>ルノー/アルピーヌ ■新型車・スパイフォト・ウワサなど

ルノーが新型トゥインゴを開発するため中国の自動車メーカーと提携との報道。今や「売れる」EVを開発しようとなると中国に頼るしかない?

| VWではなく、ルノーはなぜ中国企業をパートナーに選んだのか |

もはや欧州の自動車メーカーは中国の新興自動車メーカーから開発手法を学ばねばならない

ルノーとフォルクスワーゲンは「低価格EVの開発」に関して提携を行うと報じられていたものの、その直後には「共同開発が開始される前に両社の協業の可能性が消え去った」という報道がなされています。

なお、ルノーとフォルクスワーゲンとが提携を模索したのは「両社の立場が非常に近い」からで、つまりルノー、フォルクスワーゲンともに「普及価格帯のクルマ」を主として製造販売を行なっており、そしてこの価格帯はちょうど中国の新興EVメーカーと重複していて、そのため他社との協業等によって開発や製造コストを引き下げる必要性に迫られていたから(一方、価格帯やブランディング的に中国の新興EVメーカーと競合しないポルシェやメルセデス・ベンツなどのプレミアムカーメーカーはこの必要性に迫られていない)。

つまりは「中国車」という共通の敵に立ち向かうために手を組む必要があったというわけですね。

世界自動車市場の81%を持つ欧米自動車メーカーのシェアは「中国メーカーの台頭によって58%まで低下するだろう。テスラは現在の2%から8%へと伸び、ルノーとVWが失速する」
世界自動車市場の81%を持つ欧米自動車メーカーのシェアは「中国メーカーの台頭によって58%まで低下するだろう。テスラは現在の2%から8%へと伸び、ルノーとVWが失速する」

| さらに新興国や低所得地域では中国車のシェアが飛躍的に伸び、もしかするとこの推測以上に中国車の勢力が拡大する可能性も | たった数年で中国の自動車メーカーは状況を塗り替えてしまった さて、UBSグル ...

続きを見る

ルノーは開発パートナーに中国企業を選定?

そこで今回報じられているのがルノーと中国企業(現在は明らかではないが、吉利汽車か東風汽車ではないかと言われている)とのパートナーシップ契約の締結で、この契約によってルノーは(EVとなって蘇る)トゥインゴの開発を行うこととなるもよう。

Renault-Twingo (3)

ルノーが初代トゥインゴをEVで蘇らせる。ルノーCEO「日本の軽自動車にヒントを得ました。不要なパーツを排除することで300万円以下での発売を目指します」
ルノーが初代トゥインゴをEVで蘇らせる。ルノーCEO「日本の軽自動車にヒントを得ました。不要なパーツを排除することで300万円以下での発売を目指します」

| おそらくこのトゥインゴは「中国車対策」として急遽考案された計画外のモデルだと考えている | いずれにせよ、こういった楽しいクルマが増えるのは大歓迎である さて、ルノーが投資家向けに開催したキャピタ ...

続きを見る

このトゥインゴは2026年に2万ユーロという低価格にて発売される計画であるとアナウンスされていますが、この低価格を実現するには「パートナー」が必要であり、今回ルノーが選んだのが(フォルクスワーゲンではなく)中国企業というわけですね。

ちなみにですが、同郷ではなくライバル国である中国の企業をパートナーに選んだ既存自動車メーカーはルノーが最初ではなく、アウディそしてフォルクスワーゲンという前例も。

フォルクスワーゲン
VWよお前もか。VWが中国シャオペンに投資しEVを共同開発するもよう。もはや中国市場では現地EVメーカーの助けなしには魅力的なクルマを作れない?

| いったいいつからこういった「逆転現象」が起きるようになったのか | なんだかんだ言いながら世界は中国の思うとおりに動き始めている さて、現在世界中にてEVシフトが進んでおり、中国がEV生産、そして ...

続きを見る

その理由としては「中国企業は開発速度が非常に速く(自動車以外の分野であっても、たとえば中国企業が他社製品をコピーする速度が異常に速いことを見れば理解できると思う)、よってフォルクスワーゲン、アウディ、そしてルノーにとっても「同郷のパートナーと組んだとしても開発速度は速くならず、メリットはそれほどない」ということなのかもしれません。

ルノー・トゥインゴの開発主導はあくまでもルノー

なお、新型トゥインゴの開発を主導するのはあくまでもルノーだとも報じられており、正確にいうならばルノーが電気自動車の設計、エンジニアリング、製造を目的として2022年10月に設立した”アンペール”。※新型ルノー5EVもこのアンペールの開発によるものである

Renault-5-E-tech-9

興味深いことに、アンペールが設立されたのとほぼ同時期に、ルノーは吉利汽車との共同にてICE(内燃機関)およびハイブリッドパワートレインを開発するための合弁会社の設立に同意しており、2024年5月31日には両パートナーが株式を半分づつ(50:50)所有する「ホースパワートレインリミテッド」が設立されています。

なお、両社の関係性はこれがはじめてではなく、吉利汽車は2022年、サムスンモーターズとしてスタートした法人であるルノーコリアの株式34%を取得しており、ここではハイブリッド電気自動車(HEV)と内燃機関(ICE)車を韓国市場に投入し、輸出販売するための協力関係を結んでいます。

ルノーコリアが生産するクルマは吉利汽車の持つコンパクトモジュラーアーキテクチャ(CMA)を使用し、吉利汽車のハイブリッドパワートレインを使用していますが、こういった関係性を見ても「吉利汽車がルノーを支持する」のに足る理由は十分なのかもしれません。

参考までに、(ルノーとの協業先として)話が出ているもうひとつの東風汽車については2020年までルノーと合弁事業を行っていたことがあり、ここでは実際にルノー K-ZE (Venucia e30 / ダチア・スプリング) を発売したことも。

ただし吉利汽車との関係性とは異なり、ルノーと東風汽車との協業度合いは徐々に小さくなっていると言われるので、やはりトゥインゴの開発に協力することになるのは吉利汽車だと考えるのが妥当であると思われます。

すでに5万人がルノー 5 E-Tech エレクトリックを予約していた。実車が一般公開されていないにも関わらず、そして本受注開始の5月を前にしてこの数字、やはり大ヒットは間違いなさそう
すでに5万人がルノー 5 E-Tech エレクトリックを予約していた。実車が一般公開されていないにも関わらず、そして本受注開始の5月を前にしてこの数字、やはり大ヒットは間違いなさそう

Image:Renault | このルノー 5 E-Tech エレクトリックにつき、むしろ買わない理由を探す方が難しい | このヒットによって「4(キャトル)」のリバイバルにも本腰が入ることになりそう ...

続きを見る

ルノーも「ガソリン(ハイブリッド)車の投入を活性化させる」と正式に発表。「まさか、EVが普及せずにガソリンエンジンが生き残る未来など想像もしていなかった」
ルノーも「ガソリン(ハイブリッド)車の投入を活性化させる」と正式に発表。「まさか、EVが普及せずにガソリンエンジンが生き残る未来など想像もしていなかった」

| それでもルノーは他の欧州の自動車メーカーに比較すると「ガソリン車」の可能性を残していたほうではある | とにもかくにも、多くの自動車メーカーが予想していた未来はやってこなかった さて、「電気自動車 ...

続きを見る

ルノーCEO「中国に対抗するには、欧州の自動車メーカーが手を取り合うしかない」。欧州ではそこまで中国に追い詰められているのか

Renault | 現在の欧州では、想像よりも遥かに厳しい競争状態にあるのかもしれない | 欧州では様々な業界で同様の打開策を採用した例がいくつか存在する さて、先日「5 E-Tech エレクトリック ...

続きを見る

参照:AutohomeAuto Express

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ルノー/アルピーヌ, ■新型車・スパイフォト・ウワサなど
-, , , , , ,