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| 一方のGRスープラは2021年以降販売が減少し続け、ここから回復することは難しそう |
そしてフェアレディZにとっても将来が明るいわけではない
さて、日産は2021年に新型フェアレディZを発売していますが、生産の立ち上げには時間がかかり、しかし現在のところ「日産はZの生産を順調に進めている」とも報じられ、実際にアメリカ市場だとフェアレディZは2024年、ついにトヨタ GRスープラを初めて販売台数で上回るという成績を収めることに。
具体的には、日産はアメリカ市場で3,164台のフェアレディZを販売し、トヨタ GRスープラの2,615台を上回っています。
フェアレディZはトヨタ GRスープラを「大きく逆転」
数字上で見るとわずか549台の差ではありますが、これは注目すべき結果であり、というのも2023年にはGRスープラがフェアレディZを約1,000台も上回っていたためで、フェアレディZが市場に登場してからの最初の2年間、アメリカでは300台にも満たない販売台数にとどまってたことを考慮するに、これは「驚くべき躍進」だといえそうです。
年度 | トヨタ・スープラ | 日産フェアレディZ |
---|---|---|
2021年 | 6,830台 | 36台 |
2022年 | 4,952台 | 263台 |
2023年 | 2,652台 | 1,771台 |
2024年 | 2,615台 | 3,164台 |
今後もフェアレディZの優勢は続きそう
この販売経過を見てみると、GRスープラはその販売を(2021年以降)失い続けており、その理由は「発売されてからしばらく経つこと」に加え「価格が高い」ことが関係しているのかもしれません。
北米だと新型フェアレディZのベース価格は44,110ドルで、GRスープラの57,385ドルよりもはるかに安価です。
さらにトヨタは2025年モデルから4気筒ベースのスープラを廃止し、その開始価格が上昇する見込みではありますが、GRスープラ2.0のベースモデルが販売されていた当時であっても、その価格は47,545ドルからのスタートであったので、フェアレディZはやはりGRスープラに比較して安価であり、かつパワフルな選択肢であり、つまるところ「4気筒モデルの存在意義がそもそも薄かった」のだとも考えられますね。
なお、日産は2023年末にNismoモデルを新たに追加しており、これによりフェアレディZが魅力はさらに高まったのもまた事実。
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一方、トヨタはGRスープラにマニュアルトランスミッションを追加し、2023年には45周年記念モデルを発売したものの、その他の大きな機械的な変更は行っておらず、話題性や新規性に欠けるのも否定はできないかもしれません。
ただ、フェアレディZにとってもその未来はけして明るいものではなく、というのもフォード・マスタングは2024年に(フェアレディZの14倍くらいの)44,003台を販売しており、その開始価格は34,210ドル(つまりそうとうに安価である)。
そのほか、トヨタGR86は11,426台、そのプラットフォームを共有するスバルBRZは3,345台を販売しており、いずれも(生息域が微妙に異なれど)フェアレディZよりも多くを販売しており、かつ価格も低いため、フェアレディZがスポーツカー市場にて販売を大きく伸ばすことは容易ではないということもわかります。
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参照:Motor1