| ニュルブルクリンクにて記録挑戦を行うにはサーキットを貸し切らねばならず、そしてその時の天候まではコントロールすることができない |
これまでにも「悪天候」によって思うように記録を伸ばせかなった例が多数存在する
さて、メルセデス・ベンツがAMG Oneにて自らの持つニュルブルクリンク「市販車最速」記録を上書きした一方、フォードはマスタングGTDにて狙った記録を達成できなかったもよう。
フォードのモータースポーツ部門、フォード・パフォーマンスは今回ニュルブルクリンクを貸し切り、いまだアメリカの自動車メーカーが達成したことがない「市販車をもってニュルブルクリンクで7分を切る」という偉業に挑戦したそうですが、そこに居合わせたユーチューバーにしてニュルブルクリンクタクシー運営業者でもありミーシャ・シャロディン氏によれば「その夢は破れたようだ」。※アメリカ車でもっとも速くニュルを走ったのはダッジ・ヴァイパーACRの7分01秒30で、これは現在ランキング18位に相当するタイムである
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なぜマスタングGTDはニュルを「想定したほど」速く走れなかったのか?
このフォード・マスタングGTDは5.2Lスーパーチャージャー付きV8を搭載し815馬力を発生させるスーパーカーであり、FRながらもレーシングカーに準じたサスペンションレイアウトを持つなど「ニュルに挑む資質は十分」。
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マスタングGTDには「サスペンションの動きが室内から見えるよう」小窓が設けられている。フォード「それはあまりに美しく、隠しておくのは残念だと思ったんです」
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実際にフォードはマスタングGTDでのニュルブルクリンクへの挑戦を予告していたのですが、今回残念ながらチャレンジに失敗した理由は「悪天候」だとされています。
フォードがチャレンジのために(貸し切りを)予約した時間帯だと、(ノルトシュライフェの)変わりやすい条件により、一部のセクションは晴れて温暖である一方、他のセクションは湿って寒い状況であったとされ、フォード・パフォーマンス・チームは路面が乾くのを待ったものの、その時間内には「ドライが実現しなかった」のだそう。
The Ford MustangⓇ GTD vs. the infamous @nurburgring, coming soon.
— Ford Mustang (@FordMustang) September 19, 2024
Preproduction computer-generated images shown. Actual production vehicle may vary. Projected availability late 2024/early 2025. Very limited availability. Inquiry does not guarantee ability to purchase. pic.twitter.com/ahrL5A2vkX
よって今回の結果は実力というよりは「運」の問題でもあり、同様にウエットな路面によって予想した記録達成が実現しなかったのは2022年のメルセデスAMG One、直近ではリマック・ネヴェーラ、ロータス・エヴァイヤXなど。
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さらにミーシャ・シャロディン氏は「当日、ニュルブルクリンクは強風で荒れていた」ともコメントしていて、マスタングGTDのように空力効率に大きく依存するハイパフォーマンスカーにとってこの状況は好ましくなく、したがって全速力でのラップは試みられず、できるだけ多くのプロモーション用の低速撮影を行う方針へと切り替えたのだと報じています。
加えて同氏は「フォードが今年再び挑戦することは難しいだろう」と推測しており、その理由の一つは、運営費用や手数料が非常に高額になるためで、ミーシャ・シャロディン氏によれば、1日あたり1000万円を超えることも珍しくはなく、「予備日」を確保することも現実的ではないのかもしれません。
なお、こういった「最速ラップ」「最高速へのチャレンジ」については気候条件が大きく結果(そして安全)を左右することでも知られ、ケーニグセグ、そしてヘネシーも同様の問題に触れていますね。
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参照:Misha Charoudin 2(Youtube)