| 少し前の「エレクトリックこそ未来」という風潮とは異なり、現在は急激にエレクトリックが敬遠される傾向にある |
特に消費者はピュアエレクトリックカーに「そっぽを向いている」と言っていい
さて、ランボルギーニは2028年に「初」となるピュアエレクトリックカー、「ランザドール」を発売する予定ですが、これはスーパースポーツではなくクロスオーバー的ボディを持つ「2+2のGTカー」。
つまりランボルギーニは(スポーツカーメーカーであるのに)はじめてのEVにつき、ロータスやフェラーリのように「スーパースポーツ」を選ばなかったというのは注目に値する事実です。
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ランボルギーニは「ピュアエレクトリックスポーツは売れない」と考えている
なお、ランボルギーニが最初のEVのパワートレーンに「2+2 GT」を選んだ理由として、以前に「現在のバッテリー技術では、満足の行く出力を発揮させようと思った場合、車体重量が重くなりすぎるから」とコメントしており、電動化技術(おもにバッテリー)につき、ランボルギーニが ”スーパースポーツに必要だと考えるレベル” へと達していないからであると述べています。
そして今回、おそらくはこちらが「本心」だと思われる理由が同社CEO、ステファン・ヴィンケルマン氏によって語られており、それは「ビジネスチャンスがない」というもの。
エレクトリックスーパーカーにおいて、今のところ売れているモデルはありません。もしかするとこのジャンルが普及することは決してないかもしれず、(エレクトリックスーパーカーは)時期尚早であり、それが主流となりうるのかどうか、今後の状況を見極める必要があります。
実際のところ、エレクトリックハイパーカーの元祖であるリマックCEO、メイト・リマックCEOはつい最近、「富裕層はエレクトリックハイパーカーを好まない」と発言して話題を呼びましたが、実際にリマック・ネヴェーラは「2,000馬力に達し、ニュルブルクリンク(EV)最速、そして23もの世界記録を打ち立てにもかかわらず」150台の限定台数を売り切るのに苦労しているため、これは同氏の偽らざる本心だと思われます。
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そしてネヴェーラに対する顧客の鈍い反応を痛感したためか、ブガッティ・リマックの新型ハイパーカーには「V16」という今どき信じられないような大型エンジン(ただしハイブリッドによるアシストを受ける)を搭載する道を選んでいるわけですね。
なお、パガーニもまた(スポーツカーから)ピュアエレクトリックパワートレーンを排除しガソリンエンジンにこだわることを表明しているメーカーの一つですが、その理由は「完全電動車は無感動だから」。
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そしてランボルギーニに話を戻すと、ステファン・ヴィンケルマンCEOもまた「感動」を追求したいと考えており、いかにエレクトリックパワートレーンを積んだクルマがどれだけ速くとも、その速さは大排気量ガソリンエンジンが提供する感動と引き換えにできるものではないの述べ、「座席の後ろに取り付けられた高回転型ガソリンエンジンほどスリリングではない」とも。
そしてランボルギーニは内燃機関を存続させるために合成燃料(Eフューエル)の開発にも乗り出しており、スポーツカーに関しては「ピュアエレクトリックパワートレーンを避ける」意向を持っているようですね。
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一方、ピュアエレクトリックパワートレーンを追求するスポーツカーメーカーも
その一方、ポルシェやフェラーリのようにピュアエレクトリックハイパーカーの開発を進めるスポーツメーカーも存在し、しかし現在の風潮からするとこれらが「売れるのかどうか」については時々不安になることも。
ポルシェはおそらく「(ガソリン車含め)ニュルブルクリンク最速」という肩書とともにミッションXの市販バージョンをデビューさせることになるかと思われ、しかしそれでもカーエンスージアストの心が動くかどうかはちょっと疑問です。
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そしてフェラーリにおいても「(そのピュアエレクトリックハイパーカーが)ガソリン車を超越するパフォーマンスをもって」登場することになるかと考えられるものの、もはやファンの求めるものは「数字」「加速性能」ではなく、「心揺さぶる感動」であり、さらには失われゆく大排気量エンジンに対するノスタルジーがそれを後押ししているのかもしれません。
もちろんフェラーリだけに「間違いのないハイパーカー」を出してくるとは思いますが、もしかするとフェラーリのエレクトリックハイパーカーは「はじめて顧客がノーサンキューといわれる限定モデル」になるんじゃないかという懸念も抱いています。
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参照:Automotive News Europe