
| ランボルギーニはF1には参戦していないが、それだけに「F1にとらわれない」技術で革命に挑む |
この記事のポイント(要約)
- 「磁石」で動く新次元ウイング:重いモーターや油圧を捨て、電磁石による超高速・軽量な作動を実現
- ウイングに「穴」を開ける新発想:ウイングを傾けるのではなく、内部のフラップを動かして空気を「貫通」させる
- 伝統の巨大ウイングを維持:ランボルギーニらしい過激なルックスと最高レベルの空力性能を両立
ついに「磁石」の力へ。ランボルギーニが挑む空力の新境界
ランボルギーニが出願した最新の特許によると、そのエンジニアたちは、ぼくらが知る「DRS(ドラッグ・リダクション・システム)」の概念を根底から書き換えようとしているのかもしれません。
通常、F1や他社のスーパーカーが採用するDRSは、ウイング全体の角度を変えて空気抵抗を低減するという原理を持ち、しかしランボルギーニが新たに特許を出願したシステムはそれらとは一線を画す「複雑かつ合理的」なアプローチを採っていて、その鍵を握るのが意外にも「磁石」ということが明らかになっています。
詳細:ウイングの中に「ウイング」がある二重構造
今回の特許の最大の特徴はメインウイングの内部に「スロット(溝)」があり、その中に第2のフラップが隠されている点。
- 通常時(高ダウンフォース):内部のフラップがスロットを塞ぎ、一つの大きなウイングとして機能。強力なダウンフォースを発生させ、コーナリングを安定させる
- DRS作動時(低ドラッグ):磁力によって内部のフラップが移動。ウイングの表面に「穴」が開いたような状態になって空気がウイングを通り抜け、これにより空気抵抗が激減し、最高速度が向上する
参考:ダウンフォースとドラッグのジレンマ)
航空力学において、ダウンフォース(揚力の反対)を発生させると必ず「誘導抵抗」と呼ばれるドラッグが発生するのですが、ランボルギーニの新しい磁力DRSは、抗力係数を走行中に「磁石のスイッチ一つ」で劇的に変化させる魔法の装置であるとも解釈可能です。
なぜ「磁石」なのか?
これまでのアクティブ・エアロは、電動モーターや油圧アクチュエータによってウイングを物理的に動かしており、しかしランボルギーニの案は電磁石と永久磁石の反発・吸引を利用するもので、これによってシステム全体が「軽量」に仕上がるものと思われます。
なお、特許図面を見る限りでは「ウラカン・ペルフォルマンテ」のウイング形状に近く、そしてその理論もウラカン・ペルフォルマンテに近いため、「ALA」をアクチュエーターではなく「磁石で」動かすのがこの特許だと考えるといいのかも。
今回の特許のメリット
- 軽量化:重い駆動メカニズムが不要になり、ウイング全体を小型・軽量に作れる
- レスポンス:電気信号一つで瞬時にフラップが開閉するため、複雑なコーナー連続区間でもミリ秒単位での制御が可能
- 信頼性:可動部が単純化されるため、故障のリスクを抑えつつ、より巨大なウイング(ランボルギーニの象徴)を支えることができる
性能へのインパクト:Eau Rouge(オールージュ)を全開で?
そしてこのシステムの面白い点はウイングを「分割」して制御できる可能性を示唆していることで、例えば、ベルギーのスパ・フランコルシャンにある超高速コーナー「オールージュ」のような場所では、ウイングの一部だけを閉じて最適なダウンフォースを維持し、直線に入った瞬間に全開にして加速する……といった、ドライバーの要求に応じたきめ細やかな空力ベクタリングが可能となり、この効果を最大化しようとするならば、ランボルギーニはウイングだけではなくフロントスプリッターにこれを応用する可能性も見えてきます。
結論:ランボルギーニは「空力の魔術師」へ
かつてのランボルギーニは「パワーこそ正義」というイメージでしたが、ウラカン・ペルフォルマンテで採用された「ALA(エアロディナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ)」以来、世界屈指の空力エキスパートへと変貌を遂げたのもまた事実。
今回の磁力式DRSは、そのALAをさらに進化させた「2.0」あるいは「3.0」と呼べるもので、レヴエルト(Revuelto)やテメラリオ(Temerario)の今後のハイパフォーマンスモデルに搭載される日が来れば、ニュルブルクリンクの記録が再び塗り替えられるのも間違いないのでは、とも考えています。※ランボルギーニはこのALAの恩恵によって、過去にニュルブルクリンクの王座を獲得したことがある
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参照:CARBUZZ

















