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ランボルギーニが35年以上にわたる「カーボンファイバーとの歩み」を紹介!けっこう「世界初」が多かった

2021/09/25

ランボルギーニ

| ランボルギーニはカーボンファイバー登場初期から熱心にその可能性を追求してきた企業のひとつ |

さらにはカーボンファイバーのリサイクル、持続可能性にも取り組んでいた

さて、ランボルギーニが「ランボルギーニとカーボンファイバーの歩み」を紹介するコンテンツを公開。

ランボルギーニは比較的早い段階からカーボンファイバーを車体に取り入れており、「軽量化技術」をひとつのブランドの核としています。

実際に、「V10エンジンを積みながらも車体重量を999kgに収めた」セスト・エレメントを公開(少量ながらも販売されている)したこともあり、さらには軽量化をもって環境問題に対応しようという動きも見せ、加えて自動車業界の垣根を超えてカーボンファイバーの可能性も追求しているようですね。

ここでざっとその「歴史」を見てみましょう。

ランボルギーニ・セスト・エレメント
ランボルギーニ・ミュージアムにて。「全部カーボン」セスト・エレメントの画像

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ランボルギーニとカーボンファイバーとの歴史は35年以上

上述の通り、ランボルギーニの製品デザインの強みの一つは、軽量のカーボンファイバー素材の開発と応用。

たとえばアヴェンタドールにはカーボンモノコックが採用され、ウラカンのモノコックシャシーの1/3くらいがカーボンファイバーで構成されており、オプションでは鍛造カーボン(フォージド・コンポジットと呼ばれる)製パーツも用意されています。

なお、ぼくが期待しているカーボン製コンロッドの投入はまだなされず、カーボン製ホイールも(フェラーリやポルシェが導入しているものの)今のところラインアップされていない模様。

1983年

ランボルギーニが初めてカーボンファイバーの開発と使用を開始したのが1983年。

ボーイング767に使われた”最初の”カーボンファイバーとケブラーのノウハウをシアトルから導入するとともに、新しい「Esperienza Materiali Compositi」部門(E.Co.)が設立されています。

「カウンタック・エボルツィオーネ」と呼ばれる初のカーボンファイバー製シャシーのプロトタイプを製作したのもこの時期で、これはランボルギーニが初めて複合素材を使用したものであると同時に、ロードカー・プロジェクトにおいても初の試みだったと言います。

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2007年

ずいぶん飛んで2007年には、ワシントン大学(UW)との緊密なパートナーシップが確立され、近代ランボルギーニのコンポジットの歴史における重要な起点となります。

研究開発センター内には革新的な素材の研究と炭素繊維応用のための新しいコンセプトおよび技術開発を目的とした新部門が設立され、現在は「コンポジット開発センター」と呼ばれている、とのこと。

2008年

複合材料とアヴェンタドールのモノコックの衝突挙動を研究するため、ボーイング社と最初の共同研究契約を締結し、自動車業界では他よりも早く航空・宇宙業界の複合材料技術、プロセス、シミュレーション、特性評価の手法を導入することに。

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2010年

ボーイング社およびゴルフクラブメーカーのキャロウェイ社とのコラボレーションにより、ランボルギーニはフォージドコンポジットテクノロジーの開発に成功。

同年にはランボルギーニの生産拠点に複合部品の生産に特化した工場が建設され(後にランボルギーニ・アヴェンタドールのモノコックの生産に使用される)、ここでは自動化された生産と、職人の手作業による高度なクラフツマンシップを両立させている、とのこと。

2011年

(ランボルギーニ本社所在地である)サンターガタ・ボロニェーゼで設計・製造された革新的なカーボンファイバー製モノコックを搭載した新型アヴェンタドール LP700-4が発表。

全面的にカーボンファイバーで作られたアヴェンタドールのシェルは、独自の構造で設計されており、229.5kgという軽量化を実現していますが、複合素材のモノコックを製造するプロセスは非常に複雑であり、現時点ではどのサプライヤーも提供できないため、ランボルギーニはモノコックを自社で製造することに。

モノコックを構成するパーツのほとんどは、ランボルギーニが特許を取得した「RTM-Lambo」技術を用いて製造されており、このプロセスでは、手動でのラミネーションやオートクレーブが不要になると同時に、カーボンファイバー製の”型”の使用が可能になるため、生産時間が短縮される、とのこと。

同年には、ボーイング社との新たなパートナーシップによる修理戦略の展開も始まっています。

ランボルギーニ・アヴェンタドール

2014年

ランボルギーニはこの年にカーボンファイバー製自動車修理サービスのTUV認証を世界で初めて取得。

2011年に開発を開始したこの修理サービスは、TUVイタリアの専門家による監査を受け、説明責任、トレーサビリティー、信頼性、時間厳守、正確性において認証を受けています。

このサービスは、「フライングドクター」と呼ばれる専門家によって提供されますが、これらの専門家は、ボーイング社の修理部門で初期トレーニングを受けた後、さらに詳細なトレーニングを受けることになり、この修理サービスの目的は、修理された部品の技術的性能がオリジナル部品と100%同一であることを保証することだといいます。

なお、ランボルギーニはここで言及していないものの、2013年には名古屋工業大学と提携し、カーボンファイバーの研究を共同で行うということが発表されていますね。

2015年

この年にはカーボンスキン(Carbonskin)が誕生し、これは自動車の内装に適した柔軟なマトリックスを持つ新しい炭素繊維素材(これもランボルギーニ独自の特許)を指しています。

この革新的な新素材は、軽量(アルカンターラより28%、レザーより65%軽い)であることに加えて、カーボンファイバーの自然さ、立体感を持ちながらも、他の素材と比較した場合の柔らかさについても優位性があり、各モデルのオプションとしても用意されています。

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2016年

2016年にはシアトル(米国ワシントン州)に新たな炭素繊維研究室「Advanced Composite Structures Laboratory(ACSL)」を発足させており、ACSLはランボルギーニ本社の外部組織として運営され、カーボンファイバーのあらゆるイノベーションの可能性を調査する、とされています。

2017年

ヒューストン・メソジスト研究所との共同プロジェクトにて医療における複合材料の研究を開始しており、この研究プロジェクトでは、義肢インプラントや皮下機器の開発に使用できる可能性を持つ複合材料の生体適合性を体外で調べることに重点を置いています。

この目的は、現在医療分野で使用されている材料よりも、放射線透過性があり、人体への耐性が高く、長期的な耐久性を持つ、より軽量な新材料を特定することなのだそう。

2019年

ランボルギーニは国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された炭素繊維材料の研究を行う世界初の自動車メーカーとなり、2019年11月2日、バージニア州のワロップス飛行場からノースロップ・グラマン社のアンタレスロケットの打ち上げが行われた際、ランボルギーニが製造した一連の複合材料サンプルをISSに持ち込むことに成功。

ランボルギーニが製造した5種類の複合材料が宇宙環境で発生する極度のストレスに対してどのような反応を示すかを分析し、医療分野での将来的な応用を視野に入れた試験を行うようですね。

ランボルギーニは「エレクトリック」「カーボン」に関して他社と異なる方法を模索。MITとキャパシタに関する特許を完成、そしてロケットにて複合素材を「宇宙(ISS)に送った」と発表

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2021年

ランボルギーニ・エッセンツァSCV12が発売され、これはFIAハイパーカーの安全基準に基づいて承認された、カーボンファイバー製のロールケージを備える初のクルマとなっています。

このテストをクリアするため、ランボルギーニは自社ののCFK部門のオートクレーブで製造されたカーボンファイバー製モノコックをさらに補強していますが、これによって、FIA型式認証の定める非常に厳しい静的・動的試験をパスしています。

なお、静的試験は20項目以上あり、シャシーのほか、ペダルやベルト、燃料タンクなども含まれるといい。一方、動的衝突試験では、最大で秒速14メートルの衝撃を与えまるなど、相当にハードな内容を持つようですね。

ランボルギーニ・エッセンツァSCV12が「スチール製ロールケージを持たずにFIAのハイパーカー規定をクリア」した第一号に
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そして今日

そして今日では、「持続可能性と廃棄物のリサイクル」に取り組んでいるといい、ランボルギーニのエンジニアが行った研究とプロジェクトによって、エネルギーや水などの貴重な資源の消費を減らし、複合材の生産で発生する廃棄物の量を大幅に削減する特定の生産技術が導入されることに。

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すべての廃棄物は車両に搭載されたり、工場でパネルや台車など他の用途に再利用されることになりますが、再利用できないものは回収のうえ「リサイクル炭素繊維」として新たな製品を作ることになり、これは車両のフロアパネルのように「構造的にも美的にもそれほど厳しい仕様が求められない」部品に使用されることもあるようですね。

さらに製造やリサイクル工程で出た廃棄物は、ランボルギーニが主催するイベントの際に顧客やゲストに提供する販促品などにも利用されていることもアナウンス済みで、ランボルギーニの最終的な目標は、炭素繊維の真の意味での循環型サステイナビリティ(廃棄物を出さない)を実現することだとアナウンスされています。

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参照:Lamborghini

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