| 日本だと「転売禁止契約書の締結」を求められたという話は聞かないが |
その国によって契約の内容が(法規によって)異なるのかもしれない
さて、フェラーリはじめ多くのプレミアムカーメーカーは自社のクルマの「転売」を快く思っておらず、よってそれを防止するために様々な手法を採用しています。
その一例として知られるのが強制ローン(所有権がディーラーにあるのでローン支払い終了まで売却できない)、そして車両売買契約締結時の「転売禁止」に関する文言の挿入など。
ただしいかに契約書にそういった文章が挿入されていたとしても(所有権がオーナーにわたってしまえば)転売を防止できるものではなく、よって往々にして転売が生じ、そして自動車メーカー(ディーラー)とオーナーとの間で訴訟になったりすることがあるわけですね。
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今回、フェラーリ・プロサングエの「転売」にて訴訟が発生
そして今回報じられているのがフェラーリ・プロサングエの転売そしてそれに関する訴訟ですが、テキサス州ハリス郡地区裁判所に提出された文書によると、フェラーリ・オブ・ヒューストンは顧客のトッド・カールソン氏を「転売」にて訴えており、この訴状は2024年9月3日に提出され、まだ裁判所で審理されていない、とのこと。
フェラーリ・オブ・ヒューストンの言い分では、トッド・カールソン氏がフェラーリ・プロサングエを購入する際、「オポチュニティ契約」なる契約書に署名し、この契約書には「この購入は転売を意図したものではないという合意」「納車から12ヶ月以内に売却が行われる場合は、ディーラーが初期の販売価格で再購入する権利を持つ」という条項が含まれており、つまり納車から1年以内に車両の売却が行われる場合は、フェラーリ・オブ・ヒューストンに(購入価格で)売却せねばならない、ということを定めています。
これに加えて「優先購入権および担保契約」なる別の契約書があり、これには「フェラーリとディーラーは、主に自分用に車両を取得するフェラーリ愛好者に販売することを目指している」「フェラーリは自社の車両が転売されることによって利益を得ることを問題視している」という記載があり、オポチュニティ契約同様に転売を抑制し、やむをえず売却する際にはディーラーに売却する必要があるという内容を記載しているのだそう。
トッド・カールソン氏がいつ、そしていくらでプロサングエを売却したのかは明確になっていないものの、「優先購入権および担保契約」は2022年10月1日に署名され、2024年6月にプロサングエが納車されたとのことなので、(すでに契約に反し、フェラーリディーラー以外に売却済みだと考えられるのため)納車から1年以内にプロサングエを転売し利益を得たのは間違いないものと思われます。
なお、これら契約に顧客が違反した場合、ディーラーは損害賠償金や法的費用を請求する権利を持つといい、そのため今回訴訟が起こされているわけですが、プロサングエはすでに予定生産台数の受注台数に達しており注文できないともウワサされているので”相当な”高値で転売した可能性があり、トッド・カールソン氏は「目の前のお金の魅力」に負けてしまったのかもしれませんね。
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