ホンダが「新型シビック・タイプRはなぜマニュアル・トランスミッションのみなのか」について言及。
これによると「オートマティック・トランスミッションは重いから」というのがその主な理由で、副次的な理由として重量配分も関係しているようですね。
ホンダ・シビック・タイプRの開発責任者によると「シビック・タイプRの重量配分はフロント62.5、リア37.5だが、オートマティック・トランスミッションは重いばかりか重量配分を悪化させる」、とのこと。
なお軽量で知られるVWアウディの6速デュアルクラッチ・トランスミッションでもマニュアルに比べると+40キロとなっており、これは軽量性を追求したFFモデルにとってはかなり「大きな」数字と重心の移動と考えても良さそうです。
これが4WDだともう少し後輪寄りに重量が配分されることになり、DCT化による変速スピード向上がデメリットを上回るのかもしれませんが、シビック・タイプRでは「AT/DCT化によるデメリットのほうが大きい」という判断に至ったのでしょうね。
なおMTとデュアルクラッチ論争については、好みの問題もありなんとも判断の仕様がありませんが、簡単に言うと「MTは軽いが変速スピードに劣り、パワーの途切れがある」、「デュアルクラッチは重いが変速スピードは速く、パワーの伝達も途切れない」。
このメリット/デメリットはメーカーによって判断が異なり、ホンダのように「MTのみ」を選択する場合もあれば、991世代のポルシェ911GT3のように「デュアルクラッチのみ」を選ぶ場合も。
つまりポルシェはデュアルクラッチのデメリット(重量)がメリットを打ち消して余りあると判断したということになり、(駆動方式や重量配分、パワーの差もありますが)同じ「サーキット走行を主眼に置いた」モデルでも真逆の判断を行ったということになりますね。
なお、そのポルシェ911GT3もフェイスリフト後の991.2ではマニュアル・トランスミッションを用意することになりますが、0-100キロ加速において、マニュアルは3.9秒、デュアルクラッチ(PDK)は3.4秒、と実質的に大きな差があります。
よって「速く走るならデュアルクラッチ」というのは数字が立証していることになりますが、スポーツカーというのは「数字だけではない」ということも(991.2でMTが復活したことで)証明されているわけですね。