスーパーカーとは、約10年周期で世界に示される、その時代のパフォーマンス、テクノロジー、そしてスタイリングの最大値を体現する特別なモデル。
つまり、フェラーリの”創立何周年”という記念モデルでありながら、「過去を振り返る」のみならず、未来を切り開き、その可能性を示すモデルというわけですね。
1984年のGTO（初のターボ）に始まり、F40（空力）、F50（F1とのアーキテクチャ統合）、エンツォ（カーボンセラミック/アクティブエアロ）、そしてラ・フェラーリ（初のハイブリッド）と続いたこの系譜。その第6章として誕生したのが「F80」です。
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F80は、単に過去の記録を更新するだけでなく、今後の市販モデルの技術の方向性を示すという重要な使命を背負ったスーパーカーですが、その開発は2020年初頭に始まり、チームはまず4つの根本的な問いに答えを出したのだそう。
その中で特に重要だったのが、「F80はサーキット専用のモンスターであるべきか、それともハイパーパフォーマンスとドライバビリティを両立すべきか？」という問いであった、と説明されています。
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そこでフェラーリが出した答えは明確で、F80は「史上最高のパフォーマンスを発揮しつつ、公道でも最大限に活用できる（Guidabile）クルマ」でなければならず、顧客が愛車をガレージに飾りっぱなしにするのではなく、カヴァルケードのようなイベントで長距離走行を安全に楽しめるように設計される必要があるという点がF80の核となる哲学というわけですね。
【車種概要と特徴】1200馬力を実現したV6ハイブリッドとF1譲りの技術
パワートレイン：V12からV6ハイブリッドへの挑戦
さらにF80の開発チームは「フェラーリのアイコンであるV12エンジンを選択するか、それともレーシングで最高のパフォーマンスを発揮するパワートレインを採用するか」という大きな決断に直面し、しかし彼らが選んだのは後者です。
現在のレーシングシーン（F1、WEC）で頂点に立つのはV6ターボとハイブリッドの組み合わせであり、F80は、ル・マンで勝利を収めた499Pとほぼ同じアーキテクチャを採用しています。
主要スペック（パワートレイン）
• エンジン：3.0リッター V6 120度バンク角 ツインターボ
• エンジン出力：900馬力（リッターあたり300馬力は市販車新記録）
• ハイブリッド出力：300馬力
• システム合計出力：1200馬力
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この驚異的な出力は、ただパワフルなだけでなく、ドライバビリティを追求する技術によって支えられており・・・。
• eTurbo（電動ターボチャージャー）：タービンを48Vのモーターで駆動させることで大型タービンに付きもののターボラグを完全に排除。これにより低回転域での応答性（レスポンス）と高回転域でのハイパワー（900馬力）を両立させる
• 800Vハイブリッドシステム：SF90ストラーデールと比較してバッテリー容量を維持しながらも40kgの軽量化を達成し出力密度を大幅に高める。多くのコンポーネント（バッテリー、モーター、アクスル）をフェラーリ内製とすることで、最適なシステム統合を実現
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駆動システムとシャシー：軽量化と剛性の極限追求
F80が1200馬力という強大なパワーを路面に伝えるために不可欠なのが、革新的なシャシーと駆動技術。
• 四輪駆動とトルクベクタリング：1000馬力を超えるパワーを後輪だけで制御するのは困難であるため、F80は前輪に電動アクスル（アッセル・アンテリオーレ）を搭載した四輪駆動（AWD）を採用。この電動アクスルは、左右のトルクを独立して制御するトルクベクタリングを可能にし、あらゆる走行条件下で車両挙動の予測性と反応性を向上させる
• 非対称コックピット：F80は「ツーシーター・モノシッター」という世界初の非対称な2座席構造を採用。ドライバーを優先し、助手席側を後方にずらすことでキャビンの幅を全体で50mm縮小することに成功。これにより前面投影面積を減らし、エアロダイナミクスに大きな利益をもたらしている
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フェラーリは当初F80を「より攻撃的にすべく」シングルシーターとして企画していたようだ。実現すれば”座席あたり”もっとも高額なロードカーになっていたかも
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• マルチマテリアルモノコック：シャシーはカーボンファイバーとアルミニウムのマルチマテリアル構造を採用。ラフェラーリと比較して重量を5%削減しつつ、ねじり剛性と曲げ剛性を50%も向上させ、開発チームは全ての固定ネジにチタンを使用するなど、徹底的な軽量化にこだわっている
• アディティブ・マニュファクチャリング：F1からフィードバックされた技術として、金属粉末からサスペンションレバーを製造するアディティブ・マニュファクチャリング（3Dプリンティング）を市販車で初めて採用。これにより、従来の鍛造部品に比べて5kgの軽量化を実現
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エアロダイナミクス：路面に張り付く異次元のダウンフォース
F80はその莫大なパワーを制御するため、史上最高レベルのエアロダイナミクスを備えています。
• 驚異的な垂直荷重：F80は250km/hで1050kg（1トン以上）の垂直荷重（ダウンフォース）を発生させ、これは通常のフェラーリのロードカーでは到達し得なかったレベルであり、「クルマをもう一台ルーフに乗せて走っているようなもの」
• F1コンセプトのフロア：ダウンフォースの主要な源は、F1から概念を導入した三次元構造のエアロダイナミック・フロア
• アクティブ・エアロダイナミクス：車高をリアルタイムで制御するアクティブ・サスペンションを組み合わせることで、どの速度域でもエアロダイナミクスを最適化し、高い高速安定性を実現※SDAC（サクション・アンド・ディフューザー・アクティブ・コントロール）や可変角リアウィングな複数のアクティブデバイスを搭載
走行性能とブレーキ
• 0-100 km/h加速：2.15秒
• 0-200 km/h加速：5.75秒
• フィオラノ・ラップレコード：1分15秒3（SF90 XX ストラーデールの記録を更新）
さらには制動システムも極限まで進化しており・・・。
• CCMR（カーボンセラミック・レーシング）：市販車として初めてCCMRディスクを導入
• 制動距離：100km/hから0まで28m、200km/hから0まで98m未満で停止可能。CCMRは熱安定性が高く、耐久性も従来の3倍に向上
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【デザイン】機能と美の融合：レーシングカーの視覚化
デザイン責任者であるカルロ・パラッツァーニ氏は、F80のスタイリングについて「デザインが機能に追従した結果であり、その機能を際立たせている」と説明します。
• コックピット：非対称構造に加え、インテリアはF1カーや戦闘機のように、ドライバーを隔離し、操作系を手の届く範囲に集約する人間工学に基づく
• フロント：中央の空力チャンネルを最大化するためラジエーターを左右のエッジに配置するという技術的要件を”デザイン”に落とし込んでいる。ブラックのスクリーン（ブラックバンド）が水平方向の視覚的なリズムを生み出し、技術的な複雑さを演出
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• サイド：空気の流れをキャビン周辺に集中させる「インプルウィウム（古代ローマ建築の集水域）」と呼ばれる特徴的な形状が採用され、その中にF40を彷彿とさせるNACAダクトが組み込まれる
• リア：V6エンジンへのオマージュとして、6つのエアアウトレットを持つ隆起した背骨（ドーサル）が特徴的
• アクティブウィング：停車時や低速走行時はボディのラインに溶け込みながらもクリーンなシルエットを保ち、いざ「パフォーマンスが要求される状況になると」と動作を開始しF80を「動く芸術品」へと変貌させる
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F80に凝縮されたレーシング・テクノロジーの真髄
F80は2018年に始まった構想段階からレーシング部門との情報交換を常に行ってきたといい、特にWEC（世界耐久選手権）のハイパーカーである499PとF80の開発は、ほぼ同時並行で進められることに。
そのため、エンジンアーキテクチャからエアロダイナミクスの概念に至るまで、両車は多くのDNAを共有しています。
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• 制約の違い：499Pのようなレーシングカーの制約は「レギュレーション」であるものの、F80のような市販車は「世界中のホモロゲーション（認証）」が最大の制約に。この全く異なる制約の中でモータースポーツに採用される技術を公道走行可能とするのがフェラーリのインジェニアリングチームの最大の課題であった
• AIブースト最適化：F80にはサーキット走行を前提とした革新的なソフトウェア機能が搭載されており、ドライバーがサーキットを数周するだけで車両はGPSに基づき最も効率的にハイブリッドのブースト（電力使用）を行うべきエリアを自動でマッピングし最適化。これは、レースエンジニアがサーキットで手動で行う作業をロードカーが自動で実行する画期的なシステムだとされる
• 統合制御システム：F80には40以上の制御ユニット（ECU）が搭載されており、エンジン、電動アクスル、アクティブサスペンション、電子制御ディファレンシャルなど、全てのシステムが協調して動作。ドライバーは意識せずとも、車両が状況に応じて全てのデバイスを最適に制御するため、高次元のパフォーマンスを安心して引き出すことが可能に
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結論：F80は単なる速さを追求したクルマではない、フェラーリの未来そのもの
F80は、過去のどのスーパーカーとも一線を画す「性能とドライバビリティの完璧な融合」という難題を達成しており、V6ハイブリッド、eTurbo、非対称モノコック、そして驚異的なアクティブ・エアロダイナミクスなど。
F80に投入された技術はフェラーリが今後10年間にわたってロードカーにフィードバックしていくであろう未来のテクノロジーの先行発表に他ならず、F80は単に速さの記録を更新しただけでなく、次世代のフェラーリが目指す姿、すなわち「F1や耐久レースの最先端技術を、誰もが公道で享受できる」という未来そのものを提示した「スーパーカー」ということになりそうですね。
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F80のスペック（主要項目）
| 項目 | 詳細 |
| システム合計出力 | 1200馬力 |
| エンジン出力 | 900馬力 (300馬力/L) |
| ハイブリッド出力 | 300馬力 |
| パワートレイン構成 | V6 3.0L ツインターボ + 800Vハイブリッド |
| 0-100 km/h加速 | 2.15秒 |
| 0-200 km/h加速 | 5.75秒 |
| 最大垂直荷重 | 1050 kg (250 km/h時) |
| 制動性能 | 200-0 km/h：98m未満 |
| シャシー構造 | 非対称カーボンマルチマテリアルモノコック |
| サスペンション | アクティブ・サスペンション（車高制御可能） |
| 特徴技術 | eTurbo, アディティブ・マニュファクチャリング製サスアーム |
F80が持つ「史上最高性能」と「優れたドライバビリティ」の両立は、まるでF1マシンが公道仕様に姿を変え、その高性能を誰にでも分け与えてくれるかのようでもあり、これまでのスーパーカーが持つ「扱いにくさ」という壁を、フェラーリは最新のレーシングテクノロジーと高度な制御システム（40以上のECU）で打ち破り、異次元の体験を身近なものとしています。
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