| VWではなく、ルノーはなぜ中国企業をパートナーに選んだのか |
もはや欧州の自動車メーカーは中国の新興自動車メーカーから開発手法を学ばねばならない
ルノーとフォルクスワーゲンは「低価格EVの開発」に関して提携を行うと報じられていたものの、その直後には「共同開発が開始される前に両社の協業の可能性が消え去った」という報道がなされています。
なお、ルノーとフォルクスワーゲンとが提携を模索したのは「両社の立場が非常に近い」からで、つまりルノー、フォルクスワーゲンともに「普及価格帯のクルマ」を主として製造販売を行なっており、そしてこの価格帯はちょうど中国の新興EVメーカーと重複していて、そのため他社との協業等によって開発や製造コストを引き下げる必要性に迫られていたから(一方、価格帯やブランディング的に中国の新興EVメーカーと競合しないポルシェやメルセデス・ベンツなどのプレミアムカーメーカーはこの必要性に迫られていない)。
つまりは「中国車」という共通の敵に立ち向かうために手を組む必要があったというわけですね。
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ルノーは開発パートナーに中国企業を選定?
そこで今回報じられているのがルノーと中国企業(現在は明らかではないが、吉利汽車か東風汽車ではないかと言われている)とのパートナーシップ契約の締結で、この契約によってルノーは(EVとなって蘇る)トゥインゴの開発を行うこととなるもよう。
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このトゥインゴは2026年に2万ユーロという低価格にて発売される計画であるとアナウンスされていますが、この低価格を実現するには「パートナー」が必要であり、今回ルノーが選んだのが(フォルクスワーゲンではなく)中国企業というわけですね。
ちなみにですが、同郷ではなくライバル国である中国の企業をパートナーに選んだ既存自動車メーカーはルノーが最初ではなく、アウディそしてフォルクスワーゲンという前例も。
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その理由としては「中国企業は開発速度が非常に速く(自動車以外の分野であっても、たとえば中国企業が他社製品をコピーする速度が異常に速いことを見れば理解できると思う)、よってフォルクスワーゲン、アウディ、そしてルノーにとっても「同郷のパートナーと組んだとしても開発速度は速くならず、メリットはそれほどない」ということなのかもしれません。
ルノー・トゥインゴの開発主導はあくまでもルノー
なお、新型トゥインゴの開発を主導するのはあくまでもルノーだとも報じられており、正確にいうならばルノーが電気自動車の設計、エンジニアリング、製造を目的として2022年10月に設立した”アンペール”。※新型ルノー5EVもこのアンペールの開発によるものである
興味深いことに、アンペールが設立されたのとほぼ同時期に、ルノーは吉利汽車との共同にてICE(内燃機関)およびハイブリッドパワートレインを開発するための合弁会社の設立に同意しており、2024年5月31日には両パートナーが株式を半分づつ(50:50)所有する「ホースパワートレインリミテッド」が設立されています。
なお、両社の関係性はこれがはじめてではなく、吉利汽車は2022年、サムスンモーターズとしてスタートした法人であるルノーコリアの株式34%を取得しており、ここではハイブリッド電気自動車(HEV)と内燃機関(ICE)車を韓国市場に投入し、輸出販売するための協力関係を結んでいます。
ルノーコリアが生産するクルマは吉利汽車の持つコンパクトモジュラーアーキテクチャ(CMA)を使用し、吉利汽車のハイブリッドパワートレインを使用していますが、こういった関係性を見ても「吉利汽車がルノーを支持する」のに足る理由は十分なのかもしれません。
参考までに、(ルノーとの協業先として)話が出ているもうひとつの東風汽車については2020年までルノーと合弁事業を行っていたことがあり、ここでは実際にルノー K-ZE (Venucia e30 / ダチア・スプリング) を発売したことも。
ただし吉利汽車との関係性とは異なり、ルノーと東風汽車との協業度合いは徐々に小さくなっていると言われるので、やはりトゥインゴの開発に協力することになるのは吉利汽車だと考えるのが妥当であると思われます。
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参照:Autohome, Auto Express