| ポルシェが行うことについては「すべてに理由がある」 |
現在検討中といえど、様々な事情を考慮するに「今発売するよりもほかにない」と考えられる
さて、ポルシェは1986年に「959」、2004年に「カレラGT」、2013年には「918スパイダー」といったハイパーカーを登場させていますが、その次なるハイパーカーは「ミッションX」市販モデルだと考えられています。
現時点ではこのミッションXの市販については決定ではなく、現在ポルシェはその可能性を模索している段階だとされ、その最終決定は今年後半に行われる、とも。
実際のところ現在ポルシェは世界各地にてミッションXのプレビューとメディア向けの発表イベントを開催しており、先日はオーストラリアにおいてもお披露目がなされたばかりです(ここでは開発コストの観点から、右ハンドルが投入されないことが明かされている)。
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ポルシェ・ミッションXは単なるレーシングカーではなく、高級車でもある
この場ではいくつかの興味深い点がポルシェによって語られており、まずは「市販されるとなれば、ミッションX(コンセプト)と非常によく似た外観になる」「ニュルブルクリンク北コースサーキットを走る公道走行可能なポルシェとしては最速の車両となる(予定である)」「当然ながらワイパーやエアコン、公道走行可能な車に必要なその他の装備が追加される」ということ。
加えてポルシェのアドバンスド・デザインスタジオエンジニア、カイ・ライブラント氏は「コンセプトモデルを作成する段階において、ポルシェは常に、現実にはなり得ない夢のような機能を避けてきました。私たちがコンセプトカーで行っているすべてのことは、生産段階で使用可能であり、法規に適合することを目指すものです。 したがって、私たちは、それが起こらないとわかっている場合には、そうしたことはしません」とコメントしています。
これはもちろんミッションXにおいても同様で、ミッションXにおいてはもともと市販化を前提としたデザインがなされており、たとえば一見して市販車とはかけ離れたように見える「ル・マン・スタイルのディヘドラルドア」も同様で、これはいくつかの課題の解決策として取り込まれています。
ミッションXのディへドラルアはもちろん見た目も見事ですが、これを採用したのには理由があり、重量とパッケージングの面でのソリューションとなりえます。ドアのガラスパネルがルーフまで続いていますが、頭上に小さなガラスパネルを備えた従来のルーフがある場合、その外側にはある種の金属製のバーが必要になり、実際には頭上のスペースが制限されてしまいます。 このミッションXの目標の 1 つは、ヘルメットをかぶったまま運転できることです。
ヘルメットをかぶった状態で918スパイダーを運転したことがあるなら、頭上スペースがタイトだと感じるでしょう。 ですから、私たちがこのクルマに対して持っている目標の1つは、このクルマは、”ヘルメットをかぶった状態でも完全に快適に運転できる”というもので、このディヘドラルドアが実際に私たちがそれを実現できる唯一の方法です。 加えてキャビンの構造を簡素にし軽量化を実現するとともに、全面投影面積を最小限に抑えることができるのです。
さらにポルシェは、918スパイダーと比較して着座位置を65 ~ 70mm下げていて(相当に低い)、これはバッテリーがフロアに搭載されているタイカンとは異なり、バッテリー パックをシートの後ろに配置することによって可能となっています。
このほか、ポルシェによれば、ミッションXは992世代のGT3 RSよりも大きなダウンフォースを発生すると述べ(GT3 RSは200km/h時点で約409kgのダウンフォース、285km/hで860kgのダウンフォースを発生する)、ミッションXの空力特性は”ポルシェの最近のル・マン レーシング カーと似ている”とも。
ミッション Xのようなパフォーマンスレベルに達すると、特にニュルブルクリンク周辺では空力やダウンフォースが制限されることになります。 そして、十分なダウンフォースを生成することは、タイカンのように作られた車ではまったく不可能です。
つまり、ここにあるのは本質的にキャブフォワードデザインです。 レーシングカーのようですよね? 実際にミッションXは919や963などと非常に似た空力特性を持っています。 車両の前方では冷却がまったく行われておらず、すべてクルマの後部で行われます。 したがって、基本的にはできるだけ多くのダウンフォースを生成することに集中できます。
ポルシェ・ミッションXの市販モデルは「4WDに」
ポルシェはミッションXのパワートレーン詳細について言及していないものの、コンセプト段階の後輪駆動から、市販モデルでは「四輪駆動になるだろう」とも。
なお、ポルシェは最近「電動化モデルでしかなし得ない」ポルシェ アクティブ ライド サスペンションを公開していますが、これはコーナリング中にどうしても浮き上がってしまう内輪を”地面に押し付ける”ことができるという驚異のコンセプトを持ち、そしてこれに4輪トルクベクタリングを組み合わせることで今までにないコーナリングスピードを実現できる魔法のようなデバイスです。
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ミッションXにも同様のシステムが付与されると考えられますが、ポルシェがミッションXに4WDを導入するのは主に「航続距離」の問題であるもよう。
ニュルブルクリンク北コースの記録への挑戦を確実に実現するためには、量産型は速度よりも航続距離を重視し、全輪駆動を選択する必要があります。
コンセプトモデルとしてのミッションXは二輪駆動で、私たちは将来のスポーツカー、電動スポーツカー、そして再びハイパーカーのDNAを目指し、2016年から多くのシミュレーションを行いました。 二輪駆動と四輪駆動では実際のパフォーマンスに大きな違いはなく、しかし4WDを選択する理由]が 1つだけあります。
それは「回生」であり、ニュルブルクリンクにおいて、より長い航続距離を保つために、(バッテリーへと)多くのエネルギーを回収する必要があります。1周だけしか走れないのでは不十分で、少なくとも3周分は走らせることができなくてはなりません。
このほかポルシェは「パワーウエイトレシオを1:1にする(1,500馬力以上の出力が与えられる可能性が大きい)」こと、そしてもちろんニュルブルクリンク最速の座をメルセデスAMG Oneから奪還することを目標に掲げていると述べ、「量産版ミッションXがその野心的な目標を達成できると確信している」とも。
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参照:Which Car