| 運動性能や操る楽しさを向上させるための変更内容がもりだくさん、さらには新色の追加も |
今回の「マニュアル・トランスミッション追加」の意義は大きい
さて、TOYOTA Gazoo Racingが2023年モデルのGRスープラにおける一部改良の概要、そしてマニュアル・トランスミッション搭載モデルの追加を発表。
今回の改良ではスポーツカーらしく走行性能・運動性能の向上、操る楽しさに磨きをかけたことが特徴ですが、北米と欧州ではそれぞれ「A91-MT」「GRスープラ ライトウエイト」が設定されています。
まずは日本仕様の「2023年モデル」から見てみましょう。
2023年モデルのGRスープラはこうなっている
2023年モデルのGRスープラにつき、まずはハンドリング性能の改善、乗り心地の向上として取り入れられたのが「AVS(アダプティブ・ビークル・サスペンション)の制御、アブソーバーの減衰特性チューニングによるロールバランス、乗り心地性の向上」「スタビライザーブッシュの特性変更による操舵初期の応答性の向上」「シャシー制御系(AVS、EPS、VSC)の見直しによる操舵フィーリング、限界域でのコントロール性の向上」。
エンジンについては言及がなされていないので、いずれのグレードも「変更なし」と思われます。
そしてRZのみとなるものの6速マニュアル・トランスミッションが採用され、これについては「ハイパワーエンジンを操る楽しさを追求した6速マニュアルトランスミッションを新たに開発」「シフトノブはどの方向からも握りやすく操作のしやすい球体形状を採用し、シフトノブのトップにはGRロゴを配してスポーティなイメージを演出」「コンピューターがドライバーのクラッチ、シフト操作に合わせて、最適なエンジン回転数になるよう制御するiMTを採用。シフト操作時に自動ブリッピングし、ドライバーの意を汲んだスムーズで気持ちの良いスポーツ走行に貢献」「マニュアルトランスミッション専用の室内サウンドチューニングにより加速時の盛り上がりを演出」と紹介されています。
なお、MTの設定については、”お客様からの強い要望・ご期待”に答える形で導入を決定した、とのこと。
たしかに世の中の流れとしては、GRスープラが登場した頃だと、スポーツカーにとっての絶対正義は「サーキットにおける速さ」だったかもしれませんが、コロナ禍を経験し、多くの人々が「絶対的な速さ」よりも「自分が楽しめるスペック」を求めるようになり、そして想定よりも早く進む電動化によって「マニュアル・トランスミッションが世の中からなくなってしまう」という危機感からMT渇望の風潮が高まったとも理解しており、トヨタがGRスープラの価値を今後長きに渡り存続させようと考えるのであれば、いかにコストがかかろうとも、そして実際の販売台数が少なくとも(MTがないうちは”MTが出たら買う”と皆言うが、じっさいにMTが出るとほとんどの人はそれでも買わない)、MT投入は大きな意義を持っている、と考えます。※新型フェアレディZへの対抗という側面もあるかもしれない
話を2023年モデルのGRスープラに戻すと、上記のほか、これもRZのみとなりますが、新デザインの19インチ鍛造ホイールが採用され、これは「GRヤリスやGR86と統一性を持たせつつ、スポーク形状や断面形状を見直すことより軽量化・高剛性化を両立し、性能向上と機能美を追求」「プレミアムチタンダークシルバー塗装を採用し、一層レースシーンにふさわしいイメージを演出」「1本あたり1.2kgの軽量化を実現し、バネ下重量軽減による乗り心地性と操縦安定性の向上に貢献」する、と紹介されています。
そのほか、新しいボディカラーとして全グレード共通にてボルカニックアッシュグレーメタリックとドーンブルーメタリックが設定され(いずれかのカラーがカタログからドロップするかどうかは言及されていない)、RZには台数限定にて新色のマットアバランチホワイトメタリック(限定台数不明)が用意されることに。
さらには内装色にオプションでタンカラー(RZのみ)の採用、RZ/SZではJBLプレミアムサウンドシステムのサウンドチューニングが最適化されて音響特性が向上した、とのこと。
2023年モデルのGRスープラの価格については現在公開されておらず、追って発表されるものと思われます。
北米でのGRスープラはどう変わるのか?
そして北米においてなされた発表を見てみると、マニュアル・トランスミッション採用モデルについて「既存のトランスミッションハウジング、ドライブシャフト、ギアセットを改良し、強化ダイヤフラムスプリングを備えた大径クラッチを追加したうえ、音響パッケージなど不要な要素を取り除いて軽量化した」と紹介されています。
そのほかファイナル比をショート化することで発進時のもたつきやギアチェンジ時の加速感の低下を防ぎ、パフォーマンス志向のソフトウェアが搭載されることで、シフトアップ時にクラッチをつなぐ瞬間と離す瞬間にエンジントルクを最適化する制御が行われ、しかしこの制御が気に入らない場合は「スポーツモードでオフにすることができる」とのこと。
ドライブモードでは「トラックモード」にてドリフトがしやすいように再キャリブレーションが行われ、カーブでの走りをエキサイティングにする「ヘアピン+」が機能が新たに搭載(エンジントルク制御を最適化し、左右のタイヤのホイールスピンの度合いをより大きく変化させるようだ)。
なお、GRスープラにマニュアル・トランスミッションが設定された記念として「A-91 MT Edition」が設定され、これは「マットホワイト」もしくは「CUラテールグレー」の専用外装にレッドのアクセントを持ち、フローズンガンメタルグレー仕上げの19インチ鍛造ホイールを装備するほか、専用のコニャックレザーシートやGRバッジ付きのアルカンターララップシフター、レッドペイントが施されたストラットタワーブレースや12スピーカー構成によるJBLプレミアムオーディオシステム装備される、とアナウンスされています。
カラーについては名称が異なるものの、製造工程上、そして効率を考えると「日本仕様と同じ色」だと考えられ、機能についても日本仕様と変わりはなく、言及の範囲や表現方法が異なるのみだと捉えています。
欧州ではGRスープラ「ライトウエイト」が登場
そして欧州では、画像は公開されていないものの、2023年モデルのGRスープラに「ライトウエイト(MT)」が設定されると発表され、こちらは(日本仕様でもRZに採用される)軽量鍛造ホイールの採用を含め38.3kgの軽量化がなされている、とのこと。※通常のMTモデルは21.8kg軽量(AT比)
軽量化の内容としては「レザーの廃止(レザーはけっこう重量があり、それを避けるためにアルカンターラを使用するモデルも多い)」「サウンドシステムの変更(スピーカー数などの変更?)」「シートからパワーアジャストとランバーサポートを削除」といったもので、この「GRスープラ ライトウエイト」は限定ではなく、恒久的に選べるラインナップとなるもよう。
ちなみに欧州トヨタは今回のGRスープラ「MT」の発表に際し、SNS上で「#savethemanual」というハッシュタグを用いており、このGRスープラ ライトウエイトはもっとも人気のあるGRスープラになるだろう、ともコメントしています。
たしかに欧州では元来MTの人気が高く、もっとも売れるGRスープラになるかもしれませんね。
参照:TOYOTA