| デザイン言語は「フラットサーフェスにストレートライン」「優雅な曲線と筋肉質な盛り上がり」 |
フェラーリのデザイン言語をこれほどよく表したクルマもほかにない
さて、フェラーリは先日「ヴィジョン・グランツーリスモ」を公開しており、これはフェラーリにとってはじめてのグランツーリスモ専用車両です。
このプロジェクトのスタートはおよそ二年半前にまで遡るそうですが、今回「何を考え、どうやってこの車両をデザインしたのか」についてフェラーリ自身が語る動画が公開されており、その内容について紹介したいと思います。
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フェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモ正式発表!V6エンジンに3モーターHV、さらにボディカラーはシルバーという意外な仕様。そのデザインは過去のフェラーリから
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フェラーリ・ビジョン・グランツーリスモは「フェラーリのロードカーとレーシングカーのための未来的デザインマニフェスト」
このフェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモはゲームの中におけるデザじたるレーシングカーではあるのものの、パワーユニットは「V6ガソリンエンジン+3エレクトリックモーターによるハイブリッド」という現実的な仕様を持っています。
実際のところ、フェラーリ499P(ル・マン24時間レース含む耐久レース用のプロトタイプレーシングカー)と共通する要素も多く、フェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモの開発については実車とほぼ同様のプロセスを経たとのこと。
なお、「ヴィジョン・グランツーリスモ」はポルシェ、ジャガー、マクラーレン、ホンダ、スズキ、ランボルギーニ、マツダなど多くの自動車メーカーによって作成されていますが、そもそもこれを作成するかどうかという決定権がどこにあるのかはちょっとナゾ(動画を見ると、グランツーリスモ側が自動車メーカーに話を持ってゆくようにも思える)。
そして今回フェラーリがヴィジョン・グランツーリスモを制作する機会を得たとき、フェラーリのデザイン部を率いるフラビオ・マンゾーニ氏は「心躍った」と述べており、実際に自身もグランツーリスモをプレイして育った世代なのだそう。
そして二つ返事にて「ペンが必要だ。今すぐ始めよう」となったようですね。
フェラーリ・ビジョン・グランツーリスモの制作過程は「アナログとデジタルとの融合」
そして今回フェラーリ・ビジョン・グランツーリスモをデザインすることになったのはフラビオ・マンゾーニ氏、そしてフェラーリのアドバンストデザイン部門責任者、マッテオ・デ・ペトリスとそのチーム。
まずはアナログにてスケッチを描くところから初めることになり、これは市販モデルと全く同じプロセスなのだそう。
フェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモのデザイン面における目標は「世界でもっとも美しく、もっとも未来的なクルマ 」で、その達成手法としては「誇張されたプロポーションをもつモダンなデザイン」だとされ、たしかにホイールアーチ、そしてタイヤ/ホイールは大きく誇張されているようにも見えますね。
デザイン言語としては「フラットサーフェスにストレートライン」「優雅な曲線と筋肉質な盛り上がり」という2つで、それぞれ似ているようで異なる要素を組み合わせているように思います。
そしてスケッチを見ると、たしかに「フラット、そしてストレート(特にテール)」ということもわかりますね。
さらにはエアロダイナミクスを追求し、航空機のようななめらかな表面、「エアを取り入れては(ダウンフォースを発生、もしくは放熱効果を高めつつ)逃がす」という効果を追求していますが、これはもちろんフェラーリの現行モデルでも同じだと思います。
フェラーリのデザインは海洋生物がモチーフ?
そしてフェラーリのデザイナーいわく「そのイメージはマンタレイ(イトマキエイ)」。
ちなみにSFストラダーレ/SFスパイダー、プロサングエのノーズは「ハンマーヘッドシャーク(シュモクザメ)」がモチーフだというので、フェラーリ全体におけるインスピレーション元は海洋生物なのかもしれません(たしかに海洋生物は表面がなめらかでもある)。
そして(空気抵抗になろうとも)跳ね馬も健在。
もしかするとこのテールは今後のフェラーリに反映されることが出てくるかも。
フロントだと視認性を重要視しており、ゴーカートのような「クルマとドライバーとの位置関係」をイメージしたのだそう。
インテリアについては「フォースフィードバック」が導入されており、(フェラーリのインテリアデザイナー、トーマス・グランジャール氏によれば)このインテリアの思想は、今後のフェラーリのインテリアにも明確に反映されてゆくことになると述べ、このフェラーリ・ビジョン・グランツーリスモの内外装こそが「未来のフェラーリ」を示唆しているのかもしれませんね。
フェラーリがフェラーリ・ビジョン・グランツーリスモのデザインプロセスについて語る動画はこちら
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