| それぞれの自動車メーカーには、それぞれの事情そしてそれぞれの課題が存在する |
現在のケータハムは突如増加した需要に対応できておらず納車待ちが長期化
さて、超軽量そしてシンプルな「セブン」の生産と販売で有名なケータハムが「ピュアエレクトリック2シーター」を計画中との報道。
これはケータハムの最高経営責任者であるボブ・レイシュリー氏の言として報じられているもので、新しい工場にて、セブンよりも規模の大きな生産となり、早ければ2026年にも発表されると言われます。
なお、先日EUが下した最終決定に従うのであれば、ケータハムは「年間生産台数が1,000台以下(2021年は670台)」であり、ここから大きく販売台数が増えることはないと思われるため、EU内での販売については”ガソリン車禁止”の制限を受けないものと思われます。
しかしいつ風向きが変わるかはわからない
ただ、これはEUに限っての話であり、母国である英国、その他EU内でも独自ルールを課している国、そのほかガソリン車を締め出そうとしている国や地域での販売が締め付けられる可能性は否定できず、よってケータハムとしても新しい時代に向けた計画を進めているもよう。
その内容は大きく分けると3つあり、1つは「現行セブンを2032年まで継続生産」、2つめは「一方でセブン後継となるピュアエレクトリック・セブンを生産」、そして3つ目は「全く新しい新型ピュアエレクトリックスポーツ」の投入なのだそう。
まずは「セブンEV」についてですが、こちらは機が熟すのを待っているようで、というのも現段階ではバッテリー含むエレクトリックコンポーネントの重量が重く、現在の技術でセブンを電動化したとしても「セブンとは言えないシロモノになってしまう」ため。※1,000kgのセブンなら発売しない方がいい、と語っている
よってこちらはバッテリー含めた電動化技術がもっと進み、システム含めて軽量化できるようになってからの登場となるかもしれない、と述べています(車体そのものはすでに極限まで軽量化されているので、現在の重いエレクトリックシステムをチャラにできるほどの軽量化も難しい)。
ケーターハムは新型2シータースポーツを計画中
そして驚かされるのはもう3つ目の「新型エレクトリックスポーツ」で、これはケータハムによれば「セブンとは異なるモデル」。
ただしケータハムの特性でもある「軽さ、シンプルさ、敏捷性、パフォーマンス」といった特徴はそのまま引き継ぐとされ、さらにはセブンと同じ(しかし新設計の)スチール製のスペースフレームを採用する、とも。
加えて「2枚のシル、2枚のドア、フロントとリアのクラムシェルオープンの6枚のパネルからなる、アルミニウムまたはカーボンのエンベロープボディ」を採用する予定だといい、相当にスパルタン、そして相当に高価なモデルとなるかもしれません。※画像はカメル・デザインによるセブンのカスタムカー、「スーパーGA」
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現在このモデルについては何ら確定していないといいますが、「インフォテイメントシステムはスマートフォンで代用するなど極力シンプルに」「パワステ、ABS、エアバッグの装着は避けたいが、法規の関係で装着する可能性も」「EVを扱いやすく、楽しめるようにするためにトラクションコントロールを装備するかも」ということが語られているくらい。
ただ、その以前にケータハムには大きな問題があって、それは「生産キャパシティ」。
ケータハムはこれまで年間500台程度の生産規模を保ってきたものの、コロナ禍に入って「手軽に楽しめる等身大のスポーツカー」の人気が高まったこと、ガソリンエンジン搭載のピュアなスポーツカー、そしてマニュアル・トランスミッションの絶滅に対する危機感」から注文が増加しており、現在は長い納車待ちの列ができているといいます。
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しかしながらケータハムが急に増産をできない背景には、「ハンドメイド」による生産工程が多いこと、サプライヤー自体も少量生産を行う小規模工場なので(サプライヤーの)増産対応ができないこと、そしてすべてのサプライヤーが一斉に増産しないと意味がいないことなどがあるのだと思われ、よってニューモデルを発売しようと考えるならば、そこに使用する技術よりも「どこで作るか」「どうやってパーツを手当するか」を考える必要があるのかもしれません。
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参照:Autocar