| この工場のバッテリー生産能力は非常に高いが、ホンダがそれを「使い切れるのか」はちょっと不安 |
ホンダはここから急速にEVの生産販売を加速させる計画を持っているが
さて、ホンダはソニーとの合弁、GMとの合弁事業によって今後急速にEVの展開を加速させることになると思われますが、今回韓国LGエナジーソリューションと共同にて、44億ドルを投じ、米国に年産40GWh規模のバッテリー生産を可能とする工場を建設することに合意したと発表。
そしてここで生産されるリチウムイオンバッテリーは北米にて生産販売されるホンダ車とアキュラ車に搭載されるといい、つまり日本や欧州向けのホンダ車についてはまた別の工場にて生産したバッテリーを積むということになりそうです。
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ちなみにこの40GWhという規模は、先日フォルクスワーゲンが発表した、ドイツのザルツギッター工場に次ぐ第二のバッテリー工場(バレンシア)と同レベルの生産規模となっており、しかし現在EVの販売やデリバリーを本格化させていないホンダの事情を考慮すると「そんなにバッテリーを製造して余らないのか」という気も。※もしかすると、ホンダはバッテリーを他社に供給するつもりなのかもしれないが、一応ホンダは2030年までに北米にて75-80万台のEVを販売する計画を持っている
工場建設地は今後明確になる予定
なお、今回の発表はあくまでも「ホンダとLGエナジーソリューションがバッテリー工場建設に合意した」だけであり、ここから様々な実務に移るのだと思われ、まずこの後に合弁会社が設立されるといい、これが完了するのが2022年中。
そこから工場建設予定地が発表されることになり(現時点ではまだ工場建設予定地は明らかではない)、着工が開始されるのは2023年、そして実際にバッテリーの生産を行うのは2025年後半というスケジュールとなるようですね。
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ちなみにホンダは、設立時からずっと「その地で販売するものはその地で調達・生産するのが一番効率がいい」という考え方を持っており、今回の「北米にて生産するバテリーは、北米で製造するクルマのみに搭載」というのもその一環なのかもしれません。
ホンダは2030年までにグローバルで30車種のEVを発売するというが
なお、ホンダはグローバルにて30車種ものEVを発売する計画を持っており、北米ではGMと共同にて、中国では東風汽車との合弁会社、東風本田から発売されるヴェゼルのEV版が公開されたところです。
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加えて欧州版のEVも公開されていますが、これは生産地や仕様など詳細については明かされておらず、外観等から判断するに中国にて製造する車体が欧州へと輸出されるのかもしれません(ただ、そうなるとメーカー名はホンダではなく東風本田となりそう)。
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そして日本でのEVの展開がどうなるのかについてはまだ語られておらず、ホンダもまたトヨタ同様にEVに関しては「後手」に回った感が否めませんが、こちらについても追って発表があるのかも。
なお、今回の合弁に関し、ホンダ、LGエナジーソリューションはそれぞれ下記の通りコメントを発表しています。
「Hondaは、2050年までにHondaが関わる全ての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルを実現するという目標に向けて取り組んでいます。需要のあるところで製品を生産するというポリシーは、EVの重要なコンポーネントの調達においても同様であり、Hondaは、各地域でバッテリーの現地調達や生産を進めています。世界有数のバッテリーサプライヤーであるLGESとの米国における今回の合弁事業は、こうしたHondaの取り組みを示すものです。」(本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長 三部敏宏)
「LGESでは、大切なお客様の信頼と尊敬を獲得するという最終的な目標に向けて、主導的なバッテリーイノベーターとしての地位を確立することを目指しています。新たな合弁会社は、高いブランド評価を持つHondaの電動化推進に協力し、お客様に持続可能なエネルギーソリューションを提供することで、我々の中長期戦略の新たなマイルストーンとして、急速に成長する北米の電動化市場に寄与していくことになります。」(LGエナジーソリューション CEO Kwon Youngsoo / クウォン・ヨンス)
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参照:HONDA